谷春慶作品の書評/レビュー

神☆降臨! ロンギヌスの槍は銃刀法にひっかかりますか?

哀れなロンギヌスの槍
評価:☆☆☆☆★
 英雄の資質を持つためギリシア神話の主神ゼウスに目をつけられた山田は、ヤンキーの様な神様の使い走りにさせられた。
 彼を英雄として育てるべくやってきた処女神アテナとフクロウのミネルヴァだったが、それは彼を更なるトラブルに巻き込むだけのことでしかなかった。

 ゼウスの浮気に起こった妻ヘラに投げ捨てられたゼウスのちんこを取り戻すため、山田とアテナは冥界へと足を踏み入れる。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣) (7)

シリーズ最終巻、なのに新展開
評価:☆☆☆☆★
 もうすぐクリスマス。望月砕月は、タマユラやハルマラらウィザードとのパーティ、三渕優沙や深草静流それぞれとのパーティ、望月香織や望月莉子ら家族とのパーティ、いずれに参加するかで、女性陣から詰め寄られていた。
 そこに、空から赤い龍が降りてきて、女性に変身する。その女性に拉致された望月砕月は、時空の割れ目から異世界に連れ去られてしまった。

 オピウムの能力で時空の割れ目を維持してもらい、望月砕月を救出するために、タマユラ、ハルマラ、三渕優沙、深草静流、百瀬千夏、ハピ子は、異世界へと旅立つ。そして、彼を拉致したのがリンデンバーム皇国シーニャ領主リリウム・メテオリーアだと知るのだった。

 シリーズ最終巻、なのに新展開。今度は異世界まで救っちゃいます。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣) (6)

母親との再会
評価:☆☆☆☆★
 オピウムの暴走により、世界は大規模な神触に覆われた。オピウムの襲撃からギリギリで逃れたタマユラと望月砕月は、三渕優沙や深草静流、百瀬千夏と合流する。
 神触を阻止するため、望月砕月の殺害を主張するアルルーナは、望月大和の反対にあい、代わりに、タマユラの命を使った対策を提案するのだった。

 次巻が最終巻らしい。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(入門)

打撃で状況を切り替える修羅場
評価:☆☆☆★★
 本編を差し置き、2連続での短編集と言う編集姿勢には、かなり疑問を感じる。

「モテモテな僕は大抵のオチでひどい目にあっちゃうんだぜ(助けて!)」
 望月砕月を巡る、三渕優沙、深草静流、百瀬千夏、望月莉子、望月香織、タマユラ、オピウムとの日常のエピソードを描く掌編集。優沙ちゃん、がんばってます。

「モテモテな僕は前世がクロヒョウにまでなっちゃうんだぜ(伊達ワル)」
 望月砕月を巡る、三渕優沙、深草静流、百瀬千夏、望月莉子、望月香織、タマユラ、オピウムとの、旅行先の海で起きる出来事を描く連作短編集。八瀬宗助が珍しく頑張って戦っています。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(妄想) 日常修羅場編

ゲスにもいろんな種類がある
評価:☆☆☆☆☆
 モテモテな僕のゲスい日常をお送りする短編集だ。ゲスにもいろんな種類があると分かりました。

「モテモテな僕はダブルブッキングまでこなしちゃうんだぜ(震え声)」
 望月香織の夫にして望月莉子の父である望月大和に言いくるめられ、望月砕月は二股をかける三渕優沙と深草静流とのダブルブッキングデートを仕組まれることになった。
 ところが、デート現場に百瀬千夏と八瀬宗助がそれぞれ現れたことで、二股がばれる展開となってしまう。1巻の前日譚だ。

「モテモテな僕はビョーキまで克服しちゃうんだぜ(笑)」
 姉の安曇詩音を溺愛する中峰久音の策略で、ビョーキを克服するためのトレーニングという名目で、望月砕月は修羅場に放り込まれることになった。その果てに行き着くのは…。

「モテモテな僕はゴミ箱にまで捨てられちゃうんだぜ(愛故に)」
 望月砕月はある朝目覚めると、ゴミ捨て場にいた。そこにタマユラがやって来て、彼を殺そうと襲いかかってくる。さらには、タマと折り合いの悪い百瀬千夏が現れ、状況は混沌に。
 オピウム、ハピ子、三渕優沙、深草静流ら、ヒロインたちの理想とする望月砕月が登場する。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣) (5)

実力に見合わぬ信念
評価:☆☆☆★★
 オピウムがウィザード上層部を半壊させた状況を好機と見て、ハルマラは配下のホミカらを使い、独断専行でオピウムを討ち、鎮圧後の再建で主導権を握ろうとしていた。それに利用されているカンナを助けたいタマユラは、望月砕月を利用してハルマラを籠絡し、時間を稼ごうとする。
 一方、キス魔にやられ入院した望月砕月を心配した百瀬千夏は、タマを糾弾し、二度と砕月に近づかないように告げる。千夏の言に自分が砕月の安全を軽視していたと思い当たったタマは、砕月に絶縁を申し渡すのだった。

 一方、望月香織の夫にして望月莉子の父である望月大和は、ウィザードのアルルーナからの依頼で、オピウムとカンナの殲滅を請け負っていた。そして、女の子ならば誰でも救おうとする砕月と、戦場で向かい合うことになる。

 ハピ子の獣的男性観と、初めてと言っても良い、砕月を徹底的に敵視する女性キャラのホミカが大暴れする。結局、強者の権力を笠に着ようとし、実力で劣る相手には牙を向かないという、自覚しない小物っぷりが何ともいえない。
 そして、いよいよ本気を出してきた千夏の、三渕優沙や深草静流とはちょっと違う愛情表現も見所だろう。でも、ファンタジーとしては間延びしすぎかな。次は結構動きそうだけど。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣) (4)

祈る相手を間違えた
評価:☆☆☆★★
 ウィザードのオピウムの反乱により傷ついたタマユラだったが、新上司のハルマラにより一命は取り留めた。しかし代わりに、合理主義のハルマラは、タマや望月砕月に、奴隷のごとき隷従を要求してくる。組織人としてお追従しつつ従うタマだが、望月砕月は女の子を傷つけるという命令には従えない。
 そんな望月砕月は、今度は少女の姿をしたバグに襲われ、憑依されてしまう。そして、これまでは兄として鉄壁のガードで見守れていた義妹の望月莉子に、本気で欲情して襲いかかってしまう。それだけでなく、元カノの三渕優沙や深草静流にも、裏モード・ビーストのノリで襲いかかってしまったのだ。

 ごく一部の相手にはどんと来いで受け入れてもらえたものの、本気でおびえた表情をする莉子や優沙を見て、ついにビョーキは行ってはならない段階に突入したと絶望する砕月。さすがに八瀬宗助にもドン引きされたものの、百瀬千夏はいつもどおり接してくれるのが逆につらい。
 何とかバグを除去しようとするのだが、その方法でハルマラやタマと衝突してしまい…。

 大体、口説くと襲うしかしていなかった感じ。ハビ子が復活してまともなラブ展開もあるのだが、事態はより混迷し、第十一夫人まで登場することになってしまう。もはや収拾をつけるとか考えていないとしか思えないな。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣) (3)

上司登場
評価:☆☆☆★★
 出会った女性は誰彼構わず口説き、かつ、相手に好かれてしまうというビョーキを持つ望月砕月は、世界のバグを修正するウィザードという存在のタマユラと出会い、自分がデバッガという存在だと教えられる。
 だがそれ以前に、彼はビョーキのため、先輩の深草静流と同級生の三渕優沙に二股をかけて騒動を巻き起こし、幼なじみの百瀬千夏や八瀬宗助にもフォローでお世話になり、安曇詩音と中峰久音という姉弟の事件にも関わり、十分に特別な存在でもある。

 そんな砕月が静流と優沙、千夏、義理の母・香織や義理の妹・莉子との修羅場にあるところを書きまわしたタマの前に、彼女の上司だというオピウムが現れる。オピウムはタマに、三日以内に記憶を取り戻せなければデリートすると申し渡していく。
 そんなピンチな状況であるのに、他の女の子との約束に振り回される砕月に裏切られた思いを感じたタマは、砕月に絶縁状を叩きつけるのだが…。

 タマの記憶に関わるウィザードのカンナとは何者なのか、そしてなぜタマは記憶を失ったのか、その謎が明かされるのだが、今ひとつタマのキャラクターが定まっておらず、あまり引き込まれない。これまで最も登場機会が多かったキャラなのに、自分のことを何ひとつ語らないからなんだろう。
 記憶喪失キャラが狂言回しということ自体、無謀な役回りだったのかもしれない。第三者的に評論している分には気にならなかったんだけどね。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣) (2)

運命を歪め覆すという誘惑
評価:☆☆☆☆★
 出会った女性は誰彼構わず口説くというビョーキを持つ望月砕月は、先輩の深草静流と同級生の三渕優沙に二股をかけ、学校中から大バッシングにあった。だが、彼が彼女たちの問題解決に体当たりで当たることで、静流にはヤンデレられ、優沙にはツンデレられてしまった。
 彼が解決した問題というのは、バグという世界の異常。それを取り締まる少女・タマユラに手駒として利用されることになった砕月は、今度も新たなバグと遭遇することになる。それは、校内で起きる女子生徒連続失神事件だ。

 普段の行いから目をつけられている砕月は、最有力容疑者として周囲から疑われることになる。幼なじみの百瀬千夏や八瀬宗助は信じてくれているので何とか耐えられているが、クラスメイトの中峰久音などは殺しそうな目で睨んでくる始末。
 そんな悪状況の中、砕月は妖精のような少女・安曇詩音と出会い、癒されるのだった。…当然、元カノたちからは恐怖の折檻をくらうことになるのだが。

 リアルハーレムを目指して活動するビョーキ持ちの砕月は、一般的に大概ゲスゲスなのだが、女の子(雌性体)のためならば、どんな苦労もいとわない。そういうところに、女の子たちは彼がゲスだと知りつつも、完全には突き放せず、惹かれてしまうのだ。
 パターンがマンネリ化しつつあるところで、タマの下僕二号が誕生!彼女のサドっ気が、今日も下僕たちを更なる困難に追い込んでいく。

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)

ハンパなくゲスなのは間違いないのだが、しかし!
評価:☆☆☆☆☆
 見た目が爽やかイケメンの望月砕月は重度の病気だ。清楚系先輩の深草静流とツン系同級生の三渕優沙に二股がばれた瞬間に言ったのが、初体験は3P以上って昔から決めていました!、というどうしようもないもの。さらにどうしようもないのが、その、出会う側から女性というか雌性体を口説くのが本意ではなく、ビョーキだということだ。
 幼なじみの百瀬千夏は幼少時代の彼の犠牲者で、今は彼のビョーキのことを理解しており、親友の八瀬宗助と共に色々と助けてくれる。しかしそれを上回る速度で砕月は評判を貶めていく。その毒牙は、義理の母・香織や義理の妹・莉子にまで及びかねない。

 そんなある日、望月砕月は空から落ちてきた少女タマユラと出会う。彼女はウィザードと名乗り、彼がデバッガであると告げる。それは、世界にありえないファンタジーな存在を消去する能力を持った者のことだった。

 あらすじを見れば分かるとおり、ハーレム系学園ラブコメに異能バトルを付け加えた物語なわけだ。ただ、即効で二股がばれてボコボコにされるところは普通と違う。しかし、騙された女の子たちが、彼のビョーキを知り、それでも彼の内面に惹かれ、結局ハーレム展開に突入する。
 ただ、その過程は、ツンデレあり、ヤンデレあり、暴力あり、監禁ありで、色々と大変。それに異能バトルの方でも、タマが容赦ない策を取るので、肉体的にも精神的にも痛い目に会う。だがそれでも、どんな目に会っても、主人公はそれを許してしまうのだ。

 一体なぜ、そんなキャラクターが出来上がったのか?その理由は後半で明かされる。それはかなりシリアスな、しかし典型的な理由ではあるのだが、そのことや、主人公が誠実な面も持っている事もあり、どんだけ下種な振る舞いをしても、なぜか何とか許容範囲におさまってしまうところが不思議だ。
 ハーレム展開だけではもう現実感がなさ過ぎる。なぜハーレム展開が許されるのか。その理由を含めて描くことが、今のラノベの潮流なのかも知れない。

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