仁木英之作品の書評/レビュー

不死鬼譚きゅうこん 千年少女

三千年の因習
評価:☆☆☆★★
 私立柚原学園新聞部の作る学園新聞は、五島基樹の幼馴染である折原茉樹が部長になってから大きく変わった。商店街から広告を募って取材費をまかない、街中の情報を掲載することで、学園内だけでなく、近隣でも読者を獲得することに成功しているのだ。
 そしてその部員たちの多くは、スポーツ推薦のドロップアウト組だ。怪我などで部活を続けられなくなった人々に、新たな活躍の場を与え、生き生きと活動させることが折原茉樹の方針になっている。

 その中の数少ない例外である五島基樹の趣味はカヤックだ。一人、カヤックで湖をたゆたっていたところ、不思議な畑に紛れ込み、五島基樹は土に埋め込まれそうになってしまう。そこを助けたのが美月だ。彼女は彼に「きゅうこん」が埋められてしまったと言い、このことを誰にも言わないこと、一週間に一度この場所を訪れることを約束させる。
 五島基樹の日常生活では、部員の坂林太郎が折原茉樹への告白の手伝いを頼まれてしまい、モヤモヤしていたところに、後輩部員の吉岡楓から告白されてしまう。さらには、折原茉樹から戯れにキスをされ、その様を写真に撮られてしまうのだった。

 新聞部の企画で吉岡楓と組んで柚原の七不思議を調査することになった五島基樹は、湖仲間の戸倉が事務員を務める資料館で、「囲い畑(かこいばた)」という昔の風習の文献を発見する。それがあの恐ろしい日々のはじまりだった。

 第一回キネティックノベル大賞審査員特別賞受賞作品だ。ちょっと調べたところ、一年くらい前にはゲームになっているらしい。この一年、一体何をしていたのか。
 作者の経歴を見ていると、やたら資格を取りたがったりする人や、海外の大したこともない賞をまるで権威のように日本に紹介するマーケティングのようにも感じられる。

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