島津緒繰作品の書評/レビュー

薄氷あられ、今日からアニメ部はじめました。

アニメに集う仲間たち
評価:☆☆☆☆★
 授業中の落書きで女子の裸体を描いてにんまりとしていたところを、隣席の薄氷あられに見られてしまった火狩隆史は便所飯をしながら、女子たちに白眼視される未来を恐れていた。だがそのときはいつまでたっても訪れず、代わりに薄氷あられの脅迫により、アニメ部を立ち上げることになってしまう。実はあられはアニメを作りたい人だったのだ。
 ところが学園は予算削減の嵐で、新規創部を認めてくれない。生徒会長の薄氷翠香の示唆で、既存部活との合併を試みることにした火狩隆史は、屋上で電波な発言をしていた宇佐美輝夜の所属する天文部に合併を持ちかける。

 幸い、先方も部員不足で悩んでいたため、顧問の式島榛名からの了承が得られたものの、部活として維持するためにはあと二人、部員を見つけなければならない。美術部から茂庭もみじを、漫研部から高波牡丹を引き抜くことになるのだが、それは平坦な道ではなかった。

 本当は美少女なのにグルグル眼鏡とかつらでモブに変装する薄氷あられと出会ってしまったことで、単なる美少女絵が好きな少年が、アニメ制作という指向性を与えられていく。そこに、姉妹の確執やら、なぜか妙に好かれてしまったことによるラブコメ要素やらが絡んでくる。
 ストーリーは添え物みたいな展開で、対立するヒロインを軸として、主人公の周囲に集まる人々の交流を描くことに主眼が置かれている。天才型のキャラクターが多いので、バトル漫画のインフレーション展開みたいにならないで欲しいところだ。

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