神様のメモ帳 (6)(杉井光)の書評/レビュー


 神様のメモ帳 (6)(杉井光)の書評/レビューを掲載しています。

関連作品の書評/レビュー
神様のメモ帳 (5) 神様のメモ帳 (6) 神様のメモ帳 (7)

神様のメモ帳 (6)

ニート探偵の本来の役割
評価:☆☆☆☆☆
 ラーメンはなまるにミンさんの従兄妹たちがやって来る。黄紅雷と黄小鈴と名乗る彼らは、ミンさんの父、花田勝が人を殺して逃げたという。黄家は中国マフィアのトップの家柄なのだ。
 その代償として、ミンさんに花嫁の身代わりをして欲しいという紅雷だが、そこにはなし崩しでミンさんを嫁にしようという意図があった。それに気づいたヒロは、散々逡巡した上で、アリスに依頼をする。

 ネットの海に生きるニート探偵、アリスですらも容易に足取りをつかめない、花田勝の動き。そうかと思えば、タイミング良く連絡を入れてきて、捜査の行方を誘導しようとする。一方で、本職のマフィアの前には、藤島鳴海の詐欺師めいた話術も、四代目の暴力も通用しない。
 このままだと娘がマフィアの嫁になってしまうというのに、まったく見えてこない花田勝の目論見。アリスが明らかにする真相には、娘を思う不器用な父の生き方があった。それなのに、事件を収束させるために取った手段は、非常にジゴロ的という正反対さ!

 短編で、ヒロの師匠でありアリスの大叔父でもある紫苑寺吾朗が登場する、「ジゴロ先生、最後の授業」も収録している。長編の流れで読むと、面白さは倍増するかもしれない。

 ところで花田勝の経歴って、どこか南雲慶一郎を彷彿とさせる印象があるなあ。

   bk1
   
   amazon
   
杉井光作品の書評一覧

ホーム
inserted by FC2 system