高瀬ききゆ作品の書評/レビュー

神武不殺の剣戟士 (2) アイノススメ

違えた道の果てに
評価:☆☆☆☆★
 帝都剣術学校生徒会長の大柳小鹿が赤マントだったという衝撃の事実から、人々の帝剣に対する批判が高まった。生徒会副会長の風祭久遠は、謹慎と称し帝剣生による帝都の見回りを禁止する。治安が乱れ始めた帝都の路地裏では、九頭龍教団なる邪教が勢力を伸ばし始めていた。
 一方、退院した北辰一刀流の星村千歳は、自分の主君と思い定めた清水龍人が、犬猿の仲の天然理心流の浅木春芽に敗北し、従僕となった様を目撃する。浅木春芽に命じられ、九頭龍教団の調査に向かう清水龍人が気になる星村千歳は、花沢錬次郎を誘い帝都の裏通りへと向かう。そして、九頭龍教団に関係すると言われる少女、本条愛歌の襲撃を受けるのだった。

神武不殺の剣戟士 アクノススメ

剣士たちが生き残る世界
評価:☆☆☆☆★
 廃刀令が廃止されたまま近代化の道を進んだ世界では、万民が刀を持つ権利を持っていた。そんな世界で治安維持を担う人材を輩出する帝都剣術学校に入学した清水龍人は、活人剣を志す剣士だ。しかし本人はそれを悪と認識しており、悪事を働くと称して善行を積んでいる。

 昨今、街を騒がす辻斬りを捕えるため、同室の花沢錬次郎と警邏中だった清水龍人は、北辰一刀流の天才少女、星村千歳から犯人と間違えられて襲われ、返り討ちにしてしまう。
 そのことで星村千歳から日々勝負を挑まれるようになった清水龍人だったが、それを適当にいなしつつ、巨悪となるために、入試で自分よりも上位だった藤堂百合花の日課の掃除を先にやってしまったり、意味不明な努力を積み重ねていた。

 生徒会長の大柳小鹿と生徒会副会長の風祭久遠の確執に巻き込まれ、さらには辻斬り事件の真相に迫っていく。

 第15回えんため大賞特別賞受賞作「帝都剣戟モダニズム」を改題。

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