宇宙軍士官学校 【前哨/スカウト】 (1)(鷹見一幸)の書評/レビュー


 宇宙軍士官学校 【前哨/スカウト】 (1)(鷹見一幸)の書評/レビューを掲載しています。

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宇宙軍士官学校 【前哨/スカウト】 (1)

実績が積み上げる信頼
評価:☆☆☆☆☆
 ある日、地球に銀河文明評議会からの使者が訪れて人々をマインド・リセットし、地球は緩やかな国家の共同体として統一された。一部の宗教家は彼らを神を語るものとして糾弾し、テロ活動を続けてはいるが、彼らがもたらした新たなテクノロジーは人類の抱える問題の多くを一瞬にして解決し、人類は活動の範囲を大気圏外まで広げた。
 だが、そのフリーランチの代金を徴収される時がやってくる。銀河文明評議会の一員として平等に扱われたいのならば、それに見合う貢献をする必要があると告げられたのだ。その対価とは、未だ地球の常識に染まりきっていない若者を選抜し、特別士官候補生として訓練するということ。そして彼らの後からは、15歳の子供たちが銀河文明評議会の指揮下にある兵士として訓練されるのだ。

 特別士官候補生の一人として選ばれた有坂恵一少尉は、各国から選ばれた特別士官候補生と共に、練習戦艦アルケミスで訓練を受けることになる。銀河文明評議会が地球人を兵士として育てる理由は何なのか?そんな謎を胸に抱きながらも、集団内部の軋轢を乗り越え、仲間を集め、自身の特性を伸ばしていく青年たちの活動を描く。

 地球の常識ではなく、宇宙の常識で活動できる人間を育てるプログラムに参加し、示された状況から目的を考察していく過程と、その中ではぐくまれる人間関係がこの作品の主題と言えよう。
 設定面では、ボタンはほとんど使わないと言っておきながら、その直後にボタンを使う装置を出したりしてイマイチ作り込みが甘い部分もあるが、シンプルに分かりやすく設定を積み上げていく姿勢は好感が持てる。後はこれが、ハヤカワ文庫で通用するかどうかだろう。個人的には通用して欲しいのだが…。

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