左京潤作品の書評/レビュー

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (6)

才能を生かせない職場
評価:☆☆☆★★
 マジックショップ・レオン王都店店長のセアラ・オーガストと副店長のバイザー・クロスロードが同時に魔物インフルエンザに倒れてしまい、残されたただ一人の正社員であるラウル・チェイサーが店長代理として店を回さなければならなくなってしまった。
 だが、そんなときに限って、理不尽なクレーム客が訪れたり、混雑してさばき切れなくなってしまったり、トラブルが多発する。自分では頑張っているつもりなのだが、アイリ・オルティネートや魔王の娘フィノ・ブラッドストーンの方が自分より接客が上手いような気がして、気持ちはどんどん沈んでいく。

 そんな状況の中、セアラの得意客であるユニィが訪れ、ラウルは対応を誤ってしまう。

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (5)

結婚したくなかったのでメイドがオムレツで勝負しました
評価:☆☆☆★★
 マジックショップ・レオン王都店店長セアラ・オーガストや副店長バイザー・クロスロードの下で、勇者になれなかったラウル・チェイサーや元同級生のアイリ・オルティネート、魔王の娘フィノ・ブラッドストーンはショップ店員としての人生を歩んでいた。
 そんなある日、ライバル店である大手量販店のアマダ王都本店店長のクラウド・パトリックと副店長のカレン・ディレクトリがやってきて、フィノをクラウドの嫁にもらいたいと申し入れをしていく。

 ラウルはその申し出を断るのだが、クラウドはチャリティーイベントでメイド喫茶を出店し、オムライスの売上で勝負を決めようと提案してくる。そして、事態がよく分かっていないフィノは、店を守るためにその提案を受けてしまうのだった。
 フィノを守るために一致団結するレオン王都店のメンバーだが、セアラと因縁のあるカレンは、前店長のクアン・セグメントの指示するままに、妨害活動を仕掛けてくる。その結末は?

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (4)

妹がやって来た
評価:☆☆☆☆★
 勇者を目指して村を出て、勇者予備校でナンバー1になったものの、勇者制度廃止によりニートとなったラウル・チェイサーは、魔王を倒したマジックショップ・レオン王都店店長のセアラ・オーガストに拾われ、魔王の娘フィノ・ブラッドストーンや元同級生のアイリ・オルティネートと共に、王都で販売員をしていた。
 そんなある日、故郷の村から妹のミュリ・チェイサーがやってくる。村人たちはラウルが連絡してこないのは勇者になれなかったからだと思っているが、ただひとり、兄を信じる妹は、ラウルの勇者としての働きを一目みるために、なけなしのお小遣いをはたいて王都へとやってきたのだ。

 兄が勇者になったものと信じ切っているミュリを目の当たりにして、ますます勇者になれなかったことを言い出せなくなったラウルは苦悩する。
 日々の仕事ぶりを見学させたり、魔王城テーマパークに遊びに連れて行ったりしてあいまいに日々を過ごしている内に、王都で連続している魔力保有者を狙う事件にミュリが巻き込まれてしまうのだった。

 明かすに明かせないでここまで引きずった嘘の清算が求められる。兄を信じている妹を傷つけずに解決するにはどうするか。兄の苦悩と事件の解決が描かれる。

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (3)

ドキドキのビーチファイト
評価:☆☆☆★★
 魔王が倒され勇者制度が崩壊したことで就職先を無くしたラウル・チェイサーは、魔王を倒したマジックショップ・レオン王都店店長のセアラ・オーガストに拾われ、販売員としての道を歩み始めた。後輩に魔王の娘フィノ・ブラッドストーンと元同級生のアイリ・オルティネートを迎え、働きたくない副店長バイザー・クロスロードの下で、日々仕事に励んでいる。
 そんなラウルに任された次の仕事は、ビーチで行われるミスコンで一等になり、商品もらってくることだ。たまたま仕入れが上手くいっていない商品が賞品に出されるのだという。

 しかし、ラウルは男の子。ミスコンに出場できるわけがない、と思ったのだが、天才セアラが開発した装置で意識を入れ替え、身体はセアラ、中身はラウルという仕様で参加することになったのだ。
 フィノやアイリも参加決定。女の子たちの園に入ることになったラウルはドギマギするのだが、そこで出会ったソニア・マジックゲートに、男の子としてのラウルはもっとドギマギさせられることとなる。

 とにかく水着が出せるようなエピソードにしましたという感じで、シリーズを一貫する何かがあるというわけでもない。これも、60点を目指して55点くらいをとる典型だろう。

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (2)

こんなの本当の自分じゃない、という嘆き
評価:☆☆☆★★
 田舎の村人たちの期待と援助を受けて王都の勇者予備校に入学し、優秀な成績を修めていたラウル・チェイサーだったが、魔王が倒されたことで勇者制度は廃止となり、期待にこたえる術はなくなってしまった。しばらくニートとして現実逃避していたラウルは、マジックショップ・レオン王都店店長のセアラ・オーガストに拾われ、販売員としての道を進むことになる。
 そんな彼の下に配属されたバイトは、倒された魔王の娘フィノ・ブラッドストーンだった。ラウルと同じ様に店長に拾われながらも人間のために頑張りたいというフィノにほだされ、やる気のない副店長バイザー・クロスロードに苦労しながら、ラウルは真面目に販売員を頑張ろうという気になっていく。

 しかしそんなレオン王都店の目前にアマダ・マジック王都本店が開店し、彼らの店には閑古鳥が鳴く様になってしまう。デートのふりをしてライバル店を探りに行くラウルとフィノの前にいたのは、ラウルの元ライバルで、いまはバニーガールとして売り子をしているアイリ・オルティネートだった。

 前半は、仕事の理想と現実のはざまで揺れる若者の葛藤と、世間知らずの女の子の天然な言動に振り回されるラブコメが繰り広げられ、後半は、人間と魔人の逆転した関係が生む悲劇と欲望を描いている。

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。

バイトする魔王の娘
評価:☆☆☆★★
 勇者になるため田舎から上京し、勇者予備校でも一位の英才だったラウル・チェイサーは、魔王が打倒され勇者廃止になったことで、ニートになった。半年かけてやっと現実を受け入れることが出来たものの、すでに就職戦線ははるか向こうへ。魔界崩壊の折からの不況により、就職超氷河期が訪れていた。
 それでもマジックアイテム・ショップの正社員に滑り込み、今日も新商品の棚を作って日々を暮らしていたラウルだったが、店長のセアラ・オーガストの命により、新人バイトにして魔王の娘フィノ・ブラッドストーンの教育係をすることになった。

 流石に魔王の娘だけあって、敬語?何それ?だったり、たとえがいちいちグロかったりするのだけれど、とにかく一生懸命、真面目に働こうとするフィノに対し、ラウルは段々と情を寄せる様になる。
 副店長のバイザー・クロスロードの悲惨さを憐れんだり、本部社員のギル・ブランドが持ち込む怪しい新商品に振り回されたり、予備校での元ライバルのアイリ・オルティネートが客として訪れたり、色々ありながらも販売店員として頑張る二人だったが、魔王の娘がそう簡単に人間の社会で暮らせるようになる訳はなかったのだ。

 「はたらく魔王さま!(和ケ原聡司)」「まおゆう(橙乃ままれ)」をミックスしたような設定だ。

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