永菜葉一作品の書評/レビュー

インスタント・ビジョン 3分間の未来視宣告

評価:☆☆☆★★


天空監獄の魔術画廊 (3)

右手争奪戦
評価:☆☆☆★★
 レオナ・ローズライン、キリカ・スワロウテイル、シスター・アネットを仲間にした二級看守リオンは、ヴァレリア・ガレク・ワイズシャットに捨てられたフィーネ・ルウ・ミストレイアを拾う。
 そんな時、リオンは署長に呼び出され、次期副署長を決める熾天の儀に参加するように命じられるのだった。そんな彼の前に、ハイネ・ロットアインという少年が現れる。彼はリオンの持つ魔王の右手を狙っていた。

 最後に、ユフィリア・ファルセットというリオンの幼馴染も仲間に加わる。

お後は笑顔がよろしいようで

落語のお題
評価:☆☆☆☆★
 将来を嘱望された落語家だったものの、久条亭慶雲の芸に憧れて一門を変えた蒼雲と、子供の頃から慶雲の家に居つき前座となった朱雲、久条亭一門の瑞雲の弟子である祥雲らが織りなす物語を、落語の題材になぞらえて語る連作短編だ。

天空監獄の魔術画廊 II

魔王と脱獄王
評価:☆☆☆☆★
 エヴェレット教のシスター・アネットを手に入れられたリオンは、彼女の状態の改善を図りつつ、次なる脱獄作戦を練り始めた。そのために、収監されている元王女で脱獄王ヴァレリア・ガレク・ワイズシャットと配下のフィーネ・ルウ・ミストレイアを味方に加えようとする。

天空監獄の魔術画廊

看守天国
評価:☆☆☆★★
 自称絵描きの少年リオンは、ある日、やってきた女騎士キリカ・スワロウテイルによって天空の大監獄へと投獄されてしまう。そこは、魔王の絵画を見に宿す女性たちと、彼女たちを性奴隷のごとく扱う看守たちが住む場所だった。
 レオナ・ローズラインによって監獄の常識を教えられるリオンだったが、それは彼の人生の転変の始まりに過ぎなかったのだ。

シェイクスピアの退魔劇

ロンドンの亡者
評価:☆☆☆☆★
 記憶をなくし、ロンドンの霧に紛れ込んだ少年は、黒死病の流行で発生した亡者に襲われる。テムズ川南の劇場、三日月座で亡霊から救われた少年は、座付きの劇作家だという女性、シェイクスピアと出会う。
 清教徒によってカトリックの秡魔師が追放された後のロンドンの霊的守護をつかさどるのは、退魔劇作家と退魔女優だ。退魔劇作家で亡き父にあこがれるシェイクスピアは、才能がないにもかかわらず、退魔劇作家であろうとする。一方、彼女の従僕となった少年は、ライバルであるローズ座の退魔劇作家クリストファー・マーロウ曰く、退魔劇作家となれる霊力があるという。

 フィリップ・ヘンズロウの借金を返せなければ、三日月座は取り潰されてしまう。起死回生の一手は、シェイクスピアが退魔劇作家であることを諦め、退魔女優となること。しかし彼女にはその選択はできない。そんな彼女の前に、父と一緒に火事で亡くなったはずの母親が現れる。彼女はローズ座の退魔女優候補となっていた。

ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド

大暴走ファンタジー
評価:☆☆☆☆★
 新大陸西部の黄金を巡り、3つの勢力が相争っていた。開拓者と異分子である黄金郷、そしてフライングデッドという空飛ぶゾンビである。
 ゾンビに開拓者が襲われると、ゾンビと化して開拓者を襲うようになる。ゾンビの魔手から開拓者たちを守るために結成されたのが蹄鉄の開拓団であり、黄金の銃弾でゾンビを滅する力を持つ希少な存在が、秘装銃士だった。

 花星精の輪舞の異名を持つ秘装銃士のひとり、ソフィア・ブラッドフォードは、女盗賊ケヴィン・シンカーの盗んだ黄金の銃弾を追跡し、黄金の刃でハラキリする黄金郷の忍者ウィリアム・ペリウスと出会う。いきなり全裸になって迫るウィルに屈しかけるソフィアだったが、そこにケヴィンが乱入、相合わさってフライングデッドと戦うことになる。
 一時、共に旅することになった3人だったが、立ち寄った街で大地の巫女アイラと出会い、彼女がフライングデッドの大物、六公爵のひとりで白亜の忌手と呼ばれる大ガレス卿を呼び寄せてしまう。

 一方、ウィルの師匠である毘沙門天の命を受け、ウィルを連れ戻しに来る桜火だったが…。

アリストテレスの幻想偽典 2.時空支配の歯車

後輩の女の子
評価:☆☆☆☆★
 リセリア学園に入学した日比野直輝は、謎の昏睡状態に陥った妹の青柳雪乃を目覚めさせるために奔走している中、学園が隠している幻想偽典(ビブリオダスト)に触れ、プラトン「イデアの片翼」を発現させた。それは、世界に七冊しかいない「世界を規定せし書」の、禁忌の八番目でもあった。
 そのことを危険視した生徒会長の天上寺紋芽は、副会長の弓川織絵の反対を押し切り、プラトン「イデアの片翼」を消滅させようとする。しかしその時、幻霧の爆弾魔が現れたため、その犯人を日比野直輝が一人で捕まえることを条件に、判断が保留されることになる。

 慣れない捜査に困惑する日比野直輝だったが、偶然出会った中学生の時路琉音の助けを借り、徐々に幻霧の爆弾魔の秘密に迫っていく。それは、幻想偽典(ビブリオダスト)の読み手たちの闘争の歴史に迫ることでもあった。

アリストテレスの幻想偽典 1.禁忌の八番目

オイシ過ぎる状況
評価:☆☆☆☆★
 リセリア学園に入学した日比野直輝は、突如、謎の昏睡状態に陥った妹の青柳雪乃を目覚めさせる手がかりを探す内に、幻想偽典(ビブリオダスト)の力を揮う弓川織絵とキルケゴールの戦闘の場に入り込んでしまった。その戦いの最中に、幻想偽典を手に取り、プラトン「イデアの片翼」を目覚めさせた日比野直輝は、キルケゴールを退けることに成功する。
 キルケゴールが青柳雪乃を昏睡させた犯人の可能性が高いことを知った日比野直輝は、自分にも幻想偽典の使い方を教えて欲しいと嘆願する。生徒会長の天上寺紋芽が不在の中、弓川織絵は緊急措置として、狙われる可能性の高い直輝と同居して、彼の訓練に尽力することとなる。

 本当はテンパっているのだけれど、後輩の手前、余裕のあるフリをして頑張る先輩に振り回される男子高校生という構図になっている。いきなりヒロインの主人公に対する好感度が高い訳だが、それにはいくつかの複合的な要因があり、随時、明らかにされていく。
 色気のある女の先輩はありがたいのですが、あまりにもオイシイ状況過ぎて信用できない感じ。ほどほどの距離感というのも重要なのかも知れない。

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