エドワード・スミス作品の書評/レビュー

蒼穹の騎兵グリムロックス 〜昨日の敵は今日も敵〜

評価:☆☆☆☆☆


お前(ら)ホントに異世界好きだよな 〜彼の幼馴染は自称メインヒロイン〜

評価:☆☆☆☆☆


暗極の星に道を問え

評価:☆☆☆☆☆


竜は神代の導標となるか (4)

評価:☆☆☆☆☆


竜は神代の導標となるか (3)

評価:☆☆☆☆☆


竜は神代の導標となるか (2)

領主の座
評価:☆☆☆☆☆
 王国最強の蒼竜騎士ルガールとの戦いを制し、郡主連合はヴェーチェル領の半分を押さえることになった。帰国してカイらの盟友となったエレナの兄リチャード・ランドランスの提言により、彼らはシギル家を押さえて領主の座を手に入れようとする。
 一方、ウェイン・グローザは南部鋼鉄王ウィリアム・ボイルド、西海協定の盟主グラハム・カルバンという両雄を押さえるため、次なる策を打っていた。そしてエレナたちに対しては、蛇と綽名される工作員を送り込む。

 ジギル家の若き女騎士メリダ・サーディアスとの戦い、そして忙しくなるカイに放っておかれるエレナの寂しさなどが描かれる。

竜は神代の導標となるか

戦乱の引き金
評価:☆☆☆☆★
 かつての科学文明の反映から断絶し、世界の技術レベルは後退を強いられていた。その上、社会は停滞し、それを打破しようという気概もない。

 シュエルガ神権王国の地方郡主の嫡男であるカイ・ソルワークは、槍働きもさほど上達せず、祖父と共に奇妙な機械いじりをして、幼馴染で許嫁のエレナ・ランドランスを呆れさせていた。
 そして、カイたちが聖人を迎える祭りの日がやってきた。二人は大人になり、互いの将来を改めて約束するが、その祭の場を領主の軍勢と鉄騎竜が襲撃し、周囲をグレンの炎に巻き込んでしまう。

 その少し前、王国軍戦略参謀ウェイン・グローザによって引き起こされた国王弑逆により、新たな時代が始まろうとしていた。ウェイン・グローザは全ての王位継承権者の捕縛と処刑を遂行しようとし、成人したことで王位継承権が発生したエレナを捕らえるため、領主に命じて兵を挙げさせていたのだ。
 それを受け入れることを拒否したカイは、祖父と共に復元していた古代の遺産である騎士竜を起動させ、鉄騎竜を撃退する。そして、アンジェラ・ルーとともに、エレナ・ランドランス保護の同士を集めるため、同じく幼馴染のカナリア・ラガンの許へと向かうのだった。

 一方、敗退した領主のもとには、辺境鎮撫の任を完了させ帰還中の、王国最強の騎士ルガール・コバルトロードが立ち寄る。

紳堂助教授の帝都怪異考 (3) 狐猫篇

悪しき二本足
評価:☆☆☆☆★
「従姉殿御用心」
早瀬美冬に狐憑きが発症し、一時的に美作正三郎のもとに預けられることになる。

「逢瀬は神域で」
王子稲荷で一目ぼれした貴公子の正体は?

「Cath Palug」
宮本信香の飼う毛鞠が大活躍。

「魔女」
オサキ狐を暴走させた黒幕である淑城聖乃が登場する。

マーシアン・ウォースクール (2)

政治闘争
評価:☆☆☆☆★
 連日出動のシュガー・スイート小隊を安定的に運用するため、正規軍の穏健派であるルスラン・ドローニン中将へ接近したタキオン・シュガ少尉は、その庇護を受けることに成功する。しかし、親地球派の急先鋒チャーチ大佐によってルスラン・ドローニン中将が忙殺され、一気にタキオン以下2D小隊は存亡の危機に瀕してしまう。
 そんな彼に声をかけてきたのが、シャノン・メイヤー大佐だ。彼女は、副官でアーチノイドのアイリス・ベイ少尉相当官を派遣し、チャーチ大佐が課した無茶なミッションをこなし、戦後処理を確実なものにするための布石を打つ。果たしてタキオンは今回も生き残ることができるのか?

 そして先頭においては、フィオレ・バロッチの才能が開花する。

マーシアン・ウォースクール

望まれる死
評価:☆☆☆☆☆
 地球から火星へ親善大使として送られたタキオン・シュガ准尉は、乗船していた船の着陸を防衛するための戦闘で委員長が負傷したため、最先任下士官のシドウ・アマギ軍曹を筆頭に、軍属学校のクラスで白眼視される。
 サポート役に指名されたメレディス・アシュクロフト伍長も驚くような冷徹さぶりで正論を吐き、クラスメイトの反発を招くタキオン・シュガ准尉だったが、彼にも彼の事情があった。

 将官である父親の妾の子であるタキオンは、戦闘中の死亡を期待され、血統上の兄弟の指示で火星に送り込まれたのだった。生き残るためには、戦闘小隊であるクラスを取りまとめ、送り込まれるであろう死地での戦闘を勝ち抜き帰還せねばならない。果たして彼はそれを成し遂げられるのか?

紳堂助教授の帝都怪異考 二 才媛篇

少女の思い
評価:☆☆☆★★
 東京帝国大学助教授である紳堂麗児の事務所で通いの助手をすることになった男装の少女である篠崎秋緒は、不思議な、事件とも言えないような事件に関わりながら、様々な人と知り合ったり、自らの感情に接したりして行く。

 「乙女の香り」では、紳堂麗児の友人である美作正三郎帝国海軍中尉の妹の美作春奈と友人になり、彼女の異才を知ると共に、誘拐事件の被害者になってしまう。「貫間邸同時多発的殺人未遂未遂事件」では、事務所下のカフェー「虎猫」の女給だった町子が現在奉公する家での茶番に付き合う事になる。
 「満月に桃」では、年の近い叔母の相沢時子と共に平家の落人探しの旅に出かけ、異境に入り込んでしまう。「鵺」では、浅草に現れたという噂の鵺の捜索と、紳堂麗児の女癖の悪さに対する嫉妬が出てしまう。

 今回は事件的にも見せ場が少なく、濡れ場はもっと少なく、修羅場はなくて、同性間のやりとりが多かったように思う。

紳堂助教授の帝都怪異考

帝都の片隅を騒がす怪異
評価:☆☆☆★★
 東京帝国大学助教授である紳堂麗児は、語学に通暁する二十七歳独身の男性というだけでなく、持田五郎警部から帝都で起きる奇妙な事件を持ち込まれ、解決する探偵のような役割を果たす人物でもある。そして、未亡人や令嬢と浮き名を流す色男でもある。そんな彼の行動を記録するのは、篠崎秋緒、十四歳、潔癖なお年頃の人間である。
 そんな彼らが解決するのは、「香坂邸青年焼殺事件」「小石川怪画」「秘薬の効き目」「沙世」だ。そしてアキオは紳堂の女癖の悪さにぶつくさ言いながらも、紳堂の魅力と能力を認めざるを得ないのだった。

 もう少し時代感を出す描写を多くした方が良い気がする。登場人物がかなり現代的に見える。

侵略教師星人ユーマ (2)

情を語る、情を知らない宇宙人
評価:☆☆☆☆★
 十年前から地球に居座っていた侵略者のサーネイア銀河アゾルト惑星人と十二の宇宙船を侵略島こと信洛島から単独で追い出し、桜井舞衣の担任として茜陽町の高校教師となったヴァルトラ恒星系人の悠馬・森次は、今日も理想の教師として生徒たちを教え導いていた。
 そんなとき、アゾルト惑星人の宇宙船があった場所から、巨大な卵が発見される。しかし、いつもならあっさりと色々なことを教えてくれるユーマも、これに関しては、秘密と言い張って何も教えてくれない。ただ、地球人が心配する必要のない安心感だけはあった。

 ユーマの弟の宗馬・森次と、舞衣の姉の桜井茉莉は、喫茶店カトックで互いの依存度を深めつつあったり、菱見百合香のユーマに対する心酔度は級数的に上昇していたり、桂木アンナが幼馴染の成績を心配していたり、舞衣の妹の桜井麻美が黒猫を助けたりする日々を送っている内、舞衣の父の桜井進が自宅に帰ってくることになる。
 世界的な生物学の権威である父親は、フィールドワークのために自宅に戻ることはほとんどなく、舞衣との間に生まれた溝は埋まることのないまま、ここまで来ていた。そんな彼らの関係に対し、宇宙人のユーマは彼らの心を揺さぶる侵略行為を試みる。

 というわけで、無敵超人ユーマの侵略は、親子の情を見つめ直すことにまで及びます。

侵略教師星人ユーマ

諦めることが負けること
評価:☆☆☆☆★
 十年前、地球にはサーネイア銀河アゾルト惑星人がやってきた。彼らは一切、地球人類と交渉することはなく、十二の宇宙船を着陸させ、資源採取をすると一方的に宣言した。友好的に彼らと対話しようとする人類は無視され、排除しようと攻撃する人類は排除され、多くの人々はその存在をなかったものとして、触らぬ神に祟りなしを決め込んでいる。
 桜井舞衣は、そんな場所のひとつである信洛島が見える茜陽町に住む高校生だ。十年前、宇宙船の襲来と同時期に母親を亡くしたことで、宇宙人と名のつくもの全てを嫌っている。そんな彼女は、新学年の初日、宇宙船に向かって叫んでいるバカと遭遇する。ヴァルトラ恒星系人なのる自称宇宙人の男は悠馬・森次と言い、舞衣の新任の担任だった。

 一緒に引っ越して来たユーマの弟である宗馬・森次は常識的で料理も上手い美少年なのに、その兄は思ったことを素直に口にする男。しかし、教師としての彼は、生徒を諦めず、生徒が理解できる言葉で教え導こうとする、理想の教師でもある。
 宇宙人を自称する変人という側面と、生徒としっかり向かい合う教師という側面、そのギャップに舞衣の友人の菱見百合香は惚れてしまい、同じく友人の桂木アンナは状況を面白がる。

 そんな彼女たちがたむろするのは、舞衣の姉の茉莉がマスターを勤める喫茶店カトックだ。隣同士で暮らすことになった舞衣とユーマは、妹の麻美も含めて、家族ぐるみで付き合うことになる。

 厄介なことは見ないフリをしたり、真面目にバカ正直に生きるのは半笑いされる様な世間にあって、分からないことを分からないままにすることをこそ戒めるバカ正直な男が、閉塞感に苛まれている空気を吹き飛ばし、希望をもたらす。もちろん、それはそんな簡単に出来ることではなく、いかに拒絶されても、諦めず何度もトライする必要はあるわけだが…。
 これはひとつの教師の理想像を示すものでもあり、閉塞感を吹き飛ばすヒーローを求める物語でもあり、後悔に区切りをつけ蒙を開かれる女子高生の人生の始まりでもある。

 第18回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞受賞作品。

ホーム
inserted by FC2 system