ころみごや作品の書評/レビュー

時の悪魔と三つの物語

悪魔に振り回される男女たち
評価:☆☆☆★★
 エターニア大陸北端のエルトアに住む作家ラキ・ルーエンスは、幼なじみのイルク・シュナムルを置き、南のフェリスティア大陸へと見聞を広める旅に出た。ミシェル・エムリオット第一王女に気に入られ、北大陸に続いて南大陸でも作家としての声望を高めたラキは、3年で戻ると約束したイルクに再会するため、3年をわずかに過ぎて帰還する。ところがイルクは、悪魔の果実を食べてしまい、時の悪魔の呪いによって死んでいた。
 フェリスティア王国の古森で宿を営み始めたアルは、ロニカという少女を保護することになる。偉そうな態度の彼女に振り回されながらも同居生活を楽しみ始めたアルだったが、ロニカを訪ねてやってくる人物が現れることで転機が訪れる。

 スクルージ・コルディアントとトキ・コルディアント夫妻は、エルトアを訪れる。そこで彼らを出迎えたのは、ラキ・ルーエンスの妻イルクだった。

 二ヶ月で死ぬという呪いの代償として与えられる時の砂は、振りかけられた者をやり直したい過去へと戻らせる力を持つ。その力に振り回される3組の男女を描く群像劇となっている。
 しかし、構成があまり上手くなく、時間軸の転換が分かりづらく、後半の謎解きに向けた伏線が上手く張れていない。それでも第7回HJ文庫大賞大賞受賞作品だ。

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