HALO作品の書評/レビュー

ソロモンの詩篇 (2) -魔法の指輪と禁忌の呪文-

歴史のつながり
評価:☆☆☆★★
 下級貴族ながら王立魔法学院に入学したアルヴィス・ヴァンガードは、第二王女のエルノア・アルテミスと出会い一目ぼれする。同じく始祖十二賢者の末裔であるロア・エルドラドやイヴ・クリストファ、リコリス・ミストラルらと知己を得るものの、元々見下されていたルナサ・バーミリオンと再会し、教師のクラウス・ルーンからは異常なまでに嫌われてしまう。
 良い関係はこれまで通り維持しつつ、こじれてしまったエルノアとの仲を改善しようと動くアルヴィスは、失われた十三番目の賢者という存在に関わり、危険な目に会っていくことになる。

 冒頭は前巻からストーリーが連続しているわけだが、もう少し状況説明をしつつ引き受けた方が良いのではないだろうか。連続して読むならともかく、時間が空くと上手く物語に入れない。書籍化する際の留意点だろう。編集がチェックすべき。
 中盤から後半にかけては、物語が動き出して面白くなってくる。しかし、エミリアというキャラクターの行動は理解不能だ。


ソロモンの詩篇-魔法学院と悪魔の寝室-

エリートの中で奮闘する貧乏人の負けず嫌い
評価:☆☆☆★★
 精霊と契約して行使する魔法が礎となっている王国では、十二賢者を頂点とする貴族が支配権を握っている。アルヴィス・ヴァンガードは、そんな権力の最下層、下級貴族の少年だが、まぐれで王立付属魔法学院に合格してしまい、十二賢者の子弟や王族などと机を並べることになってしまう。
 十二賢者の家系であるルナサ・バーミリオンには異常に敵視され、変態寮長のリコリス・ミストラルには妙に気に入られておもちゃにされ、イヴ・クリストファには尻を蹴られ、辛いこともあるけれど、同じく十二賢者の家系のロア・エルドラドとは友人になり、第二王女のエルノア・アルテミスとも知己となった。

 しかしここは、権力の陰謀渦巻く場所。エリートたちの巣窟。ゆえに貧乏貴族に居場所はない。様々な妨害にも負けず、優しい先輩や仲間の助けを借りつつ、魔法の技術向上に励むのだが…。


 全体的に情景描写が不足していたり、主語省略が乱用されていたりして、個人的にはかなり読みにくく理解しにくい場面が多かった。特に冒頭から前半はそれがひどい。また、主要キャラクターの何人かの立ち位置がブレ気味で、たまに同じ人物の行動かとビックリするような描写もあった。
 今巻は、キャラクターが登場し自己紹介をしたというニュアンスが強く、物語の背景はほとんど語られない。おそらくこれから、王国成立時期の因縁などを含めて物語が展開されるのだとは思うのだが、それも含めて、もう少し作者の頭の中にある情景を文字にして欲しいと感じた。

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