千羽カモメ作品の書評/レビュー

正捕手の篠原さん (2)

それはダメだよ篠原さん
評価:☆☆☆★★
 エースピッチャーの綾坂真琴は、実は女子高生だった!彼女の野球に賭ける情熱を守るべく、その秘密を守ることにしたキャッチャーの篠原守は、妹の篠原杏や、マネージャーの深見月夜と共に、真琴の双子の兄の綾坂飛鳥との入れ替わり生活が誰にもばれないように気を遣う。
 でも、プールに行ったり、海に行ったりしたらさすがにばれちゃう!それなのに、いたずら好きの深見は、そういう企画をバンバン入れちゃうんだなあ。今回は、グアムに合宿に行きます。そして大トラブルが…。

 相変わらず、一話二頁の四コマ漫画風のライトノベルとなっている。


正捕手の篠原さん

連作短編集というよりはエピソード集
評価:☆☆☆★★
 全95話収録、と聞くととんでもなく厚い本だと感じるかもしれないが、そんなことはない。なぜなら全話、見開き2ページのエピソード集だから。
 そう、短編・掌編というよりは、エピソード集という表現がふさわしいと思う。マンガで例えるならば氏家ト全の4コマ、ラノベならば「GJ部」に近い感じだろうか。

 エピソード集なので全くストーリー性がないかというとそれほどでもない。いちおう主人公は、野球部の正捕手、篠原守。彼の周りには、ちょっと特徴的な仲間がいる。幼なじみの深見月夜は優秀だけれどいたずら好きの女の子。相方である正投手の綾坂真琴は、双子の兄の飛鳥と入れ替わって男子としてふるまっている女の子。ドジっ子教師の保科涼子に、兄にかまって欲しい妹の杏と、枚挙にいとまがない。
 そんな訳で、彼女たちの相手をしつつ、最終的には女だと知ってしまった綾坂を何とか野球部に残すために奮闘するという展開となる。

 あらすじだけを見ると、野球部のスポーツラブコメっぽくなりそうな気がするけれど、とりあえず野球はほとんどしない。そして、ラブコメになるほどの展開にはならないし、それをやるだけのページ数がない。なにせ一話2ページだから、1エピソードを締めるだけで精一杯なのだ。
 だから個人的には、文章でこんなにブツ切れの構成をされると、自分の中で上手くキャラクターが組み上がらない。その瞬間その瞬間で、テンプレートなキャラクターが演じているようにしか思えなくなってしまう。まあでもそれが別に悪いというのではなく、そういう、瞬間瞬間のエピソードでニヤリと出来れば満足という人もいるだろう。

 だけど、このネタなら普通に構成をしても、色々と楽しめたと思うんだけどなあ。綾坂を軸としつつ、深見と杏を絡める感じで。でもそれだと普通すぎるということなのかな?
 あと、何故、異性一卵性双生児などというレアな存在の設定にしたのか?普通に二卵性でそっくりという設定でも良かったんじゃ…。

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