死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死(野崎まど)の書評/レビュー


 死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死(野崎まど)の書評/レビューを掲載しています。

死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死

不老不死は成功者の最後の望み
評価:☆☆☆☆★
 幼稚園から高校までの一貫女子高である私立藤鳳学院に赴任した生物教師の伊藤は、同僚教師の受村から永遠の命を持つ生徒に関する噂を教えられる。そのときは一笑に付した伊藤だったが、転入生の天名珠と共に、その生徒、識別組子と出会い、明確な証拠はないものの、半ばは信じてしまう。
 しかしその翌日、絞殺され首を切られた識別組子の死体が学院内で発見される。やはり永遠の命など無いと言う事実を目の当たりにし、生徒を殺され落ち込む伊藤の前に、初めて会った時と同じ様に、"復活"した識別組子が姿を現す。彼女の永遠の命の秘密とは何なのか?そして彼女を殺した犯人は誰なのか?

 冒頭の何気ない問いが物語の本質に関わる問いだということが終盤で明らかになる構成は、面白いと思う。しかし、永遠の命に関するひとつのアイデアを出発点としている観は否めないので、そのアイデアがくだらないとか、つまらないとか思われてしまうと、それだけで全てが否定されてしまうタイプの物語だとは思う。
 天名がバカっぽいしゃべり方をする理由はよく分からないが、テンポよくストーリーは展開する。あと、本当にこんな学校があったら行きたくはない。

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