初美陽一作品の書評/レビュー

ライジン×ライジン RISING×RYDEEN (6)

戦いは新たなステージへ
評価:☆☆☆☆★
 アリア・来武・エリノア・ヴァルターの起こした政府公認ストレンジャーを認めさせる行動が落着したところで、下野根隆良はリーザ・ゼーンズフト・ヴァイゼという政府の使者に連れて行かれてしまった。

 それから五ヶ月。下野根隆良に命の危機が迫っている。アリア・来武・エリノア・ヴァルターから話を聞いた雷轟魅神、焔熾夜侘、水仙花沙凪、藍玉氷莉は、彼が囚われている空中要塞へ攻撃をしかける。
 一方、リーザからバラバラに解剖して人体実験されるという運命の変更を伝えられた下野根隆良は、五ヶ月のうちに向上させた異能を使って脱出を試みていた。その過程で、周囲に不幸を引き寄せる少女ルーネと出会う。

優等生以上、フリョー未満な俺ら。(6)

3点リーダが多すぎる
評価:☆☆★★★
 もうすぐバレンタインデー。花咲姫子、聖真里亜、東雲朱里、アデル・ミカエル・フォンベルクは荒鞍悠馬に、獅子谷萌は兎山翔に渡すためのチョコレート作りに精を出している。
 そんなことは知らない荒鞍悠馬だったが、最近、不良仲間である彼女たちを女として意識し始めていることに気づいてしまった。気付いた途端、何故か彼女たちと個別に接近するイベントが発生してしまい、ちょっとしたことでドギマギしてしまう。こんなことで一流の不良になれるのか?

ライジン×ライジン (5) RISING×RYDEEN

突然の反乱
評価:☆☆☆★★
 アリア・来武・エリノア・ヴァルターがアウトローたちを率いて政府に反旗を翻した。信じられない思いで、アリアを連れ戻すため、下野根隆良は、雷轟魅神、焔熾夜侘、水仙花沙凪、藍玉氷莉のチームを率いてアウトロー鎮圧に向かう。
 しかし、アウトローの数は膨大だった。さらには、アリアから対策が伝授されており、能力値としては歴然とした差があるものの、相性の善し悪しを利用した、効果的な妨害を受けることになる。

優等生以上、フリョー未満な俺ら。 (5)

舎妹の未来
評価:☆☆☆★★
 もうすぐクリスマス。いつものメンバーで楽しく過ごし、クリスマスの約束をしたその日。舎妹の花咲姫子を自宅まで送った荒鞍悠馬は、花咲姫子のアリス・ブロッサムと出会う。アリスは姫子をアイドルにするため悠馬たちから引き離し、姫子のメイドである観月奏もクビにしてしまった。
 一度は姫子を取り戻そうとするものの、用心棒にボコボコニされ、姫子のためになるならとあきらめかける悠馬だったが、聖真里亜や東雲朱里にハッパをかけられ、アデル・ミカエル・フォンベルク、獅子谷萌や兎山翔と共に、姫子を取り戻すために動き出すのだった。

ライジン×ライジン RISING×RYDEEN (4)

妹ポジション争い
評価:☆☆☆★★
 葛代瑠璃花と王真燈矢による障害を乗り越え、下野根隆良は精神的に、焔熾夜侘は能力的に成長した。雷轟魅神も怪我から復帰し、アリア・来武・エリノア・ヴァルターのもとでストレンジャーとしての活動にいそしもうと思ったある日、隆良たちのクラスに藍玉氷莉という転校生がやってくる。
 藍玉氷莉は下野根隆良をお兄ちゃんと呼び慕ってくるのだが、窓の外から覗いていた焔熾夜侘にはその馴れ馴れしさが許せない。真の妹の座を巡り、争いを繰り広げることになる。

 ゲル欲しがりの水仙花沙凪は半ばお休み。もはやネタにしか使ってもらえない残念さ。選別が始まっています。

ライジン×ライジン RISING×RYDEEN (3)

立ち上がれヒーロー
評価:☆☆☆☆★
 葛代瑠璃花と彼女が心酔する王真燈矢の事件で雷轟魅神は入院し、アリア・来武・エリノア・ヴァルターは下野根隆良や焔熾夜侘、水仙花沙凪に待機を命じた。しかし、自分の実力を過信した隆良は夜侘を連れてアウトロー捕縛に出かけてしまい、夜侘に怪我をさせるという結果になってしまう。
 改めてあまりの異能の弱さを実感し、自分の無力さを痛感した隆良だったが、夜侘はそれ以上に、自分が隆良の役に立てなかったことに責任を感じ、より強い異能を手に入れたいと思ってしまう。そして…。

 今回は焔熾夜侘にスポットライトが当たる展開になっている。次巻は水仙花沙凪にメインヒロインが回ってくる展開になりそう。

優等生以上、フリョー未満な俺ら。 (4)

主人公を取り巻くヒロインたち
評価:☆☆☆★★
 学園祭の時期に合わせた5つのエピソードを紹介する短編集。次巻への展開に対する伏線にもなっているようだ。

「頑張りナイトと特訓デート」
 男嫌いのアデル・ミカエル・フォンベルクが治療のためと称して、荒鞍悠馬を二人っきりでの特訓に誘う。意識レベルでは当人たちに他意はないのだが、その状況をデートと解釈した委員長の東雲朱里は、花咲姫子を引き連れて後をつけることにする。
 男になれるための特訓と言うことで、触れたり触ってもらったりする二人の様に発狂しかける花咲姫子や東雲朱里はお邪魔虫をしようとするのだが、彼らに他意は無いため、やりきることが出来ない。その結末は?

「血祭りに咲く恋の花」
 聖真里亜の主要取り巻き三人である《血祭り》祭千夏《アタイ》保比ゆん《やっこ》安藤朋のうち、《血祭り》の様子がおかしいと真里亜が心配している。様子を見に行った荒鞍悠馬は、そもそも《血祭り》としか言わないことがおかしいと思うのだが、女子たちは彼女が恋煩いをしているという。
 なぜか《血祭り》言語を通訳できる舎妹の花咲姫子の力を借りて、彼女の恋を成就させるべく動き出す仲間たちだったが…。

「真里亜、ロスト・ウェポン」
 聖真里亜の代名詞である薙刀が、全てクリーニングに出されてしまった。薙刀を持たずに学園へ来た聖真里亜は、いつもと全く様子が違う。全然自信なさげだし、ミスはするし、何もないところでよく転ぶ。心配した荒鞍悠馬は彼女にべったりと付きそうのだが、その様子は東雲朱里の嫉妬心をかき立てるのに十分だった。

「あなたのいない一日は」
 台風接近中のため外に出られない一日。メイドさんも休暇でいなくなったため、屋敷で一人過ごす花咲姫子は、荒鞍悠馬のことだけを考えて暇を潰していた。
 ぜひあにきの声を聞きたい。でも、急に電話したりしたらあにきの迷惑じゃないか?煩悶する姫子のもとにかかってくる電話の相手とは?

「吾流ヶ丘高校・学園祭」
 学園祭の出し物は女子の作戦勝ちで喫茶店となった。いやがる兎山翔は東雲朱里に操作された荒鞍悠馬によって強引に着替えさせられてしまい、獅子谷萌を悶絶させる。
 特訓の成果を見て欲しいアデル・ミカエル・フォンベルクは、荒鞍悠馬を誰も居ない着替え場所に呼び出し、彼だけに特別な姿を見せるのだった。

優等生以上、フリョー未満な俺ら。 (3)

私も輝きたい!?
評価:☆☆★★★
 自称不良だが第三者から見れば優等生にしか見えない荒鞍悠馬の周囲には、個性的な人間が集まる。幼なじみの聖真里亜は悠馬を構成させるためと称してレディースのトップに立ってしまったし、その友人のアデル・ミカエル・フォンベルクは騎士を自称する女の子だ。舎妹と呼ばれて喜んでいる花咲姫子は可愛らしいし、悠馬の数少ない男友達である兎山翔に惚れる獅子谷萌も暴れししゃもと呼ばれる猛者だ。
 そんな仲間たちの中で、委員長の東雲朱里は自分の個性の無さに悩んでいた。そもそも唯一、悠馬から名前でなく役職で呼ばれることも不満だ。ここは一つ、女の魅力でめろめろにしてやると思っても、他の女の子たちの持つ武器が凄すぎて、全く勝ち目がない。

 朱里がそんなことに悩んでいると、中学時代の先輩である平坂舞に再会してしまった。彼女は悪い人間ではないのだが、人の話を全く聞かず、押しが強いのが玉に瑕。(十分悪人だと思うが…)だから、朱里が悠馬たちにイジメられていると思い込み、悠馬たちから朱里を引き離そうとするのだった。

ライジン×ライジン RISING×RYDEEN (2)

ゲルよりもラブコメ
評価:☆☆★★★
 ストレンジャーと呼ばれる異能者が若者に現れ始め、政府中枢はその管理に躍起になった。その生き過ぎをコントロールするために《眺めるもの》と呼ばれる政府の老人たちと契約し、異能者を管理する研究所を立ち上げたアリア・来武・エリノア・ヴァルターは、異能に憧れる中二病の高校生の下野根隆良をスカウトし、その、白濁ゲルをどびゅっとぶっかけるしょぼい能力にも拘らず、政府は津のストレンジャーのチームリーダーを任せてしまった。
 そのチームのメンバーは、ライターよりもしょぼい火を操る焔熾夜侘や、虫を一匹だけ操れるゲル好きお嬢さまの水仙花沙凪、そして最高クラスの能力者である雷神にして隆良の幼なじみの雷轟魅神だ。アリアも含め、何故か隆良に魅力を感じているらしく、グダグダ感はありながらも仲は良い。

 その輪の中に入り込んで来たのは、アイドル「キュアキュア☆ルリ〜ナ」のストレンジャー葛代瑠璃花だった。初対面にも拘らず、隆良の好意を丸出しにアプローチしてくる様に、隆良は全く気付かないが、魅神や夜侘、ぶっかけてもらえない沙凪は面白くない。
 そして研究所の外にも変化の傾向が見られ始める。基本的に独立志向の強いストレンジャーの犯罪者アウトローに組織化の傾向がみられ、アウトローを成敗するストレンジャー王真燈矢が暴れまわる。その意図はどこにあるのか?

 設定と伏線に面白そうな部分もあるのだけれど、進行があまり好みではないというか個人的には面白くない。()で説明を付与するのも、うっとうしいからやめて欲しいな。

ライジン×ライジン RISING×RYDEEN

評価:☆☆☆★★
 世界にはストレンジャーと呼ばれる異能者がいる。しかし大部分の人間は、そんな異能とは関わることなく生きている。下野根隆良はそんな異能に憧れる中二病の高校生だ。いつかは自分にも異能が目覚めると思い日々、格好良い名前を考えることに研さんを積んできた隆良は、ようやく異能に目覚める。
 異能者を管理する政府組織のアリア・来武・エリノア・ヴァルターに連れられ向かった研究所で発言した異能は、白濁したゲル状の液体をどびゅっと出す、色んな意味で最低の能力だった。

 同じ日に異能に目覚めた焔熾夜侘は、隆良と同じ方向性の中二病なだけあって、同じ様にしょぼい火を出す能力。そこでアリアは、もう一人、虫を一匹だけ操るしょぼい能力者の水仙花沙凪とチームにして活動させようと考える。それには、最高クラスの能力者である雷神・雷轟魅神を助けたいという思いがあった。

 「Re(アールイー):バカは世界を救えるか?(柳実冬貴)」のように、態度はでかいけれど能力はしょぼいという主人公を擁し、それを取り巻く能力者の少女たちとのラブコメを描く。大体、ローションプレイみたいに、白濁ゲルを少女たちにぶっかけてヌルヌルしかしていない。

優等生以上、フリョー未満な俺ら。 (2)

ライバル登場
評価:☆☆☆☆★
 不良を自称する者の周囲からは優等生としか思われていない荒鞍悠馬は、朝から大変だ。舎妹の花咲姫子や委員長の東雲朱里、幼なじみの聖真里亜が彼の関心を引こうとしてあの手この手で迫って来て、不良仲間が出来てうれしいもののめんどくさい。そこに、友だちの兎山翔とその彼女の暴れししゃも・獅子谷萌も加わり、彼に周囲はなかなかに騒がしい。
 そんなある朝、彼らの前にアデル・ミカエル・フォンベルクという転校生がやってくる。アデルは真里亜の昔の知り合いらしく、彼女のナイトを自称し、彼女にまとわりつく悠馬を排除しようとサーベルを向ける。そんな敵意は実力で圧倒できる悠馬のはずだったのだが、あっさりと完敗してしまう。

 悠馬のライバルとして登場したアデルは、真里亜を守るナイトの理想像に振り回され、クラスからは徐々に浮き始めて行ってしまう。こういう場合、悠馬がお節介を焼くのがパターンなのだが、彼を避けるアデルではそのパターンが通用しない。さらには真里亜にも自分の理想を押し付け、空回りをエスカレートさせていってしまうのだ。
 その障壁をどうやって無自覚に悠馬が崩していくのか。姫子のメイド服や真里亜の黒パンストと共に、そのあたりが見どころになる。

優等生以上、フリョー未満な俺ら。

ぜってー裏切らねー
評価:☆☆☆☆☆
 吾流ヶ丘高校に通う荒鞍悠馬は、不良を目指している。多分に母親の影響で、不良をとてつもなく格好良いものと思っているのだが、授業は真面目に聞くし、先生の手伝いはするし、悪いことをするヤツには注意するし、困っている人がいれば助けるし、彼の思い描く不良は大変な優等生なのだ。だけど、周囲から不良じゃないと言われるのは、納得がいかない。
 そんな彼を更生させようとする幼なじみの聖真里亜は、何故かレディースの頭になって彼に正義の鉄槌を下してくるし、絡まれていたところを助けた後輩の花咲姫子は、不良の何たるかも分からず、舎弟ならぬ舎妹になるし、それをした委員長の東雲朱里は、自分もグループに入ると言いだすし、よく分からない。

 そんな時、一年の頃からの友だちの兎山翔に「暴れししゃも」の異名を持つ獅子谷萌が懐いてくるようになる。初めて自分を不良と見なして、兎山から離れさせようとする萌に歓喜する悠馬だった。

 不良、不良と叫ぶ悠馬が本当に欲しいのは、絶対に裏切らない仲間だ。周囲が何と言おうと、仲間のことは絶対に守る。そういう絆が欲しくて、彼は不良に憧れている。逆説的にいえば、優等生な関係にはそういったものがないと思っているのだ。
 しかし、彼がその想いを貫こうとすれば貫こうとするほど、周囲は彼を立派な人間だと思っていく。自分には出来ないことをやってしまう人間だと思っていく。そしてそれが、彼の周囲に本当の仲間を作ってくれるのだ。…ほぼ女の子だけどね。

 テンプレなハーレム系ラブコメに、不良という人間関係のモデルを組み込んでみました、という感じの作品だと思う。

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