剣の女王と烙印の仔 (8)(杉井光)の書評/レビュー


 剣の女王と烙印の仔 (8)(杉井光)の書評/レビューを掲載しています。

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剣の女王と烙印の仔 [

神々の戦いの終焉
評価:☆☆☆☆☆
 血反吐を吐く様な思いをして聖王都まで進軍し、アンゴーラの女帝アナスタシアに対抗するため、聖王国軍と和睦した連合軍だったが、それまでの仇敵同士が急に仲良く出来る訳もない。互いに思惑を抱えた探り合いが続く。もはや一刻の猶予も残されてはいないのに…。フランチェスカ・ダ・ザカリア・サン・ディキマ・エ・ベローナはまたも苦労を強いられることになる。
 王宮にてようやくクリストフォロ・エピメクスとミネルヴァ・サン・ディキマ・イ・フォルトゥナだったが、クリスは冥王オルトスの真名を封じる代償に、彼自身の記憶も失っていた。それどころか、まじりあったティベリウスの意識が暴走し、事態を混迷させる。

 ジュリオに助けられたシルヴィア、カーラなど、全ての役者が、神々の刻印が聖王都にそろう時、世界の行方に決着がつくことになる。

 色々なキャラクターに結末が与えられる訳だけれど、一番憐れな結末をもらったのはカーラかもしれないな。求めて求めて様々に画策をし時間を費やして来たのに、結局それは完全に死路であることを明確に突きつけられてしまうなんて、絶望以外の何物でもないかも。あれこそはまさに神の傲慢というべきか。
 正直言ってハッピーエンドと呼ぶのは憚られるが、人の身に過ぎた力を課されてしまった以上、求められる幸福にも限度があるのかもしれない。

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