十階堂一系作品の書評/レビュー

やりなおし魔術機工師の再戦録 (2)

評価:☆☆☆★★
 人類の雌雄を決する戦いから、一年――。  人類を滅ぼさんとする天敵”異海鬼獣”との戦いは、”魔術”と”機工”の融合”魔術機工”によって長足の進歩を遂げていた。逆行し、遡生し……滅びへとつながる歴史を書きかえる戦いは、成功したかに見えた。  しかし、既定路線を外れて加速した歴史は、意図を超えて動き出す。消えた「黒い魔術書(マルギア・レポート)」の謎、ジャークとネトを付けねらう謎の魔術機工師――そしてすべての謎は、つながっていく……畳み掛ける敗北への罠を、覆すことができるか!? ジョエル・ドロア 公税処理班班長スフィオ

やりなおし魔術機工師の再戦録

未来を紡ぐ
評価:☆☆☆★★
 人類は異海鬼獣(リヴァイアサン)によって絶滅寸前まで追い詰められた。瀕死の大魔術師エウヴァルセウは、ただ二人の生き残りである弟子のネト・プラトリオと、機工師見習いのジャーク・タックスを10年前にタイムリープさせ、異海鬼獣に勝利する未来を導くため、最後の大魔術を行使する。

 かくして10年前にタイムリープした二人だったが、そこでは未だ、魔術に特化した国と機工に特化した国がにらみ合いを繰り広げていた。それぞれの国で成長した二人は、それぞれに託された力を駆使し、異海鬼獣に対抗できる唯一の兵器である魔術機工(デハイド)を先駆けて作り上げる。
 かつての滅亡の3年前。魔術機工の本来の開発者であるシェトンプル工房に入ったジャーク・タックスは、歴史に名が残っていない娘アノ・シェトンプルと出会う。そして、シェトンプル工房のライバルとなるロロエ・ヴァーナと出会うのだった。

異世界からの一粒の 〜この姫騎士、チェンジ!〜

へっぽこの手伝い
評価:☆☆★★★
 幼馴染の明井煽から言い寄られながら微妙に距離を取る枯森渉は、空から降ってきた謎の恋し、異世界の欠片に触れ、拒絶の反世という、他者を寄せ付けない能力を得てしまう。そんな彼の前に現れたのは、カエデあるいはファラドゥス・パルリアヘルモドロス・ブル・ジェニングスと名乗る姫騎士だった。
 ところがこのカエデ、初めは凛々しく見えたものの、中身は全くのへっぽこで、枯森渉から異世界の欠片である一粒の異物を回収するのに失敗してしまう。そしてこのへっぽこは、枯森渉の家に居候をはじめ、自分の仕事への協力をさせようとするのだった。

 相変わらず、安定しないキャラクターである。読んでいて落ち着かない。

十三矛盾の魔技使い

薄っぺらい
評価:☆☆★★★
 捻天道、練仙道、炎来道の三種の魔技を教える学園の学期主席には、ソルヴァナイトという称号が与えられる。その称号の保有者は、学内での特権だけでなく、卒業後の就職にも困らない。
 しかし、新一年生の一学期の最優秀生徒は十三人いた。その中のトップを決めるため、校長は魔技を一つだけ利用可能なサバイバルゲームを開催するのだが…。

 ゲームが薄っぺらい。魔技の凄さがまったく伝わらない。成績優秀者揃いのはずなのに、明らかにバカがいる。つまらん。

自称分析官ヴィルヘルムの迷推理

復活した迷分析者
評価:☆☆★★★
 何でもかんでも分析したがる赤村崎葵子に振り回される加茂十希男。東道巡に恋人のあゆみができた。ただ日常を追いかけていたつもりが、いつの間にやら大きな事態に首を突っ込んでいたり。
 調査会社の変なアルバイトをしたり、トイレに残された謎の紙袋の秘密を暴かなかったり、大学で起きたトラブルがお家騒動に発展したりする。

赤村崎葵子の分析はデタラメ 続

最も危険なヒロインは?
評価:☆☆☆★★
 夏の暑い日、ダラダラと部室に向かう加茂十希男は、幼馴染の末蔵かなみがぷんぷんになって部室から出てくるところに遭遇する。いぶかりながら部室に入った加茂十希男が見たのは、下着姿の赤村崎葵子だった。
 テニス部員である末蔵かなみのユニフォームを盗んだという疑惑をかけられた赤村崎葵子は、彼女にテニス勝負を持ちかけ、疑惑を晴らすことにしたらしい。有力プレイヤーだという彼女に対し、赤村崎葵子はどんな分析で対抗するのか?

 夏祭りに出かけた加茂十希男と赤村崎葵子が、迷子になった末蔵かなみの妹と遭遇し、見失った結果、加茂十美乃や東道巡、大戸三雫や加茂十美乃のクラスメイトの神田なつみを巻き込んだ、大捜索が行われる。
 そしてその結果として仄めかされる、加茂十希男が過程に抱える問題。その原因がいる病院へと向かった加茂十希男は、りんごを一個だけ持った神田なつみと遭遇する。彼女の目的とは一体何か?

 ストーリーの連続性よりは、ヒロインたちとの遭遇戦を繰り返している感じだ。

赤村崎葵子の分析はデタラメ

煙に巻いて傷つけない
評価:☆☆☆★★
 赤村崎葵子は、将棋部の部長でありながら分析部を名乗り、あらゆる事象を自分勝手に分析する。それに付き合うのは、将棋をしないのに分析部に所属している加茂十希男だ。矢に射貫かれた林檎をつけたニット帽をかぶり、テルという愛称と、ヴィルヘルムという脳内人格を持つ赤村崎葵子は、学園内の様々な出来事に首を突っ込んでいく。
 妹の加茂十美乃を連れて呼び出し場所に出かけた加茂十希男を煙に巻いたり、募金箱に一万円を入れたおじさんを追いかけて東道巡と騒ぎを起こしたり、一年生のクラス内で起きた財布紛失事件を文芸部の大戸三雫と共に解き明かしたりする。その結果分かるのは、彼女たちが持っている心の傷だった。

 前半はダラダラとくだらない台詞回しが続くので飽きるが、後半はまあまあ楽しめる。

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