神西亜樹作品の書評/レビュー

坂東蛍子、星空の下で夢を語る

シリーズ最終巻らしい
評価:☆☆☆☆★
 結城満と共に新型商業施設バベルにやってきた坂東蛍子は、結城満を置いて姿をくらます。松任谷理一からの情報で、その理由が学校の机で文通していたウィザード級ハッカーの望月嗚呼夜に会うためであり、二人が出会えば坂東蛍子が害される可能性が高いと知った結城満は、そこに居合わせた生徒会書記長の先輩、枇々木巴を巻き込み、警察サイドのハッカーである入夏今朝の支援を受け、坂東蛍子をバベルから塔酒用とする。だがそれは、更なる大事件の序曲に過ぎなかった。
 シリーズ最終巻らしい。

坂東蛍子、屋上にて仇敵を待つ

容姿端麗、運動神経抜群な美少女高校生の苦悩
評価:☆☆☆☆☆
 松任谷理一の誕生会の招待を受けた坂東蛍子は、会場へと向かう。だがその招待は、黒丈門ざらめの謀略だった。一方、松任谷理一の誕生会の招待を受けた桐ケ谷茉莉花は、やってきた会場に監禁されている外国人を発見する。結城満の祖父が提示する、坂東蛍子=桐ケ谷茉莉花という同一人物説。果たしてその真相は?
 初めて自分と同じ位置に立ちうる人間の登場に混乱する容姿端麗、運動神経抜群な美少女高校生の苦悩。彼女の周囲で発生するテロリスト占拠事件など意にもかけず、彼女はただライバルに挑戦状を叩き付ける。

坂東蛍子、日常に飽き飽き

一人の女子高生を中心とする群像劇
評価:☆☆☆☆☆
一章「千代田区タクシー誘拐事件」
小堺心太は、富豪の息子の成見心太郎の代わりに、黒丈門一家というヤクザの下っ端に誘拐される。そのタクシーの中に何の関係もなく乗り込んできたのは、坂東蛍子という女子高生だった。
彼女を顔も見たことのない若頭である黒丈門ざらめと誤認したヤクザは、彼女を乗せたまま誘拐を継続するのだが、そこに、ざらめの婚約者で、坂東蛍子の恋する松任谷理一らが関わってくる。

二章「ぬいぐるみは静かに踊る」
坂東蛍子のぬいぐるみであるロレーヌは、実は話ができる。なぜなら彼女はぬいぐるみの国の住人だからだ。しかし協定により、彼女が話をできることを人間に話してはならない。ロレーヌの正体を知っているのは、坂東蛍子の仲たがいした友人である結城満とその祖父くらいだ。なぜなら彼女たちは人形師で、人形師はぬいぐるみの国と同様の人形の国と親交があるからだった。
だが、普通の人間が人形の国へ行けば、二度と戻ってはこれない。それなのに、ちょっとした偶然から、坂東蛍子は人形の国への道を辿ってしまう。一緒にいるロレーヌは慌てるのだが…。

三章「何故私が川内和馬のジャージを着るに至ったか」
伴銀河大マゼラン雲第四惑星から派遣されたエージェントの大城川原クマのターゲットは、坂東蛍子だ。彼女が自星崩壊のカギを握っているかもしれないので、調査をしている。ところが坂東蛍子は彼女の調査の手にはあまり…。

四章「ウロボロス大作戦」
ヤクザの復讐、人形の人間世界への潜入、宇宙人の襲来、神様の失敗などが重なり、地球は崩壊の危機を迎える。

 新潮nex大賞受賞作だ。

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