“文学少女”見習いの、傷心。(野村美月)の書評/レビュー


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“文学少女”見習いの、傷心。

動き出した時間
評価:☆☆☆☆☆
 前作と同様に日坂菜乃が関わる事件が起きるのだけれど、前作に比べると外伝としての意味合いが強くなっているかも知れない。前作は日坂菜乃を中心においた新作という印象が強かったけれど、今回は井上心葉はもちろんのこと、琴吹ななせや竹田千愛などの、本編終了後の様々な想いが語られている。

 表題作の「傷心。」は、姫倉家の別荘で催されることになった文芸部の合宿のお話。菜乃に対して全く感情を揺れさせなくなった心葉に対して、破れかぶれの特攻を仕掛ける菜乃。それに心葉はどう対応するのか。
 次の「怪物。」は、合唱部のスケットとして文化祭の劇に参加することになった文芸部。ところがその練習を妨害する事件が起き、その背後には一年前のトラブルが関係していた、というお話。

 天野遠子以外の存在に対し、笑顔という見えない壁ではじき返すことでしか応じられなくなっている心葉。心葉のことがまだ好きでたまらないのに、自分の言葉ではその心にさざ波すらもたてられない事に無力感を感じているななせ。超がつくほど不器用な生き方しか出来ない二人に、超がつくほどポジティブにしか考えられない菜乃がぶつかっていく事で、双方に少しずつ変化が生じてくる。
 とある人物が再登場したり、最後にまた爆弾が投げ込まれたり、次は菜乃自身のあり方をさらに揺るがす展開になりそう。

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