高野小鹿作品の書評/レビュー

魔法とSkyTubeで生きていく

好きなことでは生きていけない?
評価:☆☆☆★★
 樹木世界の雷魔法貴族の継嗣であるレイヴナス・アイゼンハウストは、魔法貴族としての義務を果たすため、見た目と魔法能力だけで結婚相手を探していた。しかしそれが災いし、父親が連れてくる婚約者候補を悉く断り、ついには、家を出るか婚約者を受け入れるかの二択を迫られてしまう。
 家を出ることを選択したレイブナスだったが、その時、異世界である地球の日本へと転移してしまう。近年の地球では、周辺の異世界から異世界人が流入するという現象が続発しており、荒事の需要が少ない日本では、ネット動画配信サイトであるSkyTubeに魔法動画を投稿して糊口をしのいでいるスカイチューバ―となる異世界人が続出していた。

 そんな事情を知らず街をうろつくレイブナスは、ポラリスという蘇生魔術士に出会い、自分の結婚相手の条件を満たしていることに狂喜するも、あっさりとお断りされてしまう。その後、隷音という魔獣娘専門の召喚士と出会い、ヴァリスという指輪魔法(ウェアラブル・マギア)使いを紹介されたレイブナスは、シェアハウス「ハイム・ヘルベチカ」に住むことになり、スカイチューバ―を目指すことになるのだった。

Hero and Daughter Lv1からはじめる勇者奪還作戦

つまらん
評価:☆☆☆★★
 Lv1に固定されてしまう呪いを受けた勇者ラルフは、33人の娘を仲間にし、数々の魔王を打倒してきた。33人の娘たちとも良好な関係を築きつつ暮らしていたラルフの前に、呪いをかけた敵、兵士です!が現れ、ラルフとエロサモナーを拉致してしまう。
 残された33人の娘は、ラルフの未来の娘ラルフィーの提案の下、4人パーティ8つと1暗殺者でラルフを救出しようとする。ところが、兵士です!の策略により、ララ、ホーリー、ストレーガ、ワゴコロ以外の仲間が全て捕らえられてしまうのだった。

 第4回ニコニコ自作ゲームフェス大賞受賞のゲームをノベライズ。

サングリア ‐In the Dracuria earth ‐ (2) 月黄泉‐MOON HADES ‐

月の呪い
評価:☆☆☆★★
 一躍、全世界の注目の的となった芦田土萌華だったが、彼女はこれまで通りの学生生活を送ることを望む。一時は孤立しかける芦田土萌華だったが、新たに友人もでき、彼女の望む学生生活を送れるようになってきた。
 そんな時、彼女の下に第三の始祖である迦喰夜の使いの景久が現れ、会食の招待状をもたらす。

サングリア ‐In the Dracuria earth‐ Rの一族

復讐の嚆矢
評価:☆☆☆☆★
 西暦2228年、全人類は7人の始祖を源流とする吸血鬼に成り果てていた。宝泉聖はサングリアという希少な吸血鬼であり、父母を始祖によって殺され、世界から始祖を駆逐しようとしている。しかし、サングリアは吸血鬼としての能力のほとんどを持たないため、始祖を殺す力はない。従者のルーチェットやエルクに守られ、ブランネリア・コロンバールという少女に正体を知られ、血を搾り取られる弱者でしかない。
 ある日、母親の遺した手帳の記述に従って青木ヶ原樹海を訪れた宝泉聖は、コールドスリープした少女を目覚めさせてしまう。その少女の名は芦田土萌華といい、吸血鬼の始祖を殺すために過去の人類が残した吸血鬼殺しだった。

彼女たちのメシがマズい100の理由 (6)

破局のバレンタイン?
評価:☆☆☆★★
 もうすぐバレンタイン。愛内葉介は、いつものように、香神紅緒からバレンタインチョコがもらえると思い込むが、紅緒はそのことについて悩んでいた。二人に訪れるのは破局のバレンタインなのか?
 シリーズ最終巻だ。

彼女たちのメシがマズい100の理由 (5)

異国の地のクリスマス
評価:☆☆☆★★
 幼馴染の香神紅緒が父親の反対で旅行に行けなくなってしまい、愛内葉介と愛内華凪は、従妹のリリィ・アップルガースと共に、彼女の実家へクリスマス訪問することになった。
 そんな彼らを出迎えたのは、リリィの従妹のグロリア・アップルガースだ。なぜか葉介を敵視するグロリアは、ラクトオボのベジタリアンだった。

 異国の地で繰り広げられるクリスマスと、そこに託された想い。紅緒不在の葉介は、何を思うのか。

彼女たちのメシがマズい100の理由 (4)

ディスコミュニケーション
評価:☆☆☆★★
 山茶花女学院から転校してきた妹の愛内華凪も学校になじみ始め、愛内葉介も一安心だ。相変わらずの、虫ラブには閉口せざるを得ないが、普通の家族としての暮らしができていることはうれしい。
 ところが今度は、藤見川冥と花菱カロンの様子がおかしくなってくる。カロンを構成させるため、冥は世話を焼かないどころか、一切、接触しないようになってしまったのだ。果たして二人はどうなるのか?

彼女たちのメシがマズい100の理由 (3)

地元料理を心から堪能
評価:☆☆☆☆★
 倫敦紅茶館を経営する斎藤オメガから、妹の愛内華凪のことが原因で絶縁された愛内葉介は、姉の愛内龍子に従って、幼馴染の香神紅緒や従妹のリリィ・アップルガースと共に、華凪やオメガの通う山茶花女学院の学園祭に出かける。最近成績が落ちているという、華凪の今後について議論するためだ。
 温泉旅行のノリで、大量に駅弁を買い込み、温泉旅館で地元食材を用いた料理を堪能する旅程を組んでいる龍子だったが、華凪と三年ぶりに再会した葉介は、華凪に逃げられてしまい、まともに話をすることも出来ない。

 それでも何とか話をする機会を持つことが出来たものの、華凪が出してきた条件は驚きのもので、華凪と龍子は徹底的に対立してしまうことになる。
 今回のメシマズは、味的には良いがビジュアルは残念な料理であり、やはり葉介は苦痛を味わうことになる。

彼女たちのメシがマズい100の理由 (2)

小姑の愛
評価:☆☆☆★★
 両親不在で幼馴染の香神紅緒のお世話を受けることになった愛内葉介だったが、才色兼備家事万能に思えた彼女にも唯一の弱点があった。それは彼女の作るメシがマズい。香神紅緒の味覚はかなりハッピーなことになっていたのだ。それに加えて、従妹のリリィ・アップルガースも同居することになり、彼女もイギリス在住のハーフであるため、やはり作るメシは残念。そんなところに、姉の愛内龍子が帰ってくる。
 見た目はココア色の小学生である愛内龍子だが、腕っ節、根性共に最強のお姉様。そんな彼女は、メシがマズいことを理由に、紅緒を愛内家に出入り禁止にしようとする。リリィ・アップルガースの最後のお願いを受け、葉介との幼馴染関係をチップにすることで、出入り禁止解除を賭けた料理勝負に挑むことになるのだが…。

 山茶花女学院に寄宿する妹の愛内華凪のことはひとまず置いておかれ、小姑と嫁(予定)の料理戦争が勃発する。ところが唐突に、リリィが偶然出会った高校一年生の斎藤オメガが経営する倫敦紅茶館でメイドのバイトをすることになり、そこに香神紅緒や、藤見川冥の妹である花菱カロンも加わり、メシマズネットワークは更なる広がりを見せていくことになる。

 視点的には葉介が主人公なのに、物語的には紅緒が主人公であるため、読者としては展開が唐突に感じる部分が多々見受けられる。しかし、次巻はどうやら物語的にも葉介が主人公になるようなので、その辺りが解消されることを祈りたいところだ。

彼女たちのメシがマズい100の理由

可愛いけれどメシマズなヒロインたち
評価:☆☆☆★★
 父親の愛内龍太郎が英国に赴任することになり、母親で料理研究家の愛内京佳も同行することになった。姉の愛内龍子は世界放浪中で、妹の愛内華凪は全寮制の高校に通っている。一人暮らしを満喫することになったはずの愛内葉介だったが、隣家の幼馴染の香神紅緒が母親から家事全般を委任されていたらしく、至れり尽くせりのお世話を受けることになってしまう。
 初めは男の意地で断り、一人で生活していたものの早晩破綻してしまい、結局、紅緒が愛内家に入ってくることになった。ところが、掃除洗濯と何をやらせても完璧な彼女は、料理だけはどうしようもなくダメだった。味覚がおかしいのか、笑える要素も萌える要素もなく、普通にメシがマズいのだ。

 それでも毎日かいがいしく世話しに来てくれる紅緒に感謝しつつ、食事の時間を戦々恐々としながら迎える葉介のもとに、英国人とのハーフの従妹のリリィ・アップルガースがホームステイにやってくる。料理が比較的得意だという彼女に天使の面影を見た葉介だったが、それは早計だった。
 紅緒の友人の花菱カロン、葉介の友人の藤見川冥も巻き込みつつ、主人公の周囲の存在する女子が全て料理下手という状況に苦しめられつつ、女子に囲まれていることから周囲からは妬まれるという展開になる。

 第17回スニーカー大賞優秀賞受賞作品。料理が普通に下手という設定は良いとして、料理下手を要素化しようという試みは中々に苦しい感じがしなくもない。そもそもマズいのは理由もなくマズいのであって、それ自体は差別化要因になりにくい。つまりはそれ以外の要素でヒロインの差別化を図らなければならなくなるわけで、それって普通のラブコメとどこに違いが生まれるのだろう?
 一生懸命差別化を図ろうとする努力は認めるべきだが、食という地味に重要な要素がダメだという巨大なマイナスをプラスとして魅力的に見せられるヒロインに作り上げることは、かなーり困難な気がしなくもない。だって、普通の容姿で料理が上手い女の子が登場したら、葉介はすぐになびいちゃうでしょ?

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