西尾維新作品の書評/レビュー

掟上今日子の裏表紙

評価:☆☆☆★★


人類最強のときめき

評価:☆☆☆★★


結物語

評価:☆☆☆★★


非衛伝

評価:☆☆☆★★


掟上今日子の旅行記

評価:☆☆☆★★


撫物語

評価:☆☆☆★★


掟上今日子の家計簿

評価:☆☆☆★★


掟上今日子の婚姻届

評価:☆☆☆★★


人類最強の純愛

評価:☆☆☆★★


業物語

それぞれの物語の始まり
評価:☆☆☆★★
残酷童話「うつくし姫」
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが人間ローラだった頃の物語。

第零話「あせろらボナペティ」
アセロラ姫が吸血鬼デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターと従者トロピカレスク・ホームアウェイヴ・ドックストリングスに出会う。

第零話「かれんオウガ」
火燐が山に武者修行に行く。

第零話「つばさスリーピング」
羽川翼が忍野忍を見つけ出した後の話。

掟上今日子の退職願

短編集
評価:☆☆☆★★
「掟上今日子のバラバラ死体」
 佐和沢警部は、大小十数個の部位に分割された聖野帳の遺体に遭遇する。

「掟上今日子の飛び降り死体」
 鬼庭警部は、マウンド上で墜落死したプロ野球選手・桃木両太郎の遺体に遭遇する。

「掟上今日子の絞殺死体」
 山野辺警部は、縊死した霜葉総蔵の不可能事件に遭遇する。

「掟上今日子の水死体」
 波止場警部は、小さな池の中央で見つかった加瀬木二歩の溺死体に遭遇する。

ぺてん師と空気男と美少年

トリックを見破れ
評価:☆☆☆★★
 瞳島眉美が拾った落し物は、お札の束だった。しかし指輪創作によって、それが偽札であることが明らかになる。その中に入っていた招待状に従い向かった先は髪飾中学校。そこで開かれていたのは、札槻嘘によるカジノだった。美少年探偵団と稀代のペテン師の騙し合いが始まる。

悲亡伝

対地球組織の変貌
評価:☆☆☆★★
 不明室改め自明室室長の左右左危博士に呼び出された空々空は、四国絶対平和リーグのチーム・ウィンターのパドドゥ・ミュールの本来の所属元であるロシア道徳啓蒙局が何者かによって一瞬にして壊滅したと知らされる。
 右左危博士の依頼で道徳啓蒙局をつぶした組織を探すことになった第九機動室室長改め空挺部隊隊長の空々空は、扱いづらいメンバーを振り分け、容疑組織である世界の対地球組織の内偵をすることになる。

 イギリス「永久紳士同盟」には好藤覧と灯籠木四子、アメリカ「USAS」には空々空と虎杖浜なのか、フランス「宿命革命団」には地濃鑿と酒々井かんづめ、中国「仙億組合」には杵槻鋼矢と手袋鵬喜、新興国「人間王国」には自明室からレンタルの乗鞍ぺがさと馬車馬ゆに子、救助船「リーダーシップ」には氷上竝生と人造人間・悲恋を送り、ロシアには酸ヶ湯原作と共に左右左危博士が向かう。

美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星

噴飯ものの事件
評価:☆☆☆★★
 私立指輪学園中等部二年の瞳島眉美は、14歳の誕生日を目前に、夢を諦めなければならなくなっていた。そんな彼女が屋上で、双頭院学という少年に出会う。彼に彼女の悩み、十年前に一度だけ見た星を探すを伝えたところ、連れて行かれたのは学校の美術室。そこにいたのは、校内でタブー視される美少年探偵団だった。
 無名の団長の美学の双頭院学を筆頭に、不良と噂の美食の袋井満、美声の生徒会長・咲口長広、ちゃらい美脚の足利飆太、学園理事長にして美術の指輪創作と、いずれも個性的な面々ばかり。そして彼らは十年前の謎をあっさりと解き明かすのだが、それは瞳島眉美に危険を呼び込む行為だった。

 十年前の真相が噴飯もので、ミステリー?としては内容が無い様。

掟上今日子の遺言書

短編なら30ページで終わる内容
評価:☆☆☆★★
 またしても不幸に見舞われた隠館厄介は、ビルの屋上から飛び降りた女子中学生の逆瀬坂雅歌のクッションとなり、各部を骨折して入院してしまう。そしてさらには、マスコミから濡れ衣を着せられ、まるで彼が女子中学生を殺そうとしたかのように報道されてしまう。
 そんな入院中に病室を訪ねてきた紺藤文房は、忘却探偵と連絡を取って欲しいと依頼してくる。その理由は、逆瀬坂雅歌の遺言書に、彼が担当する漫画家の阜本舜の名前が書かれていたからだった。

愚物語

ちょっとダメな少女たち
評価:☆☆☆★★
第一話「そだちフィアスコ」
公立宍倉高校に転校した老倉育だったが、自己紹介で失敗し、話し相手を作ろうとしてクラスのデリケートな部分に土足で踏み入ってしまう。

第二話「するがボーンヘッド」
自室を掃除していた神原駿河は、処分したはずのミイラの手を発見してしまう。そして何故か彼女の部屋に踏み込んできていた忍野扇と共に、暗号解読に当たることになってしまう。

第三話「つきひアンドゥ」
阿良々木月火を監視する斧乃木余接だったが、アイスクリームに夢中になり過ぎて、彼女に動くところを見られてしまう。それをごまかそうとして、問題を大きくしてしまうのだった。

掟上今日子の挑戦状

警部たちの苦労
評価:☆☆☆★★
「掟上今日子のアリバイ証言」  元競泳選手の鯨井留可は、もうすぐ現役競泳選手の宇奈木九五が死ぬことが分かっていた。そしてそのアリバイ作りのために、カフェにいる女性に声をかける。その女性こそ、掟上今日子だった。
 翌日、肘折警部の訪問を受けた掟上今日子は、鯨井留可のアリバイを確認される。しかし当然その答えは…。

「掟上今日子の密室講義」
 アパレルショップ「ナースホルン」のフィッティングルーム(試着室)で発見された常連客の死体。警察署長からアパレル用語の通訳の依頼を受け、遠浅警部のもとを訪れた掟上今日子は、業務外の推理をしないよう頑張る。

「掟上今日子の暗号表」
 人材紹介業を営む結納坂仲人は、共同経営者の縁淵良寿を殺害する。そして彼の残した暗号から金庫を開く鍵を手に入れようとして、掟上今日子に解読を依頼するのだった。

十二大戦

代理戦争の舞台裏
評価:☆☆☆★★
子「うじゃうじゃ殺す」寝住
丑「ただ殺す」失井
寅「酔った勢いで殺す」妬良
卯「異常に殺す」憂城
辰「遊ぶ金欲しさに殺す」断罪兄
巳「」断罪弟
午「無言で殺す」迂々真
未「騙して殺す」必爺
申「平和裏に殺す」砂粒
酉「啄んで殺す」庭取
戌「噛んで含めるように殺す」怒突
亥「豊かに殺す」異能肉

 上記12人が、人のいなくなった都市を舞台に殺し合いを繰り広げる。

人類最強の初恋

世界ぐるみのいじめ
評価:☆☆☆☆★
「人類最強の初恋」
 世界の表裏の組織・団体が紳士協定を結び、強くなりすぎた人類最強の請負人・哀川潤に仕事を依頼しないことになった。世界からいじめられた哀川潤は、彼女が来たために避難警報が発令され無人になった東京のスカイツリーの天辺に降り立ち、無常をかみしめる。そんな時、宇宙から彼女めがけて飛んでくるものがあった。
 長瀞とろみ、若紫和歌、肆屍然刃ら監視チームによって、廃墟となった東京から掘り起こされた哀川潤は、ER3システムの支部長である因原ガゼルから、一般市民としての協力を求められる。

「人類最強の失恋」
 世界最高の頭脳であるヒューレット准教授によって紳士協定が破たんし、哀川潤は依頼を受けて、宇宙服の性能実験をするために月に行くことになった。ところがそれは、哀川潤を排除したい勢力による罠だったのだ。

掟上今日子の推薦文

守れない警備員
評価:☆☆☆★★
 美術館の警備員をしていた親切守は、模写をしに来ていた画家の卵の少年、剥井陸の行動がきっかけで、額制作の大家である和久井和久のとばっちりを食らい、仕事を首になってしまう。
 何度も同じ絵を見に来る掟上今日子と知り合いになった親切守は…。

掟上今日子の備忘録

忘却探偵の登場
評価:☆☆☆★★
 古今東西の名探偵たちは、日常的に非日常な殺人事件に遭遇する。ゆえに彼らは名探偵としての能力をいかんなく発揮することができる。隠館厄介は、彼らと同様、不思議な事件に遭遇する性質を持っている。ただし、その疑いを晴らす探偵能力の持ち合わせはない。その代わり、彼には名探偵たちとのつながりがある。
 そんな彼がこの度の事件で呼び出した名探偵は掟上今日子。またの名を忘却探偵。名探偵として一睡もせずに事件をスピーディーに解決する彼女は、ひとたび寝るとそれまでの記憶を失ってしまう。文字通りの忘却探偵なのだ。

 編集者の紺藤文房からの相談を受け、またしても彼女に依頼に行く彼は何を見る?

続・終物語

裏返しの世界
評価:☆☆☆☆★
 卒業式の翌日。妹たちに起こされず自分で目覚めた阿良々木暦は、自分の姿が映る鏡をしげしげと眺めていた。ところがその鏡に映る自分の姿が自分に追随せず、紫に光りだした鏡に触れた途端、鏡の内側に吸い込まれてしまう。そこに広がっていた世界は…?

 初回出荷限定付録『西尾通信』にて、2014年10月発売の新シリーズ『掟上今日子の備忘録』第一話を収録。

悲業伝

サブキャラ視点
評価:☆☆☆★★
 絶対平和リーグの地元である四国で起きている異常現象を調査するために送り込まれた地球撲滅軍第九機動室室長の空々空と、四国殲滅を使命として送り込まれてしまった不明室の殲滅兵器である悲恋。悪化する事態を何とかするため、不明室室長の左右左危にそそのかされ、第九機動室室長補佐の氷上竝生は四国に乗り込むことにする。
 空々空の痕跡を追って四国を巡る氷上竝生は、絶対平和リーグの魔法少女製造課課長の酸ヶ湯原作と出会い、魔法少女ストロークこと手袋鵬喜のゲームクリアをサポートして欲しいという依頼を受ける。手袋鵬喜は、かつて飢皿木鰻が診察し、牡蠣垣閂と剣藤犬个がスカウトに向かった、空々空の前に英雄となるかもしれなかった少女だった。

 チームサマーのパンプキンこと杵槻鋼矢の残した魔法少女のコスチュームを手に入れた左右左危と氷上竝生は、水を操る魔法少女シャトルこと国際ハスミの魔法の痕跡を見、木を操る魔法少女スタンバイこと誉田統子の攻撃から逃れて目をくらまし、風を操る魔法少女スペースこと虎杖浜なのかから見逃され、土を操る魔法少女スクラップこと好藤覧の攻撃をかわし、火を操る魔法少女スパートこと灯籠木四子の猛火を跳ね返す。
 そうして四国で起きている事態の情報を集め、四国全体にバリアを張っているのが始まりの魔法少女キャメルスピンであることを知るのだった。

 手袋鵬喜、氷上竝生のダブル主役で展開するストーリー。最後にようやく空々空と合流する。

終物語 下

扇の正体
評価:☆☆☆★★
 直近の物語をかき回した忍野扇の正体が明らかになる。

第五話「まよいヘル」
臥煙伊豆湖にバッサリと切られた阿良々木暦が目を覚ましたのは、阿鼻地獄だった。そしてそこで待ち受けていた八九寺真宵の導きで、地獄めぐりをする。

第六話「ひたぎランデブー」
受験が終わった阿良々木暦は、戦場ヶ原ひたぎとデートに出かけることになった。前回は父親同伴のデートで度肝を抜いた彼女だったが、今回彼女が用意したサプライズとは…。

第七話「おうぎダーク」
いよいよ忍野扇と対峙する時がやってきた。これまで出会った相手を見捨てなかった阿良々木暦に対し、臥煙伊豆湖は今回は彼女を見捨てるように言う。全てを丸く収めるため、その言葉を受け入れた阿良々木暦だったが、滑り込みで帰還した羽川翼によってある可能性がもたらされる。

終物語 中

根本原因
評価:☆☆☆☆★
「第四話 しのぶメイル」
 臥煙伊豆湖に併せるために学習塾跡に神原駿河を呼びだした阿良々木暦は、甲冑の化け物に襲われ、突如発生した炎によって救われる。ひとまず立ち去ったその甲冑は、忍野忍、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの初めての従者、死屍累生死郎を思わせる言動を取るのだった。
 斧乃木余接からの連絡を受け、合流地点の公園へと向かう阿良々木暦と神原駿河は、道中、蝸牛の怪異によって迷わされることになる。そしてそこを切り抜けた後に明らかになる、この街に怪異が集中する理由とは?

りぽぐら!

完成度はお察し
評価:☆☆☆★★
 タイトルはリポグラムの略で、特定の文字を使わずに文章を書く言葉遊びを指している。本作では、まず制約なく短編を書き、10文字ずつ禁止文字を設定して同じ短編を書くということをしているので、同じ短編の別表現が4本収録されている。
 言葉遊びとしては面白く、おそらく執筆しているほうは楽しいし、チェックしているほうもゲームみたいなものだと思うが、読者は同じ話を繰り返し読むことになるので飽きる。また、無理やり変な単語を作り出して文章を成立させているような部分もあるので、文章としての完成度も高くはない。

 読者も楽しめるように、例えば、どの文字を禁止したのかを秘密にしてそれを推理するという様なゲーム調にした方がまだましだったかもしれない。


「妹は人殺し!」
 妹のベッドの下に死体が隠されていることに気付いた兄が、自分の将来のためにその殺人を隠蔽しようとする。

「ギャンブル「札束崩し」」
 借金を抱えた人が、金持ちの娯楽として、将棋崩しの札束版に挑戦して借金を帳消しにしようとする。

「倫理社会」
 善行がポイント化されポイントがなければ生きることすらできないという社会で、システムの死角となるビルの谷間を発見した人の行動を描く。

終物語 上

正しく終われなかった思い出
評価:☆☆☆☆★
 謎の少女、羽川翼が阿良々木暦の記憶をひっかきまわす。

第一話「おうぎフォーミュラ」
 神原駿河から紹介された転校生にして忍野忍の姪だという忍野扇により、彼女が調べたという学校の校舎にある奇妙な空間の調査に連れ出されてしまった阿良々木暦は、扇と共に存在しないはずの教室に閉じ込められてしまう。
 脱出のための徒労を積み重ねた末、そこが二年前に自分がいた教室だということに気付いた暦は、老倉育という当時の委員長の存在と、彼女が主導して行われた終わらない学級会の出来事を思い出す。それは後味の悪いものだった。

第二話「そだちリドル」
 不登校になっていた老倉育が学校に復帰した。彼女に罵倒された阿良々木暦は、自身が数学だけは得意になったルーツについて考えを巡らせるが思い出せない。
 忍野扇に誘われてとある廃墟へと侵入した阿良々木暦は、そこに奇妙な懐かしさを感じる。そこは、五年前に彼が謎の少女によって数学を教えてもらった思い出の場所だった。

第三話「そだちロスト」
 教室で接近遭遇した戦場ヶ原ひたぎと老倉育が問題を起こした。阿良々木暦は羽川翼の助けを借り、老倉育との始まりである六年前の記憶を掘り起こそうとする。そこに忍野扇が登場し、羽川翼と対立することになるのだった。

悲報伝

仁義なき魔法少女の殺し合い
評価:☆☆☆☆★
 四国で絶対平和リーグの引き起こした現象を調査する地球撲滅軍第九機動室室長の空々空は、不明室が送り込んできた殲滅兵器である悲恋と遭遇する。それは四国を消滅させる爆弾ではなく、少女の形をした機械だった。

 悲恋を口先でごまかして丸めこみ、気絶したチームウィンターの魔法少女ジャイアントインパクトこと地濃鑿と、魔女と呼称される幼女、酒々井かんづめと共に次の展開を待っていた空々空は、チームスプリングのリーダーであるベリファイこと鈴賀井縁度と遭遇し、協力を申し出る。
 一方、空々空と共闘するチームサマーのパンプキンこと杵槻鋼矢は、チームオータムの魔法少女クリーンナップこと忘野阻に実力を認めさせ仲間入りを果たす。しかしチームスプリングとチームオータムは、ゲーム攻略をそっちのけで春秋戦争という血で血を洗う抗争を繰り広げていた。

めだかボックス ジュブナイル 小説版

千怒なまじ
評価:☆☆☆☆★
 箱舟中学第六十六代生徒会執行部会長を務める球磨川禊に誘われた黒神めだかが、かつて球磨川禊に戦いを挑み生徒会を去ることになった元会計の千怒なまじと出会い勝敗を決するまでの状況を語る。

悲惨伝

魔法少女と魔女
評価:☆☆☆☆★
 四国で起きている現象を調査するため潜入した地球撲滅軍第九機動室室長の空々空は、絶対平和リーグの魔法少女たちとの死闘を経て、魔法少女の一人、杵槻鋼矢と共闘関係を結ぶことになった。
 彼女からの事情説明を受け、何が起きているのかを理解した空々空は、不明室の新兵器発動を阻止してタイムリミットを解除するため、いったん、四国を脱出しようとする。ところがそのとき、彼らを黒い魔法少女が襲う。

 何とか逃げることには成功したものの、杵槻鋼矢と引き離されてしまった空々空は、不時着した建物で、ただ一人生き残っていた幼女の酒々井かんづめと出会う。
 行きがかり上、彼女を連れて逃走することにした空々空は、避難した地下ショッピング街で、杵槻鋼矢が合流しようとしていた魔法少女、地濃鑿と出会うのだった。

 今回も四国編は終了することなく、あと2巻くらいは続くらしい。

暦物語

物語に差し込まれた短編集
評価:☆☆☆★★
 阿良々木暦ハーレムの寵姫たちを話し相手とする、阿良々木暦の怪異な日常を描く短編集。月ごとのエピソードになっていて、4月から3月まで1本ずつ収録されている。事後談であり事前談という感じだろうか。

第一話 こよみストーン
4月。羽川翼がヒロイン。学校にある祀られた石の謎を解き明かす。

第二話 こよみフラワー
5月。戦場ヶ原ひたぎがヒロイン。屋上におかれた花束の謎を解き明かす。

第三話 こよみサンド
6月。八九寺真宵がヒロイン。砂場に現れる模様の謎を解き明かす

第四話 こよみウォーター
7月。神原駿河がヒロイン。お風呂に移る運命の人の謎を解き明かす。

第五話 こよみウインド
8月。千石撫子がヒロイン。貝木泥舟の手口の謎を解き明かす。

第六話 こよみツリー
9月。阿良々木火燐がヒロイン。道場に突如現れた木の謎を解き明かす。

第七話 こよみティー
10月。阿良々木月火がヒロイン。茶道部の八人目の謎を解き明かす。

第八話 こよみマウンテン
11月。忍野扇がヒロイン。北白蛇神社建立の謎を解き明かす。

第九話 こよみトーラス
12月。忍野忍がヒロイン。ドーナツ&ドーナツ。

第十話 こよみシード
1月。斧乃木余接がヒロイン。彼女が暦を指で掲げた理由とは?

第十一話 こよみナッシング
2月。影縫余弦がヒロイン。余接との関係性が明らかに?

第十二話 こよみデッド
3月。臥煙伊豆湖がヒロイン。真打登場。物語の伏線?

悲痛伝

魔法少女を剥く
評価:☆☆☆☆★
 世界人口の三分の一を削り取った「大いなる悲鳴」を引き起こした地球を打倒しようとする組織、地球撲滅軍に入った私立山石中学校一年の空々空(そらからくう)は、「地球陣」との死闘や仲間殺しという汚名を経て、第九機動室室長となっていた。
 第九機動室副室長の「焚き火」氷上竝生からもたらされた次なる作戦は、連絡が途絶し、上空からの撮影で誰ひとり人間が確認できなくなってしまった四国に潜入し、事態の詳細を探るというものだ。ヘリコプターからパラシュートで降下し、無事に着陸した空々空は、氷上竝生に連絡しようとしたところで、謎の爆撃を受けてしまう。

 辛くも危機を乗り越えたところで彼の前に現れたのは、四国に拠点を置く絶対平和リーグの構成員である登澱證という少女だった。彼女は空々空に対し、四国で起きていることが、いくつかのルールに抵触すると攻撃を受けるゲームだという情報をもたらす。だがそんなことより、空々空には気になることがあった。彼女は、ふりふりのドレスを着て宙に浮かぶ、魔法少女メタファーだったのだ。
 一方、本部に残った氷上竝生は、不明室室長の左右左危からアプローチを受ける。彼女は四国で起きていることをかなり正しく推察していた。

 魔法少女の登場なのだが、とても殺伐とした展開と、空々空に課せられる思わぬ試練が中心となっている。とても分厚いが、事件は1巻では終息せず、次巻「悲惨伝」へと続いている。

めだかボックス外伝 グッドルーザー球磨川 小説版(下) 『水槽管理のツークツワンク』

少しもゲームにならない負けっぷり
評価:☆☆☆☆★
 須木奈佐木咲の傀儡の下で水槽学園生徒会長となった球磨川禊は、安心院なじみとのゲームを受け、鉄砲撃や木盟を撃破して勇者の剣、身削ぎ丸を手に入れた。次のステージの対戦相手は焼石櫛、須木奈佐木咲の幼馴染だった。

 これほど主役が活躍しない下巻がかつてあったであろうか。いかに傀儡とは言え、働いても意味のない傀儡、やることなすこと裏目に出る主役というところが球磨川としか言いようがない。おかげで、楽をするはずの操る側が一生懸命苦労して、色々と気を使って、何とか政権を維持しようというありさまだ。
 教訓は、球磨川にはプラスの意味でも、マイナスの意味ですら、期待してはいけない。

 水槽学園崩壊まであと一カ月というところで終っているのだけれど、果たして続編はあるのか?

めだかボックス外伝 グッドルーザー球磨川 小説版 上 『水槽に蠢く脳だらけ』

安心院さんの球磨川いびり
評価:☆☆☆★★
 「めだかボックス (15)」に収録の「グッドルーザー」の続編。須木奈佐木咲に誘導され、蛇籠飽、練兵癒、般若寺憂、坂之上替、花熟理桃の政権を倒した球磨川禊は、水槽学園生徒会長となった。
 二人生徒会として学園を運営する球磨川の夢に安心院なじみが現れ、メッセージを水槽学園の生徒に託したという。その生徒の名は鉄砲撃と言った。彼女にメッセージを聞きに行く球磨川だったが、鉄砲からある勝負を挑まれてしまう。

 そしてもうひとりの安心院なじみの端末の木盟が登場。こちらはスキル持ちじゃないのだけれど、やはり球磨川にひどい目に遭わされてしまう。
 球磨川の理不尽さをたっぷりと味わえる外伝なのだが、負ける負けると言っている割には、結構、実質的勝利をおさめている気もしなくもないな。

憑物語 第体話 よつぎドール

強制される変化
評価:☆☆☆☆☆
 バレンタインデー前日。戦場ヶ原ひたぎと羽川翼のW家庭教師のおかげで何とか大学受験を迎えようとしている阿良々木暦を妹の阿良々木火燐と阿良々木月火が起こしに来た。目覚まし時計に関する盛大な言い分けが続いた後、ランニングに出かけた火燐のためにお風呂を沸かしていた暦は、なぜか月火と一緒にお風呂に入ることになってしまう。
 禁断の兄妹のお風呂風景がひたすら続くかと思いきや、その最中に暦は気づいた。月火が映っている鏡に自分の姿が映っていない、と。

 元キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードであるところの忍野忍に相談したところ、臥煙伊豆湖経由で影縫余弦の式神である斧乃木余接に相談するようにアドバイスされてしまう。そしてその結果、暦は事実上、目を背けていた現象と向き合うことになるのだった。
 そのまま何も起らなければ良いという期待をあざ笑うかのように、忍野扇が陰で糸を引く形で、手折正弦という、不死身の怪異の専門家がちょっかいを出してくる展開となる。

 火燐との歯磨きプレイに比べれば、月火とのお風呂はある意味で王道で普通だな。迫られるとあっさりと許してしまう妹たちには教育的指導が必要な気もする。
 いよいよ終わりに向けて道が定まってきた感じ。その結末がどうなるかは、まだ揺らぎがありそうだけれど。

小説版 めだかボックス (下) 木八理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト

真面目なおっさんが振り回される
評価:☆☆☆☆★
 現生徒会顧問である椋枝閾から依頼を受けた木八理知戯は、いつものように何の見返りもなく彼のために働くことにした。その依頼とは、黒神めだかの生徒会長選挙への立候補を阻止することだ。椋枝閾から依頼を受けて即、久々原滅私や啝ノ浦さなぎから情報を集める理知戯だったが、彼は一つの可能性を考慮するのを忘れていた。
 そして、現在を大切に思うばかり、未来志向のめだかとは相容れない椋枝閾は、黒神めだかを生徒会長選挙から排除するため、行動を起こそうとしていた。そんな彼の前に、不知火半袖と大刀洗斬子が立ちふさがり、彼女たちらしい言葉で、椋枝閾が選ぶべき道を説いてくる。

 何となく、めだかボックスというのは西尾維新の上遠野浩平的な側面が出ている作品なのかな、と思わされるような仕上がりになっている印象を受けた。真面目な教師を描いているせいか、言葉遊びもかなり少なめだし。

 初回特典として箱庭学園新聞第2号を付録。今回は会計と書記の紹介。

小説版めだかボックス(上)久々原滅私の腑抜けた君臨または啝ノ浦さなぎの足蹴による投票

箱庭学園の教師たち
評価:☆☆☆★★
 「めだかボックス」の小説版。原作者が小説として書いているだけなので、いわゆるノベライズというやつとは少し位置づけが違う気がする。

 箱庭学園一年十三組に入学した黒神めだか。そんな彼女の担任をすることになったのは、コネで採用されたやる気のない教師、久々原滅私だ。基本的に登校義務のない十三組生にも拘らず、昨年の雲仙冥利に引き続き、きちんと教室に来るめだかの担任をすることになってしまい、仕事をする必要がないはずだった担任というポジションは、逆に辛いそれになってしまった。
 ともかく、やる気のない久々原滅私には、自分より優秀な生徒にどう接したらいいか見当もつかない。同僚の木八理知戯に相談し、思い余って旧校舎管理人の黒神まぐろに解析されに行ったりもするのだが…。そのうち、ボロボロになって登校して来ためだかは、彼にひとつの頼みごとをしてくるのだった。

 一方、もう一人の異端十三組生である雲仙冥利を担任する啝ノ浦さなぎは、安心院なじみの端末、悪平等の一人だった。彼女の前に二十七人も担任の首をすげ変えた雲仙が、何故か彼女には何もしない。そんな彼女は、やる気のない久々原滅私を見下しているのだが…。

 本編に教師は登場しないが、小説版は教師がメイン。しかも十三組生を担任する二人にスポットがあてられる。
 あからさまにダメな先生にも拘わらず、生徒会顧問への就任を生徒会長選挙前に依頼される久々原滅私と、評判としては有能な教師であるにも拘らず、めだかの評価は低い様に見える啝ノ浦さなぎ。めだかの観察は、彼らにどんなさを見出しているのか。教師としての姿勢を暗に問う作品だ。

 初回特典として箱庭学園新聞第2号を付録。今回は人吉善吉の紹介。第3号は「小説版 めだかボックス (下) 木八理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト」に付録予定とのこと。

悲鳴伝

敵と正義と自分
評価:☆☆☆☆☆
 2012年のクリスマス、世界中に響いた「大いなる悲鳴」は、世界人口の三分の一を削り取った。全くのランダムに、生き残った者には何の影響を残すこともなく、突然に三分の一の人類が死んでしまったのだ。
 しかし、半年たった世界は、未だその原因が分からないにも拘らず、それを冗談のネタにしてしまうことを許すくらいの平穏を取り戻していた。私立山石中学校一年の空々空(そらからくう)にはそれが理解できない。

 小学生時代の野球のライバルだった少女の花屋瀟の紹介で、精神科医である飢皿木鰻の問診を受けた。そしてその結果、彼の住む世界は一変してしまう。帰り道に彼の前に現れた17歳の少女の剣藤犬个(けんどうけんか)にいきなりキスをされ、翌日は熱を出して寝込んでしまった空々空が次に目を覚ました時、家族はリビングで惨殺されていたのだ。
 両親と弟たちを唐竹割りやスライスにしたのは先日の少女。そして彼女について来た男は、地球撲滅軍第九機動室室長の牡蠣垣閂と名乗り、彼にヒーローとなって地球と戦って欲しいと言った。

 彼は言う。前の「大いなる悲鳴」は地球による人類虐殺の試みであり、有史以来、人類は密かにその地球のたくらみに抵抗して来た。人類社会には、人類と全く見分けのつかない、本人にも自覚のない地球のスパイ「地球陣」が紛れ込んでおり、空々空はその存在を見抜く唯一の存在である、と。
 家族を殺した剣藤犬个と同棲することになり、そのことを何とも思わない空々空は、言われるままに、地球陣だという女性を踏み殺す。子どものいる母親だという彼女を殺しても、何も感じない。

 しかし、多くの地球陣と、巻き添えとなった人間を殺してきたにもかかわらず、未だに良心の呵責を感じ、精神ブロック剤で感情を抑えつけながら、夜中に魘される剣藤犬个の姿を見たり、地球撲滅軍不明室によって、犬に擬態するよう改造され、空々空以外からは犬にしか見えなくなった幼女の左在存との逃避行を経て、彼は自らの戦うべき敵を見出して行くのだった。

 概念的倫理は持っているものの感情的倫理を持たない少年が、その示すところに従って行動していくに従い、多大な犠牲を払いながらも、それによって得た経験が少年を成長させていく様を描いている物語だ。
 ただ目が良いというスキルと、感情が希薄だという特性のみを利用しながら、本来なら怪人と戦うヒーローにも拘らず、何故かほとんど内部抗争に明け暮れるという展開に。親殺しの少女に惚れる展開はポピュラーかもしれないが、逆に惚れさせるというのは新しいかも。とにかくバンバン当たり前に死んでいく訳だが、このあたりは、命は等しく価値のあるものではなく、本人の重要度によって扱いが変わるという、当たり前の、しかし口にしがたい心理を説いているようにも思える。

 人類の中に紛れ込んでいるという設定は「めだかボックス」に通じるところもあるかもしれない。

恋物語 第恋話 ひたぎエンド

撫子だよ!
評価:☆☆☆☆☆
 貝木泥舟は、元旦に戦場ヶ原ひたぎと沖縄の喫茶店で会っていた。意味不明かもしれないが、それがひたぎの心情を如実に表していたと言えよう。北白蛇神社の祭神となった千石撫子にぶっ殺す宣告をされた阿良々木暦を助けるため、貝木泥舟に助けを求めていたのだ。千石撫子を騙して欲しい、と。
 色々と理由をつけて結局、ひたぎの依頼を受けた貝木泥舟は、影縫余弦の式神である斧乃木余接から聞かされた臥煙伊豆湖の伝言も無視し、千石撫子を騙すための算段をつけることになる。だが、彼の周囲では奇妙な影と、その背後に見え隠れする扇という名前があった。

 ようやく語られる続き、ということだろうか。紆余曲折の末、神様となった撫子を、そしていつもは助ける側である阿良々木暦を助けるための物語が始まり、そして終わる。終わるのが何かは読んでいただくとして…。
 神様になったことで初めて、両親や友人、周囲の人が課した枷から解き放たれた撫子は、今までにないキャラ性を見せ始めている。やっぱり確かに阿良々木暦の関係者なんだな、という感じ。

 そして何となく分かったかもしれませんが、語り部は戦場ヶ原ひたぎではない。かつゆえに、阿良々木暦が語り部の時のような遊びもなく、騙す騙すいっている割には意外に真面目に働くのである。

JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN

ディオは如何にして敗北したのか
評価:☆☆☆☆★
 「ジョジョの奇妙な冒険」の二次創作小説第二弾。第一弾の上遠野浩平「恥知らずのパープルヘイズ −ジョジョの奇妙な冒険より−」に引き続いて登場するのは西尾維新だ。こちらは、第三部の進行下にあるディオ・ブランドーが、第一部・第二部の出来事を回想する回顧録の様な作品になっている。
 空条承太郎が焼いたノートを東方杖介が復元し、それを解読したという設定で、ディオの目的を天国へ至ることとし、なぜ彼がそれを目的とすることになったのかを、幼少期の出来事に絡めて語っている。そして長じてから彼がなしたことは原作を読めば良いのだが、その時、彼がどんなことを考えていたのかを詳らかにしていくのだ。

 本来は彼の目的を後継者に伝えることを目的として書かれた文章なのだが、結局、いかにして彼がジョースター一族に敗北し、かつ、どの時点で負けていたのかを、ディオ自身に自覚させることで終わっている。つまり、彼が空条承太郎に敗北したのは必然だったということなのだ。
 この内容をいかに判断するかは読者によるが、二次創作のお遊びとして、一人の読者が作家となって書いた見解として理解すれば良いと思う。

鬼物語 第忍話 しのぶタイム

つながり始める物語
評価:☆☆☆☆☆
 個人的には、ようやく色々と時系列がはっきりしてきたなあ、という感じだ。羽川翼が困っていた時に不在だった阿良々木暦は、一体どこで何をしていたのか?それがようやく明らかになる。
 北白蛇神社でタイムトラベルから帰還した阿良々木暦は、リュックサックを探していた八九寺真宵と遭遇する。いつものようにコントをやりながら阿良々木家へと向かっていた二人は、その道中、「くらやみ」としか表現しようのない、危険なものと遭遇する。

 逃げても逃げても追いかけてくるそれに、もはやこれまでと二人が思ったとき、助けてくれたのは、陰陽師・影縫余弦の式神である斧乃木余接だった。
 そして、夜になって目覚めた忍野忍は、彼女がまだキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードだった頃、初めての眷属を作った四百年前に出会った「くらやみ」の存在について語りだす。

 戦場ヶ原ひたぎや神原駿河、臥煙伊豆湖に関する伏線も回収され、怪しい存在である忍野扇の目的も徐々に仄めかされる。
 そして、今回、表の主役は忍野忍ではあるのだが、裏の主役は八九寺真宵なのだ。

少女不十分

選び得ない選択を選び続けること
評価:☆☆☆☆☆
 ここにひとりの作家がいる。デビューから10年が過ぎた三十路の作家だ。速筆で知られ、出版すれば十分な売上を計上する。売れっ子作家と言ってもいいだろう。しかし彼には、いまだ小説を書いていると言う感覚がない。
 それには理由がある。そのきっかけは、大学在学中の彼が、小学生の少女がトラックに轢かれ木っ端微塵になるのを見たこと…ではなく、そのときに轢かれた少女の連れの少女を見てしまったことである。その少女、あえてイニシャルで書くが、U・Uとに関わったことが、彼の中にある感覚を植えつけ、作家にさせたのだ。

 私小説風に、作家となるきっかけとなった一週間の出来事をつづった作品なのだが、極めて狭い範囲で、主要な登場人物も二人しかおらず、異常な状況の平凡な時間がダラダラと綴られるだけなのだが、妙に読ませる。
 何が読ませるかといえば、主人公である作家の10年前の姿だ。いくら大学生で作家志望者だったとはいえ、種々の選択の中には、より平穏な選択があふれているのである。それなのに、もっともありえない選択肢を選び続ける。そう、選び続けるのだ。その姿勢が、作家とはこういうものなのだよ、と言っているような気がしなくもない。

 いやまあ、もちろんタイクツでつまらないと思う人もいるとは思うのだが、作者のファンであれば、最後の収束にはそれなりにスッキリするであろう。オチがないといいつつ、その時点での主人公は知らなかったから嘘ではないわけだが、過去と現在をつなぐオチはしっかりとあるのだ。
 作品を総括すれば、こうすれば作家になれるというわけではなく、こうしてしまう人間が作家になる、ということなのかもしれない。

囮物語 第乱話 なでこメデゥーサ

撫子一色
評価:☆☆☆☆☆
 千石撫子、登場!いきなり冒頭から繰り広げられるには、北白蛇神社での死闘だ。そして彼女が雨の中で殺し合いをする相手は、阿良々木暦と忍野忍、かつての吸血鬼だ。一体この状況を作ったのは何なのか。その過程が、千石撫子の言葉で語られる。果たしてそれを語る彼女はどこにいるのか?

 撫子の普段の生活とか、学校での彼女の様子とか、黙っているときに何を考えているのかとか、阿良々木暦視点の普段の描き方では分からない部分が明らかになる。そして、阿良々木暦のベッドで寝ている撫子とか、阿良々木月火との会話で暴走してダダ漏れにしていくところとか、色々壊れている。
 冒頭は状況が良く分からず、序盤から中盤にかけては撫子一色で、後半にかけては真面目な撫子語りになり、終盤では暴走して崩壊する。ともかく全て、撫子が持っていく。

 一体この続きはどうなるのか、普通に続くのか?疑問いっぱいで次巻を待つしかない。

花物語 第変話 するがデビル

思慮深い神原駿河
評価:☆☆☆☆★
 阿良々木暦たちが卒業した私立直江津高校に、神原駿河はひとり残された。別に物理的に一人になったわけではない。猿の怪異を知っている仲間がいなくなったということだ。そんな彼女にとって指針となるのは、夢に出てくる母、臥煙遠江の言葉だけになっていたのかも知れない。
 そんな頃に、忍野メメの甥だという忍野扇から偶然聞かされた、悪魔様の噂。全ての悩みを解決してくれるという悪魔様に、自分の猿の怪異の匂いを見た駿河は、その悪魔様に会いに行く。そこにいたのは、駿河の中学時代のバスケのライバル、沼地蝋花だった。

 話すだけで全ての悩みを解決してくれるという沼地蝋花に、抱える悩みを奪われてしまった駿河は、その事実に困惑し、阿良々木暦を指針として、自らの行動を選択する。その結果、駿河が得たものとは…。
 貝木泥舟も再登場する。

 今回の語り部は、神原駿河。いつもの空気を読まない行動とは相反して、非常に落ち着いた、思慮深い雰囲気で語られる。結構、周囲に影響されやすい人間なのかも知れない。
 阿良々木家の内部で何が起こっているかとか、羽川翼が一体どこまで行っちゃうのかとか、色々気になるところも出てきてしまうだろう。

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傾物語 第閑話 まよいキョンシー

ついにストーリーは時間を越える
評価:☆☆☆☆☆
 今回は八九寺真宵が語り部ということはなく、いつもどおり阿良々木暦を語り部として描かれている。しかも、八九寺真宵が主役のはずなのに、出ずっぱりなのは忍野忍と阿良々木暦の二人。迷うのもこの二人で、空間的な迷子ではなく時間的な迷子になるのだ。つまり、タイムスリップ?してしまう。
 夏休み最終日。宿題が終わっていないことに気づいた暦は、しのぶえもんにお願いして過去に行くことにする。ところが到着した先は11年前の母の日の前日。真宵の命日の前日だったのだ。そこで暦は真宵の交通事故を防ごうとする。

 つばさタイガーでは羽川翼が語り部で、阿良々木暦がほとんど登場しない展開だったけれど、まよいキョンシーでは主役のはずの八九寺真宵がほとんど出てこない。出てきたとしても少し違う形で登場する。
 そして過去の出来事なので、いつもは高校生のキャラクターもちっちゃくなっている。そう、幼女羽川が登場するのだ。

 現在の状況は過去の様々な出来事が積み重なって成立している。不幸な出来事だって、それが後の幸せを生む重要なファクターになることもあるのだろう。そんな感じの物語。きっちり以前のエピソードとのつながりが出来ているところは、きれいに仕上がっていると思う。でも、つばさタイガーに比べれば雑談は非常に多い。

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猫物語 白

羽川翼の再生物語
評価:☆☆☆☆☆
 阿良々木暦が不在の中、羽川翼は新たな怪異に出会う。それは巨大な虎の怪異だった。そこから起きる不審な火災。戦場ヶ原ひたぎや、阿良々木月火・火燐の助けを借りつつ、羽川が到る事態の真相とは?

 物語の語り部は羽川翼であり、かつ、全く新しい怪異事件が描かれており、猫物語黒との直接的なつながりは全くない。暦視点では立派な人物として描かれる羽川の内面を語りきった作品といえると思う。
 前作で明らかになった羽川家の実態と、それを何でも無いことの様に振舞っている羽川の異常性を、ひたぎが改めて突きつけることから、これまでは見ないで来た現実に羽川自身が気づくことになる。

 暦がほとんど登場しないので、いつものような変体性はほとんどない。しかし、羽川翼という存在が、普通の人間として再生する様が徹底的に描かれる。そして彼女は、これまでには出来なかったことが出来るようになるのだ。

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猫物語 黒

踏み込み方とタイミングのずれ
評価:☆☆☆☆★
 前半は暦と月火のトークが占める。八九寺や神原がいないので暦の受け皿になれるのが彼女くらいだったのだろう。そして中盤からようやく本題に入る。
 本題は、羽川翼と阿良々木暦のゴールデンウィークの物語。忍はなぜミスド好きになったのかとか、羽川宅の驚愕すべき事実とか、暦の羽川に対する感情とか、色々なものが噴出していて、前半の軽いトークに比して後半は意外に重たい。

 ゴールデンウィークの入口で偶然であったことが、二人の距離感というか、踏み込む間合いを勘違いさせてしまったのが辛い。結局その後、暦は戦場ヶ原に出会うわけだけれど、ここで一度これを経験していなければ、羽川と同じ様な関係になったかも知れないと思った。
 ああ、羽川さんは、将来どんな人になるんだろう?

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零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係

減らされても絶えないつながり
評価:☆☆☆☆☆
 石凪萌太から依頼を受けていた哀川潤が、零崎人識と無桐伊織、闇口崩子を連れて闇口衆の拠点を襲撃する。まさに襲撃。その単純な襲撃に、色々と不確定な要素が組み込まれていって、なかなか予定通りには物事が進まない。
 絶滅寸前に追い込まれている零崎に未来はあるのか。戯言使いのお話が結ばれた先にある、本当の意味での事後談だろう。

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零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係

戯言遣いの登場しない場面
評価:☆☆☆☆☆
 八年前の京都連続通り魔事件を振り返るお話。「戯言遣いとの関係」となっているけれど、戯言遣いはあんまり出て来なくて、彼に関係している一般人と零崎人識の関係が語られる。
 本編ではメーターを振り切ったようなキャラクターが多かったけれど、こちらでは比較的落ち着いた内面が描かれている感じがする。人識の言動との対比と言う面も大きいのかもしれないが。

 読まなかったからと言って本編の面白さが損なわれることはないけれど、ほとんど名前だけしか登場しなかったキャラクターも登場したりするので、色々と補完される内容だと思う。

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零崎人識の人間関係 零崎双識との関係

根本的勘違いからはじまる
評価:☆☆☆☆★
 萩原子荻の策戦の一環として、零崎双識に"呪い名"六名で構成される裏切同盟が差し向けられる。しかし、実際に狙われるのは見た目も全く似ていない零崎人識だった。口先では双識を毛嫌いしながらも、彼を守るために刺客を引き受けることになる。"殺し名"とは全く異なるステージで戦いを挑んでくる裏切同盟に対し、人識は対抗することができるか。そして、双識の行方は。

 途中までベケットの不条理劇みたいになるんじゃないかと思って読んでいた。人識が絡むと策師の策戦に狂いが生じるところは、彼と同じだ。
 たまに未来の事象が語られたりして、どこから読んでも良い仕組みになっている。

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零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係

彼らの間のみで成立する幸せのカタチ
評価:☆☆☆☆★
 4冊同時刊行だとどこから手をつければ良いか迷うが、素直な気持ちで発生時系列順に読むことにする。あとがきによるとどれもが最終巻らしいが…。
 これは零崎人識が未だ汀目俊希を名乗っていた時期のこと。彼が在籍する中学校に匂宮出夢が訪れ、玖渚直暗殺の仕事を手伝ってくれるように依頼する。人識は口では嫌がりながらも素直に手伝うことにする。しかし、直の護衛についているのは直木三銃士という格上の相手。西条玉藻とあわせて三人で襲撃をかけるが…。

 本文中では詰襟制服を着用している出夢だが、イラストではセーラー服着用なのが印象的。裏タイトルは、匂宮出夢の人間関係かもしれない。ある人物の介入が、彼らの関係の転機をもたらす。

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難民探偵

推理小説という入れ物に固執した、何か別の小説
評価:☆☆☆★★
 タイトルを2つの部分に分けると、"探偵"よりも"難民"の方に若干重きが置かれている。あえてスイリ小説という枠を意識しなければならない必然性はないと感じた。実際、肝心の解決の部分も論理というよりは地道な捜査に主眼が置かれていると思う。
 だから、どちらかといえば、社会派的なノリが強い印象を受ける。

 真面目に大学に通ったものの就職できずに卒業し就職浪人をしている窓居証子は、バイトをしながら就職しようとするけれど失敗し、親に泣きつくけれどもお見合いを勧められるので、紆余曲折の末、叔父でベストセラー作家の窓居京樹のアシスタントという名目で居候することになる。そして叔父の知人で、警視庁警視でありながら職を投げ出し、京都でネットカフェ難民として生きる根深陽義と出会う。
 作者の作品にしては珍しいと思うのだが、突出したキャラクターが登場しない。もちろんそれぞれ個性は強いのだが、その強さが同程度である気がする。だから初めは、誰を中心に物語が回るのかがよく分からない。もしかすると中心にいるのは人物ではないのかもしれない。

 就職"難民"でありながら、ほとんど何もしないで収入を得ることができる窓居証子、ネットカフェ"難民"でありすべてを投げ打ったつもりでいるけれど何も手放していない根深陽義、彼らは難民でありながら、社会インフラの整った、かなり良い生活をしている。
 難民という非常に強い単語が報道などで良く使われるけれど、それって実態を的確に表している単語なの?という疑問の声が聞こえてこなくもない。

 ところで、紙質が低い様な印象を受けるのだけれど、これって何か意図があるのだろうか?

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偽物語 (下)

色々な意味で兄妹の一線を越えている
評価:☆☆☆☆★
 今回は阿良々木月火が主役、のはずなんだけど、前半出ずっぱりなのは姉の火憐の方で、兄の暦と変態プレイを数ページに渡り展開してくれます。ああ、歯磨きって恐ろしい。。。
 基本的に、会話のテンポと、文章じゃなければ分かりづらいギャグ、本筋をすっ飛ばして脱線した先で展開される面白さ、何かを楽しむ作品だと思っているので、あんまりストーリー性は重視されない。でも、最終的には何かきれいにまとまる。
 最終話と謳っていましたが、八九寺メインの話と、羽川メインの話を追加刊行するらしいです。

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不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界

交点の殺人事件
評価:☆☆☆☆☆
 予告では串中弔士が中学三年生の時の事件ということでしたが、実際にはあの事件から十四年後、私立女子高校の倫理教師となった串中弔士の周辺で起きる事件です。あの弔士くんが教師しかも倫理教師となり、かつ、スクールカウンセラーの真似事までしているという状況も意外ですが、合わせて、あの病院坂迷路のバックアップと名乗る人物、病院坂迷路が臨時教師として登場してきます。そして、事件は、串中先生と(巻き込まれた)病院坂先生が、同僚の遺体をバスケットゴールにひっかけられた状態で発見するところから、幕が開かれるのです。
 次々と起きる殺人事件が病院坂迷路の視点で語られ、畢竟、串中弔士も迷路の視点から描き直される。他者の目から見た自分。第三者的視点で見ているつもりが、いつの間にか反転してしまう。そして事件の終幕。通常いう意味でのミステリーではないと思うので、本格ミステリー好きには気に入られないかもしれない。
 十四年前に登場した人物やその関係者が様々な形で再登場し、描かれていない十四年間にどのようなやり取りが行われたのかを妄想させてくれます。

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真庭語―初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺

雑魚キャラ達の復権
評価:☆☆☆☆★
 既刊「刀語」において、雑魚キャラ、咬ませ犬と呼ばれ散々な扱いを受けた真庭忍軍の物語。時代的には、虚刀流初代の鑢一根が活躍していた頃。戦国乱世を生き残るための改革として、頭領を十二人とすることが真庭鳳凰により提案された。そこで、里のご意見番である真庭狂犬が、その候補となる忍びを検めて行くというようなお話。パンドラVol.1Bに掲載の初代真庭蝙蝠の物語に加えて、初代真庭喰鮫、初代真庭蝶々、初代真庭白鷺の物語が書き下ろされている。それぞれの忍びが、与えられた状況でどのように動くのかを通じて、それぞれのキャラクターを描いている。この時代では、異常な能力を持っている者はいたが、全てが全て人外という訳ではなく、以後の歴史で異常性が高められていったものと思われる。刀語に登場したそれぞれの名前を継ぐ人物との違いを見てみるのも面白いかもしれない。
 この作品では、真庭忍軍の忍び達は基本的に格好良く描かれており、七花に瞬殺された忍び達も少しは報われた思いをしているだろう。しかし、アニメ化されるのはあくまで刀語であり、そこでは雑魚キャラとして扱われるかと思うと、やはり哀れではある。

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零崎軋識の人間ノック

悩める殺人鬼
評価:☆☆☆☆★
 殺し名七名の中でも忌まれる殺人鬼零崎。軋識は人外の中でも恐れられる存在のはずなのに、異様な言葉使い、いでたちのはずなのに、どこか平凡で人間らしい。そして脆い。
 双識は、変態だけれど、基本的に揺らがない強さを持っているし、人識はそういうものを超越したような強さを持っているけれど、彼は悩むし、崩れるし、頼る。そういう弱さにつけ込まれて、子荻にいいようにあしらわれちゃう。
 最後に登場する若き日の赤は、そういった悩みを笑い飛ばし、圧倒的なエネルギーで駆け抜ける。そうやって生きることを許される人生にはあこがれちゃうね。

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DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 (原作:大場つぐみ)

デットコピーの意地
評価:☆☆☆☆☆
 南空ナオミと先代Lの出会うきっかけとなった事件の物語をメロが語る。
 冒頭から犯人がわかっているということで、コロンボ式の推理小説なのかな、と思ったけれど違いました。先代Lの協力要請を受けたナオミが、竜崎と現場を捜査しながら、連続事件を食い止めようと奮闘します。本編では一瞬で消えてしまったナオミですが、この作品では暴れまわります。FBIで虐殺ミソラなどと呼ばれるぶっ飛んだ正確に設定されているため、ナオミに幻想を抱いているファンには怒られてしまうかも知れません。
 本編を知らなくても、推理小説風の作品として、十分楽しめると思います。本編を知っていれば、そこかしこに垣間見えるエピソードに思わず頬を緩ませてしまうことでしょう。

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×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル (原作:CLAMP)

強気の四月一日くん
評価:☆☆☆☆★
 幸せを享受できない人間、死者からのメールを受け取る人間、妖を見る人間にまつわる短編の三本立て。
 作者はおそらく、xxxHOLICを完全にコピーしようと思えばできるのだろう。第一話は本編の雰囲気を色濃く醸し出している作品だと思う。しかし、そこにはとどまらず、二話目、三話目と進むに従って、西尾維新のにおいが強くなっていく。三話目などは、ほとんど四月一日が登場しているというだけの西尾作品と呼んでも良いのではないだろうか。
 登場人物はほとんど四月一日だけ。xxxHOLICファンがノベライズ作品として読むというよりは、西尾ファンがxxxHOLICを読んでいる場合に読むと面白いかもしれない。

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ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典

まさに辞書
評価:☆☆☆★★
 辞書と言うのは疑いのない事実しか書かないもの。そういう意味で言うと、確かにこれは辞書かも。袋とじになっている意味があるほどのネタバレや興ざめな事実は書いていない。
 でも、作者のファンだと言うのならば、読んでも良いかも。執筆当時の心境を覚えている限りは書いている感じ。西尾維新は架空の小説家です。

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