南房秀久作品の書評/レビュー

アリス・イン・ゴシックランド III 吸血機ドラキュラ

浮気のイグレイン
評価:☆☆☆☆☆
 イグレイン・ホームズを拝み倒して、愛しの未亡人ポリーとのお茶会を設定してもらったジェレミー・シェリダン・グリフィスは、ポリーがイグレインの学校の先輩であり、ポリーの同級生だったルーシー・ウェステンラやミナ・マレーを紹介してもらう。
 イグレインの怒りを感じながらも、喜び勇んで彼女たちをライシ−アム劇場に招待したジェレミーは、そこで旧知のオスカー・ワイルドから、ワラキア公ヴラド・ツェペシュを紹介されるのだった。

 イグレインに色目を使うヴラドに、嫉妬とは異なる薄ら寒いものを感じるジェレミーだったが、いまはまず、駄目メイドのケイトの姉のような存在だった娼婦エイプリルを殺した犯人を見つけなければならない。そのエイプリルは、全身の血液を抜かれて死に絶えていた。
 友人のジョセフ・ケアリー・メリックの意見を聞き、犯人が吸血鬼だと直感したジェレミーは、歴史をひもとき、ブラドの秘密に迫っていく。

 シリーズ最終巻。徐々に面白くなってきたので残念。やはりスタートに失敗するのは致命的だな。

アリス・イン・ゴシックランド II 怪盗紳士と大聖堂の秘法

オカルトの脅威
評価:☆☆☆☆★
 路地裏で拾った少女アリスがジルという殺人鬼の心を抱えていることを知ったジェレミー・シェリダン・グリフィスは、居候するイグレイン・ホームズにも秘密で、アリスを救おうとしていた。
 そんなとき、ジェレミーとイグレインの前に、フランス子爵のラウル・ダンドレジーが現れ助力を求めてくる。狼少女に襲われる彼は、エレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツカヤという霊媒師に仲間になるように脅されているというのだ。

 ネオ・ヘルファイア・クラブの新たなメンバーが現れ、ジェレミーたちに関わって来る。ジェレミーの姉の死に隠された真相も仄めかされ、全てが無縁というわけではないらしい。

アリス・イン・ゴシックランド 霧の都の大海賊

霧の都の大騒動
評価:☆☆☆★★
 侯爵家の次男であるジェレミー・シェリダン・グリフィスは、18歳にしてスコットランド・ヤードの犯罪捜査部へ栄転となった。本庁への出頭前日、ジェレミーは薄暗い路地裏で、裸足でボロを纏った血濡れた少女アリスを拾い、自宅へと連れて行く。
 翌日。CIDで上司となったレストレイド警部に連れられて向かったベイカー街でジェレミーを待ち受けていたのは、高名な探偵シャーロック・ホームズの妹であるイグレイン・ホームズと、ワトソン夫人の娘の17歳の未亡人ポリーだった。

 ポリーに一目惚れし、イグレインとは角突き合わせる関係となったジェレミーだったが、アリスを拾った場所でその時間に娼婦を狙った殺人事件が発生していたことを知り、興味を持つ。さらには、イグレインと行動を共にすることで、ロンドンを騒がせる“ネオ・ヘルファイア・クラブ”に関わることになっていく。

 この作品は二次創作と理解するのが妥当なんじゃないかな?霧の都を舞台に、時代を無視した科学オカルトが渾然一体となって騒動を巻き起こしていく。
 登場人物たちの多くは、有名作品の登場人物の関係者だったりするので、説明がかなりおざなりになっている部分があり、オリジナルと称するには問題があると思う。いまひとつ、キャラクターの魅力が組み立てられて居ないんだよな。

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