橘ぱん作品の書評/レビュー

マゾヒスティック・エクスタシー (1)

ヤったらアウト!の寸止めプレイ再び
評価:☆☆☆☆★
 千種光平は女の子を欲情した目で見ると、《鬼神魂魄刀》すなわち《鬼刀/キトウ》が女の子に突き刺さってしまい、《悪瞳刺魂繋呪》すなわち《悪瞳/アクメ》になって惚れられてしまう呪いを背負っている。なんと羨ましいと思うかも知れないが、その女の子にエッチなことをすると生涯憎悪されるというおまけ付きだ。おかげで何も出来ない。
 そんな呪いを解くべく、母親と別居中の父親がいる十珂グループ直轄の金毛学園へ妹の千種ゆなと共に転校し、呪いをかけた大妖怪玉芽御前に会いに出かけた。ところが玉芽御前は呪いの解き方は知らないといい、さらには初恋の相手で初めて《悪瞳》にして自らスカートをめくらせた少女、早乙女沙月と再会し、再び《悪瞳》にしてしまう。

 ところが、かつては光平の許嫁とされていた彼女は、それが破談となり、三ツ矢徹という嫌なボンボンの許嫁となっていた。それなのに、またもや彼女を《悪瞳》にしてしまい、三ツ矢徹の恨みを買ってしまうことになる。

 大体分かると思いますが、スパンキングとか緊縛プレイとかで喜ぶ女の子が登場します。

だから僕は、Hができない。 (11) 死神と王様

ようやくできた
評価:☆☆☆★★
 《イレギュラー》大倉美菜がメイズ・ガルダーブロウグとヘルガ・キヴィレフトに拉致された。彼女の持つ生きる力が吸い出されきるまで、あと二日もない。あせる加賀良介だったが、準王家のレストール家は、次期当主候補リサラ・レストールの資格問題で揺れて結束しきれず、しかも内部に内通者がいるため、直接頼ることが難しい。
 そこで、キュール・ゼリアやライファン・ピグノートは、福宗イリアのメルロー人生保証を頼り死神界へと密かに渡り、リサラ・レストールと合流して、大倉美菜奪還作戦を開始するのだった。
 シリーズ最終巻。

高円寺碧のリバーシブルライフ

特別な人にだけ見せる裏の一面
評価:☆☆☆☆★
 中野広道は失恋した。地域一帯で一番の美少女である高円寺碧が自分に惚れていると勘違いし、痛々しいラブレターを渡した揚句、あっさりとふられてしまったのだ。バイト先であるラーメン屋台「三つ葉」のオーナー野方次郎にも慰めてもらえず、落ち込んだまま、一人で屋台を広げたのが、零細ヤクザ高円寺組の屋敷の前だったのだ。
 早々に店を畳んで帰ろうとしたところ、一人の少女が客としてやってくる。急かされながらも手を抜かずに作ったそのラーメンを美味しそうにすするのは、先ほど中野広道をふった相手である高円寺碧だった。彼女はヤクザの跡取りだったのだ。

 担任の新井は高円寺組の若頭であるという事実も発覚し、図らずも彼女の秘密を握ることになってしまった広道は、ラブレターをネタに脅され、碧の下僕として賄い係になってしまう。
 急に話す機会が増えたことをクラスメイトの大久保智恵美に疑われながらも、裏表のある彼女に振り回される生活に慣れてくる広道だったが、学校一のイケメン三鷹勇人に碧が誘われているところを目撃してしまうのだった。

だから僕は、Hができない。(10) 死神と告白

受け止める勇気
評価:☆☆☆☆★
 《イレギュラー》が大倉美菜だと判明した。そして彼女の心からの望みは、加賀良介と結ばれることだ。準王家のレストール家の次期当主候補としてリサラ・レストールはそれを後押しする決意をするが、妹分のキュール・ゼリアからは、それは逃げだと叱責されてしまう。
 キュール・ゼリア、福宗イリア、ライファン・ピグノートは、加賀良介と美菜、リサラの関係がおかしなことになっている隙をついて、加賀良介を誘惑し、落そうとするのだった。

 一方、メイズ・ガルダーブロウグの命を受けたヘルガ・キヴィレフトは、《イレギュラー》獲得のため、準備を整えつつあった。

落ちこぼれの竜殺し (2)

殺しの時間
評価:☆☆☆★★
 《竜討五将》筆頭である霧雨獣吾の導きで私立建速学園に入学した叶零士は、竜鱗機を駆る竜戮者にして五鱗の一人である杵築弓美香の騎士となることを誓った。学園長である霧雨クラヒメの後援を受けつつ、理事長である霧雨獣吾の狙いである、叶零士に眠る竜を目覚めさせるために差し向けてくる竜槍師団七本槍の一人、片桐烈波を下す過程で、レティシア・ベラスケスやエミリー・グラント、リタ・ベラスケスとの遊戯を結ぶのだった。
 そんなある日、私立建速学園に竜槍師団との内通者がいるという疑いをかけたベイオウルフが、使者を派遣してくる。既に内通者の目星をつけていた、霧雨クラヒメや霧雨獣吾は、その相手、平野永康の捕獲を叶零士らに命じるのだが、神真一郎の命を受けた脇坂セーブルらが乱入し、逃がしてしまう。

 竜槍師団との戦闘が本格的になる予感を抱えながら、学園長は《竜討五将》である叶紗英を呼び寄せるのだった。

落ちこぼれの竜殺し (1)

無能生徒に秘められた力
評価:☆☆☆★★
 2030年9月12日、人類は突如異世界から出現した竜に襲撃された。それから11年、私立建速学園は《竜討五将》筆頭である霧雨獣吾が理事長を務め、同じく霧雨クラヒメが学園長を務める、竜と戦う唯一の手段である竜鱗機に関わる者を育成する機関だ。
 叶零士は、ある日、テレビで見た杵築弓美香を護らなければならない人だと認識し、両親没後の保護者である霧雨獣吾の援助を得て、私立建速学園に進学した。杵築弓美香は五鱗という、学園生徒トップの一人だったからだ。

 杵築弓美香に指名され彼女のチームの一員となったものの、叶零士の竜鱗機を操る能力は低く、同じチームメイトであるレティシア・ベラスケスからは足手まとい認定されてしまう。さらには、主席入学のエミリー・グラントからは敵視され、一週間後にエミリーのチームと決闘をすることになってしまった。
 飛び級した幼女のリタ・ベラスケスからサディスティックにいじめられながら特訓を受け、竜崎忍から意味ありげに様々な情報を流してもらう叶零士の身には、ある封印が施されていたのだ。

 一応ファンタジーの体裁をとってはいるが、いきなり女の子のインナーを引き裂いてニプレスだけの胸やパイパンな筋を見たりするという痴漢ぶりを発揮する主人公が、暴走と無能の狭間で何とか普通に生きようとする話という感じだ。
 ファンタジーとしては特色も面白みも薄く、エロ系としても中途半端で、作者の持ち味がどこに生きているのか分かりにくい作品となっている。

だから僕は、Hができない。 (9) 死神と思い出

無理矢理な短編集
評価:☆☆☆★★
 メルロー人生保障幹部連帯直属特務室極東支部主任の福宗イリアとパオイ・マルベックの報告書作成の体で繰り広げられる、これまでのエピソードを取り上げる短編集。これまでのエピソードなのに、ただの妄想エピソードもあるという奔放な。

「死神と錠剤」
 キュール・ゼリアが特異者探しのために、霊力の強いものが見える様になる錠剤というのを加賀良介に渡してきた。しかしそれは、霊力が通っていないものが見えなくなるという錠剤。つまり、女の子(男もだけど)たちがすっぽんぽんに見えてしまう薬だった。
 エロいながらも紳士を標榜する良介はそれを封印しようとするのだが、玉野先輩に知られてしまい…。

「死神とクリスマス」
 イリアの妄想編。クリスマスイベントで女の子たちにどんな格好をさせるのがエロいかというのを、玉野、大平、加賀というマンコカパック・パーティ幹部たちがおこたで妄想するというお話。

「死神とバレンタインデー」
 マルベックの妄想編。リサラ・レストールが良介に、どういうシチュエーションでチョコレートをもらいたいかと尋ね、良介が女の子ごとにシチュエーションを妄想するというお話。

「死神と初コミック」
 望みの恋愛シーンが掲載されたコミックに男女の名前を書くと成就するというお呪いと聞いたばかりのリサラに、良介が名前を書いて欲しいとコミックを渡してくる。それを見た大倉美菜はショックを受けるのだが、そのコミックというのは…。

「死神と夜桜」
 みんなでお花見をしようと言うことになり、良介が寝ずの番で場所取りをすることになった。抜け駆けでリサラが夜食を届けに行くのだが、中々渡せないで居る内に、後からキュールや美菜がやってきて、益々出づらくなっていく。

「美菜と青い傘」
 美菜が愛用している子供用の青い傘が車に踏まれて壊れてしまった。それは、美菜が大切にしている、良介との関係を形作る思い出の品の一つだ。失って恐怖に震える美菜に対し、良介は彼女に過去の記憶を思い出される。未だつながりは失われていないのだ、と。

「死神とブラジャー」
 イリアとリサラの出会いの物語。死神学校に入学したばかりの二人はルームメイトになった。半年ほどは周囲も羨むどころかレズでないかと誤解されるほどの仲の良さだったのだが、その関係はある出来事をきっかけに崩壊していく。

だから僕は、Hができない。 (8) 死神と美菜

幼馴染の頑張り
評価:☆☆☆☆★
 《イレギュラー》の可能性が高い桃園学園八奇衆も残すところ《プリティモンスター》鬼崎有希と《イモータル》乱橋教諭のみになった。女子プロレス同好会会長である鬼崎有希の心からの望みは、女の子と女子プロレスを披露することだったため、リサラ・レストールは衆目の前でロメロスペシャルを決められ、加賀良介に恥ずかしい姿をさらすことになってしまう。
 そんなイベントから始まった学園祭。良介たちのクラスの出し物は、足裏NTRの壮絶な議論を経て、キャバ嬢と執事によるサービス付の喫茶店に落ち着いた。大倉美菜やリサラはキャバ嬢として華美な衣装を身に纏い、ライファン・ピグノートと、そして何故か良介は、執事服を身に纏うことになる。エロ介の執事服は、キュール・ゼリアには好評だ。

 持ち前の巨乳を存分に発揮し、他校のエロい男たちに絡まれる大倉美菜は、これまでの控えめな行動とは違い、積極的に良介を誘惑しようと頑張るのだが、肝心の良介が美菜を幼馴染のカテゴリで括ろうとするため、アピールは中々効果を発揮しない。それを見るリサラやキュールは、もどかしいような、ホッとするような気持ちだ。
 その学園祭の最中に、《雷神の雹(ティールハガル)》《四雷斧》第二格ヘルガ・キヴィレフトが襲撃してくる。死神養成学校で男性教師を女性教師にクラスチェンジさせて中退したという経歴を持つ彼女は、美菜を攫い、彼女の心からの願いを良介に叶えるように言うのだった。

 リサラと良介の関係性の変化に危機感を持った美菜は、互いに牽制しあい生じた膠着状態から一歩踏み出す覚悟を決める。だがその純粋な想いは、《雷神の雹(ティールハガル)》に利用されてしまうことになるのだ。  幼馴染は噛ませ犬か、あるいは本命になることが出来るのか?《イレギュラー》の行方と共に、そんな命題に対する解答は、次巻に出されることだろう。

だから僕は、Hができない。 (7) 死神とパンツ

パンツで知る恋心
評価:☆☆☆★★
 《ファヴニール》を《雷神の雹(ティールハガル)》《四雷斧》メイズ・ガルダーブロウグに奪われ、代わりにアルメイア・レストールから《グラム》の鞘《グレイプニル》を受け取った加賀良介は、彼の生きる気力としてのえっちな気持ちを吸われる代償とすれば、あと数回は《グラム》を抜けるだけの力を得た。
 だが、高校生としての彼には夏休みが明ける前に難関がある。それはまだ宿題が終わっていないこと。リサラ・レストールの答えを写させてもらうという不埒な考えは却下され、地獄の三日間を経て、何とか新学期を迎えることが出来た。

 そんな良介やリサラ、幼なじみの大倉美菜やキュール・ゼリアがやるべき事とは、ガルダーブロウグたちよりも早くイレギュラーを発見することだ。良介への恋心を自覚した少女たちが、互いにけん制し合い、良介の鈍感さに後押しされて膠着状態に陥っている中、次の調査のターゲットとなったのは、桃園学園八奇衆《清楚なる野獣》茶道部部長の五十嵐先輩だ。
 文化祭実行委員会委員長である彼女に近づくために文化祭実行委員となった良介たちは、彼女のイメージである鉄仮面の男嫌いに反して、願望である王子様との恋愛成就を実現させるため、リサラを男装させる企画を立ち上げる。

 ところが、学園に男子のズボンを脱がせパンツを露出させる痴女が出没!玉野光や大平率いるマンコカパックパーティーのマゾたちが犠牲になっていく。
 良介はライファン・ピグノートとも協力して犯人捜しを始めるのだが、それにはアルカレア・レイギルや桃園学園八奇衆《六十九》杉浦先輩大きく関わってくるのだった。

 かなり慌てて刊行したらしく、台詞が支離滅裂になっている部分や、名前の混同が起きている個所も散見される。せかすのは結構だが、きちんとチェックはした方が良いだろう。
 物語自体も、全体構成の中での必然性は薄いように感じられ、特に大きな進展も見られない。メディアミックスの悪しき弊害と言えるかもしれない。

だから僕は、Hができない。 (6) 死神と海水浴

水着に貴賤はない!
評価:☆☆☆☆★
 加賀良介の霊力の源だったという≪ファヴニール≫を奪われたものの、≪雷神の雹≫≪四雷斧≫メイズ・ガルダーブロウグを退けて、拉致された幼なじみの大倉美菜を取り戻すことには成功した。これで再び、リサラ・レストールやキュール・ゼリアとの楽しい学園生活が戻ってくるかと思いきや、先般、美菜を誘拐した男装巨乳美少女死神のライファン・ピグノートが、玉野先輩の弟として転校してくる。
 彼女の目的は、組織の命令通り、イレギュラーを探すこと。それに先立ち、なぜか彼女は良介を死神契約のパートナーに勧誘してくる。あわやというところで、リサラやキュール、美菜の介入があったものの、逆にそれを奇貨として、みんなで海に遊びに行く約束を取り付けてしまった。

 海と言えば当然水着。大きいのも小さいのも等しく包む水着を堪能しつつ、≪グラム≫の鞘としてアルメイアが送ってきた≪グレイプニル≫の起動のために、女性のスリーサイズを一瞬で判定する訓練を積みながら、夜になればのぞきに出かけたりもする良介だったが、実は彼はいま、男として非常に辛い状態に置かれていることが判明してしまうのだ。
 メルローのイリアやパオイ・マルベックもやってきたり、新たな死神アルカレア・レイギルに襲われたり、そしてこれまでは気持ちを押し込めていたヒロインたちが積極的になり始めたり、霊力を失った代わりに、ずいぶんとたくさんのものを良介は得つつあるようだ。

だから僕は、Hができない。 (5) 死神と失われた王家

背中の楽園、それは肩甲骨!
評価:☆☆☆☆☆
 メイズ・ガルダーブロウグが所属する組織<雷神の雹>により、加賀良介の幼なじみ・大倉美菜は、彼を誘い出すためのエサとして死神界に拉致されてしまった。加賀良介は大倉美菜を助けるべく、リサラ・レストールやキュール・ゼリアに連れられて死神界へと降り立った。
 レストール家当主代行にしてリサラの母のアルメイアのおかげで、大倉美菜の監禁されていそうな場所の見当もついた。レストール家に連なる伯爵ライファン・ピグノートが<雷神の雹>の幹部であり、まるで加賀良介を誘うように、レストール家にお茶会の招待状が届いたらしい。

 しかし人間である加賀良介は、そのままライファンのもとにはいけない。キュールの発案で、再び女体化させられた良介は、リサラ付きのメイドとして、ライファンの屋敷に行くことになる。
 実は準王家という、断絶した王家につながる家柄だと言うレストールの直系であるリサラは、実は準王女さま。当然、貴族の家に行く時はそれらしくドレスアップして出かけるわけで、後ろにつき従う良介からは、大きく開いた彼女の背中が丸見え!ああ、あの肩甲骨に指を這わせて、リサラを喘がせたい!そんな欲望丸出しで向かった先で、良介はライファンによって意外なピンチを迎えてしまう。

 というわけで、今回の良介のターゲットは背中。背中なんて水着では丸出しだし、ちっともエロくないはずだよね。でも、目の前に真っ白い肌という大海原が広がっていて、そこに盛り上がる肩甲骨という名の島は、海にたゆたう者にとっては砂漠の中のオアシスみたいなもの。目の前にあれば、指はそこへ向かわざるを得ない!
 その指がゆっくりと肌の上に降り立ち、滑らかな肌の上を緩やかなカーブに沿ってツツツと降りていけば、そこにもたらされるのは背徳的な快感しかないのだ。

 そんなふざけたこともいっぱい盛り込みつつ、良介に隠された秘密も徐々に明らかにされていきます。

アネかみ! 1柱目:姉と女神と俺のパンツ

おねえちゃんだからいいの!
評価:☆☆☆☆★
 20年前に降臨した伝説級の魔神が起こした滅神戦争のため、日本の八百万の神々は一柱残らず消滅してしまった。それを何とかするため、巫女ラリサ・フランクリンは日本を訪れ、ギリシア神話の月の女神アルテミスを召喚して、日本の神様を再臨させる湖月計画を発動した。こんな良い娘のラリサは、巫女をつまみ食いするのが趣味のアルテミスによって、15年という歳月をかけて調教されていくわけだが…。
 そして湖月計画の舞台である湖月町に、また新たな神が一柱、再臨した。その御名はヒノテルヒメ。ロリコンな禰宜により選ばれたその依り代は、ロリ巫女写真集!それだけで大丈夫かといいたくなる一品である。そしてそんなヒノテルヒメは、硬派な不良と思われている北方尊に拾われる。だがその尊の姉・乙女は、弟ラブの女の子で、その影響を受けたテルヒメは、姉と共に尊の脱ぎたてパンツを奪い合う関係に。本当に日本に神様は復活するのか?

 かなり暴走している気味のアオリだったので心配したけれど、これなら変態度は「だから僕は、Hができない。」の方が高いかも。しかしあちらと違うのは、女の子の方が変態だということ。そのアプローチに必死に耐える尊がツラ過ぎて仕方がない。
 あとがきによると同時発売の「神焔のカグラ」と世界観を共有した作品らしい。そちらは未読だが、これほど変態エロ逆セクハラものということはないと思う。…当たり前か。

だから僕は、Hができない。(4) 死神と初体験

ああそれも初体験ね
評価:☆☆☆☆★
 加賀良介の提案で浴衣を着せられたリサラ・レストールとキュール・ゼリアは、夏祭りに連れて行かれる。アップにした髪からのぞくうなじにテンションを上げるエロ介だったが、平和で楽しいひと時は短かった。スタンザの69位に属する大物死神にして犯罪者のメイズ・ガルダーブロウグが打ちこんだ楔により、大倉美菜が人質同然の状態にされてしまっていたのだ。
 そのことを盾に、ガルダーブロウグから脅迫されたキュールは、良介の魂の秘密を探るために、彼と初体験させられることになってしまう。しかも明後日までの間に。

 大切にしている美菜を守るため、またいずれ政略結婚する身の上ゆえに、良介との初体験に覚悟を決めるキュールだったが、当の良介はリサラにエロ力を吸い取られてしまってヤル気なし、しかも現場をリサラに押さえられてしまい、どうして夜這いをかけたのかを白状させられてしまう。  結局、彼女たちの実力ではガルダーブロウグに対抗する手段はないため、キュールに代わってリサラが、良介のエロパワーを取り戻すために様々な変態行為をさせられることになるのだが…。

 変態にも仁義があって、見るのはOKだけれど、合意なく触るのはNGだそう。でも、普段はエロい部分だと思っていなくても、エロい部分だと思い込んでいるヤツに見つめられると、何だかエロいんじゃないかと思っちゃうのが不思議だ。

 さて次巻から、舞台は死神界に移る模様。向こうでもエロ介は健在です。

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だから僕は、Hができない。(3) 死神と世界革命

思春期の男の子が女の子になったら
評価:☆☆☆☆★
 メルローの一級死神でアイドルのイリアの偽乳という事実を知り、学生時代の恥を少しは雪いだかに見えるリサラだったが、イリアもそのままでは黙っていない。
 リサラが人間界に存在し続けるためのエネルギーの供給源である加賀良介と折れた剣グラムの関係を壊すため、良介のエネルギー源を断つ策を実行する。それは、良介を美少女に変身させ、男としてのエロさを封印することだった。

 その策はまんまとはまり、追い込まれるリサラだったが、そんな彼女たちとは別に、過去に死神界から追放された実力者の死神が、夏休み前の祭にまぎれて、大倉美菜たちに魔手を伸ばしてくる。  しかし、グラムは封印され良介は力を出し切ることができない。こんな状況でも男を見せ、幼なじみを救うことができるのか?

 今回は良介が美少女になってしまうこともあり、リサラとの派手な絡みは少なめな印象を受ける。それよりもむしろ、思春期の男の子が女の子になったら必ずやってしまうという様な、お約束の展開が待っているといっていいだろう。
 グラムやリジル以外に強い力を持つ剣も登場し、過去の歴史上の戦いも物語に影響を与えてきている。

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だから僕は、Hができない。(2) 死神と選抜試験

リサラのコンプレックスを刺激する死神登場
評価:☆☆☆☆★
 死神のリサラとキュールとの同居生活の嬉し恥ずかしイベントに一喜一憂している加賀良介の前に、新たな死神が現れる。それは、良介が大ファンだったグラビアアイドルのイリアだった。
 実は死神だったイリアとリサラは、死神学校時代のライバルにして、リサラから主席の座とレストール家のプライドを奪い去って行った憎い人物。しかも、二人の差を分けたのは胸の大きさだというから始末が悪いのだ。リサラのコンプレックスがそのまま、イリアに対する敵愾心につながって行く。
 そんな訳で、再会した二人の間に勝負が始まらないわけがない。プール開きの季節がら、水着コンテストで勝負をすることになるのだが、グラビアアイドルとして知名度の高いイリアに対し、転校してきたばかりのリサラは美人ではあるが知名度は低い。巻き返しを図るために色々と手を打つのだが、そのうちイリアは水着コンテストの審査員でもある良介に色仕掛けを迫って来て…。

 1巻に引き続き、妄想力いっぱい欲望いっぱいの仕上がり。でも、キュールに引き続き、それを上回る陰険さを備えたイリアの攻撃に、本来なら高飛車系のリサラは押されっぱなしで沈みっぱなし。だからこそその落差がイイのかも知れないけれど。
 いっぱい登場してきたヒロインたちと共に、次巻はどこへ向かうのか?ちょっと楽しみな気がします。

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だから僕は、Hができない。 死神と人生保障

シンプルさゆえにこめられた熱さ
評価:☆☆☆☆★
 死神と人間の契約が当たり前になっている世界。死神は人間の死後に不要になった霊力をもらう代わりに、人間が生きている間のサポートをしてくれる。そんな世界で、エロ介と呼ばれる加賀良介は、学校帰りの道で、雨に濡れる少女に傘を差し出す。
 色々あって家に連れ帰ることになった少女リサラは、家につくなり良介に折れた剣を突き刺した。冒頭で物語はバッドエンドと思いきや、リサラはエリートの死神で、突き刺した剣グラムは、リサラが人間界に居続けるために必要な霊力を良介から吸い取るための媒介だったのだ。
 リサラが人間界に来た目的、特異者と呼ばれる霊力の高い人間を探す協力をさせられることになった良介だが、リサラに霊力を吸い取られると彼の活力の源であるエロ魂も吸い取られてしまう。自分のアイデンティティであるエロ魂を消費させられ活力を失いかける良介だったが、彼は普通の人間と違い、あることをすると一気に霊力を回復させることができたのだ。

 ラブコメ要素を絡めつつ、ベースにあるのはエロとフェチということで非常に分かりやすい。物語の展開はよめてしまうかもしれないが、シンプルさゆえにこめられたエネルギーが熱い。

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