ご主人様は山猫姫 (3) 辺境新米英雄編(鷹見一幸)の書評/レビュー


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ご主人様は山猫姫 (3) 辺境新米英雄編

ボトムアップの戦記もの
評価:☆☆☆☆☆
 二正面作戦回避のため、シムールを味方に取り込みに大族長会議に乗り込んだ泉野晴凛だったが、ミーネ姫の秘策のせいで彼の嫁を決めるための料理決戦が勃発してしまう。普段は料理なんてしなさそうな二人が、晴凛のために一生懸命に創作料理を研究するのだが、その描写がかなり細かい。作者による料理のルーツ話も作品中に織り込まれ、架空戦記なのに歴史小説みたいな構成になっている部分もある。
 一方、帝国側では、前線に物資を調達するための現金輸送任務に、晴凛の兄である光凛が抜擢され一苦労する。帝国サイドでは官僚組織の腐敗っぷりが問題で、平時の官僚機構は有事に対応する柔軟性が無く、軍隊の足を引っ張ると言いたいらしい。
 振り上げてはみたものの、落とし所のない拳の始末に困るシムールと、前線を遠くに見て危機感の薄い帝国の、無名の師の行方を、国家同士というよりは、国家を構成する人々の動きや考え方の側面から描くことに軸足を置いている様だ。別の言い方をすると、紀伝体の架空戦記ものなのかも知れない。

 ただ、巻頭の挿絵と内容に若干の齟齬があるのはいただけないけれど。

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