小さな国の救世主 (3) いまどき英雄の巻(鷹見一幸)の書評/レビュー


 小さな国の救世主 (3) いまどき英雄の巻(鷹見一幸)の書評/レビューを掲載しています。

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小さな国の救世主 (3) いまどき英雄の巻

だって本当にそうなんだもん
評価:☆☆☆☆★
 トップに立つ人間には、実力以上に必要なものがあると思う。それは、運を引き寄せる力。実務能力は、優秀な人間を集めれば十分カバーできる。でも、運を引き寄せる力だけはそうはいかない。いくら最善を尽くしても、最後の歯車がきちんとかみ合わなければ全体は動き出しはしない。
 達也の能力自体は、それほど飛びぬけたものではないと思う。自分にできることをやり、ただその想いをぶつけるだけ。でもその想いが、サラサを、サゴンを、ネリムやバンユーを動かし、ついには一つの国の方向性を変えてしまう。こんなに上手くいくわけがない、と言ってしまえばそれまでだけれど、そうは思わずに、自分の現実に基づいて行動するから、その揺るがなさに他の実力者がついてきて現実になってしまう。
 これはハッピーエンドに見えるけれど、そうではない。セリカスタンの外では、市場原理という錦の御旗の下にさまざまな思惑がうごめいており、その干渉はこれからも続くはずだ。それをいかに乗り切るか、という大問題はまったく解決していない。物語はまだ続くみたいだけれど、どんな風に展開されていくのだろう。

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