中村一作品の書評/レビュー

閃光少女 名もなき光のアイリ

人権よりもエネルギー
評価:☆☆☆★★
 電力が希少になり、それを提供する企業クロノスが絶大な力を振るうようになった世界。資源管理者として皇帝が台頭し、革命によってそれは覆された。そして、皇帝に神託を下していた処女神は、行方不明となってしまう。
 エネルギー問題の解決を目指す宇宙研の研究者だった湊ユウダイの息子である湊コウキは、食料を求めて押し入ってきたアイリという少女と出会う。これは、コウキが父親の死の真実を知るための第一歩となるのだった。

ちびとも! その2

なれないすれ違い
評価:☆☆☆☆★
 イラストレーターを目指す高校生である鳩ヶ谷快人は、従妹の佐倉柚葉の保育園への送り迎えを担当することになった。一人っ子である快人は、妹の扱いが分からず苦労するが、徐々に柚葉に心を開いてもらえるようになってきた気がする今日この頃だ。
 何よりも嬉しいのは、憧れながら言葉を交わすこともなかったクラスメイトの河原さよりと話せるようになったこと。同じように、年の離れた弟の璃空を送り迎えするダブリヤンキーの水野夏南も実は良いところもあると知れ、高校生活も上向いてくる気配を見せている。

 ところが、保育園に通うみゆという幼女が、快人をお兄ちゃんと呼びたいと言ってきたことから、微妙なずれが生じ始めてきた。大人の顔色を見て最適な行動を取るみゆに快人を盗られた気分の柚葉は快人に反発し、柚葉の真意をくみ取れない快人も対抗して、ちょっとした兄妹ケンカの様相を呈してくる。
 一方、さよりの積極アプローチに困惑する夏南は、さよりのおっぱいに懐く璃空を見て嫉妬、ついつい心ない言葉を告げてしまうのだった。

 幼女保育物語にして、幼女をネタに関係する男女高校生の青春もの。保育園の子供たちがほんわか微笑ましく、大人になりきれない高校生という感じが面はゆい。

ちびとも!

オタク少年の子育て?
評価:☆☆☆☆★
 漫研所属のアニメ好きの高校生である鳩ヶ谷快人は一人っ子だ。いつものように部屋に帰ってアニメでも見ようと思っていたら、自分のベッドにはお昼寝をしている幼女がいた。
 彼女の名前は佐倉柚葉。快人の従妹らしい。彼女の生まれたばかりの弟の虎太郎が入院することになり、柚葉にまで手が回らなくなったため、しばらく預かることになったらしい。

 妹が出来たと喜ぶべきかと思うのも束の間、柚葉は彼をバカイトなどと呼び、ちっとも懐かない。それなのに、快人が柚葉を保育園まで送り迎えすることになってしまったのだ。
 保育園には元ヤンっぽいお色気先生のサキと、最終兵器リサ先生がいて、柚葉に懐く璃空という乳児もいる。そしてその璃空を送ってきているのは、ダブりのクラスメイトであり、ヤンキーと敬遠されている金髪無口の水野夏南だった。

 保育園では少しずつ夏南とコミュニケーションするようになった快人だったが、彼が憧れるクラスメイトの河原さよりが保育士志望であり、彼女をちびとも保育園に連れて行ってしまったことで、また少しこじれが生まれてしまう。
 突然家にやって来た女の子とどうすれば友好な関係を築くことが出来るのか。オタク趣味な男子高校生が悩みながら、ちょっとずつ距離を縮めていく物語だ。
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