剣の女王と烙印の仔 (4)(杉井光)の書評/レビュー


 剣の女王と烙印の仔 (4)(杉井光)の書評/レビューを掲載しています。

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剣の女王と烙印の仔 (4)

背中で感じるのではなく、正面で向き合うように
評価:☆☆☆☆☆
 寡兵で大軍を破るという大戦果を挙げてしまった銀卵騎士団。周囲はフランチェスカを聖女と崇め、大勝利に狂喜しているが、騎士団の中核たる指揮官と近衛の面々の顔色は優れない。
 全ての罪を一人で背負うかのごとく、自らの身を省みず外交・軍略に没頭するフランチェスカ。そんなフランチェスカを気遣いつつも、どう接してよいか分からないパオラ。内から染み出して来る死者の声に翻弄され沈み込むクリス。
 だが、そんな状況の中で、フランチェスカの側に控えているべきジルベルトは、剣審院の召還に応じ、彼女の下を離れて行ってしまう。そして、その姿をくらませてしまったニコロも…。
 一方、聖王国側では、ジュリオの罪を問うべく審判の時が迫っていた。彼を助けるために暗躍するカーラ。圧倒的な力で振るわれる、その剣の切っ先はいずれの方を向くのか。

 前巻は大規模な市街戦がメインでしたが、今回はその後遺症のお話がメイン。今回の件で大きな変化を見せたのは、実はミネルヴァとシルヴィアでしょう。
 テュケーの血脈に縛り付けられている二人は、本質的なところでその血がもたらすもの、託宣や女王という地位を嫌っています。その束縛から逃れようとして、王城から逃げ出したり、心を殺したりする。でも決して逃れることはできない。今回は、それを受け入れて、だからこそできる事があるのだ、という瞬間が二人に訪れたのかもしれません。

 表紙を初めて見たときは背景が真っ白で寂し過ぎるかなと思ったけれど、本文を読んだ後ではピッタリ合っていると思えました。

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