“朧月夜” ヒカルが地球にいたころ……(4)(野村美月)の書評/レビュー


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“朧月夜” ヒカルが地球にいたころ……(4)

妖しい魅力の先輩
評価:☆☆☆☆☆
 幽霊となった帝門ヒカルに代わり、彼の花園にいた女性たちとの遺された約束を果たす役目を任された赤城是光は、左乙女葵、奏井夕雨、若木紫織子と、様々な背景を持つ女性たちを悲しみから救いあげて来た。その過程で、赤髪ヤンキーと敬遠されていた是光の本当の魅力を知る、式部帆夏の様な女子たちも増えて来た。
 そんな彼の前に現れたのは、ヒカルとの逢引が原因でイギリスの寄宿学校を放校されたという先輩の右楯月夜子だった。君影流という日本舞踊の名取であり、その分野では将来を嘱望されている舞手の彼女は、是光を誘惑し、助けを求めて来る。
 その場面を、左乙女葵や式部帆夏に目撃され、せっかく良い感じになって来た関係も破綻、斎賀朝衣や頭条俊吾からは二度と葵に近づくなと念押しされてしまう。それもそのはず、右楯月夜子はヒカルの異母兄の帝一朱であり、ヒカルに乗り換えたという悪評を持っていたのだ。

 またもや近江ひいなが暗躍し、引き裂かれた関係を修復しようとしているのか、新たに火種をまこうとしているのか分からない行動をとり、結果、月夜子は凍れる震える唇で、是光のそれを塞ぐことになってしまう。
 将来を嘱望され、それにふさわしい実力を持つ彼女が、何を恐れ、何を失うまいとしているのか。彼女が口にする六条の呪いとは何なのか。自宅にいる若木紫織子にも騒がれつつ、葵との関係を修復しながら、月夜子の恐れを払拭することが是光には出来るのか?

 是光の天然ジゴロ度が加速度的に上昇し、自覚のないまま様々なところに縁を結びつけていく。…刺されないでくれよ。

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