ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件(野村美月)の書評/レビュー


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ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件

脅され女装して家庭教師!
評価:☆☆☆★★
 ウィストリア皇国のグリンダ=ドイルと言えば、世界中にその名が知れ渡った天才少女だ。地上に並ぶもの無きほど隔絶たる知と力を持つ彼女は、エーレン国王シザエルの子供たちの家庭教師として赴任することになっていた。しかしその直前に、書き置き一つおいて失踪してしまう。
 いつも彼女の気まぐれに振り回されてきた弟のシャーロック=ドイルは、今回も彼女の犠牲となってしまう。外交官のヘルムートが、彼を女装させ、グリンダとしてエーレンに送り込もうというのだ。そうして連れてこられた王宮で、第一王子の竜樹=ハーン=ハイツ、第一王女の聖羅=シルヴィーン、第二王女の更紗=ロウィーネ、第三王女の織絵=リベルタ、第二王子の真=クリフトに紹介される。

 次期王として気張る少年の竜樹、何事も冷めた目で見る少女の聖羅、いたずら好きの幼女双子の更紗と織絵、無口な真と、それぞれに個性的な子供たちに振り回されながら、しかしたぐいまれな幸運もあって、天才でもない普通の少年が、王族の家庭教師を曲がりなりにも務めていく。
 王妃の雪の歌声に癒やされ、メイドのアニスの腐女子トークに翻弄され、キザな騎士のギルマーに言い寄られ、あらゆる艱難辛苦を舐めながらも、かつてグリンダに付き合わされた経験が、頑なな聖羅の心をほどいていくことになるのだった。
 “文学少女”シリーズの前の作風のノリで展開される、コミカルなサウンド・オブ・ミュージックという感じだろうか。ただし、家庭教師は女装の少年だけど…。所々にファンタジーな裏設定も見え隠れするのだが、果たしてこれはただの愚痴なのか伏線なのか…愚痴なんだろうな。

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