超越数トッカータ 小説すばる 2011年06月号(杉井光)の書評/レビュー


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超越数トッカータ 小説すばる 2011年06月号 未定

超越数トッカータ 小説すばる 2011年06月号

無限の音楽の中にある自分の音楽
評価:☆☆☆☆★
 蒔田シュンは、音楽業界では珍しくもなく、依頼をこなしてギャラを得ることでその日を暮らしている人間だ。その彼が作った曲「ロンド・アンジェルコ」がネットで評判になり、世界の歌姫・海野リカコの曲をダウンロード数で抜いてしまう。一日だけとはいえ。
 その当人、海野リカコにも曲の良さを認められ、有頂天になりかけるシュンだったが、それに冷や水を浴びせかける事態が起きる。その曲が、業界の大御所、瀧寺雅臣の曲のパクリだという評判がネットを駆け巡るのだ。

 かたや業界の大物、かたやギリギリ業界人、シュンは決して剽窃はしていないものの、事態の趨勢は火を見るより明らかに思えた。しかし…。


 最後には音楽版・無限の猿定理という感じの解決が図られる。ちなみに無限の猿定理というのは、猿が適当にキーボードを叩いていると、いつかはシェイクスピアの一小節も現れるという様な考え方。そこに、十二音階律と、数学と音楽の関係をミックスすると出来上がる感じ。
 登場するキャラクターの性格や、物語の展開の仕方、解決後の種明かしなどは、いつもの作者という気がした。

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