一二三スイ作品の書評/レビュー

青春ダストボックス

一人と四人の群像劇
評価:☆☆☆★★
 美少女の幸乃守マリア、元超能力者の哀川仁、鬼怒川樹、七股上等の宇喜多蓮、昔の約束に捕らわれるストーカーの設楽慶による群像劇。

さよなら流星ガール

束の間の恋
評価:☆☆☆★★
 70年前の戦争で北海道の半分と沖縄が他国に占領され、北海道には壁ができた。そんな北海道のある町で生まれた悠と一之瀬茉莉。病弱ながら知的好奇心にあふれる茉莉と共に育った悠は、やがて彼女と同じ病気の見谷明人と友達になる。
 やがて病死するまでの束の間の、彼と彼女を取り巻く恋の物語。

世界の終わり、素晴らしき日々より (3)

残された者の責務
評価:☆☆☆★★
 上野綾という国防軍の女性軍医がリーダーを務めるコミュニティで、牟礼という人物から、本物の高国の皇子であり、コウの想い人である人物が暮らした町の情報を手に入れた。
 そうして北海道へと渡ったコウとチィは、北海道では高国の兵士たちの残党が暴れていることを知る。それに対抗する日本勢力と合流したコウは、あの彼が近くにいるかもしれないという情報を手に入れるのだった。

 シリーズ最終巻。

世界の終わり、素晴らしき日々より (2)

追憶
評価:☆☆☆☆★
 人のほとんどが消滅した日本を旅するコウとチィは、上野綾という国防軍の女性軍医と出会い、彼女がリーダーを務めるコミュニティに誘われる。自決したチィの父親にして日本国内閣総理大臣の近川を弔ったのち、コウとチィは上野綾のコミュニティへとやってきた。
 久しぶりのコミュニティに尻込みするコウは、上野と暮らす女子高生の北杜実花と、幼馴染の佐伯翔との関係に割って入るような形になってしまい、不安が的中する。一方、チィは、翔の弟の佐伯空から好意を寄せられ、彼らの友人である鷹野千代や上野から、面白半分で介入されてしまう。

 そんな生活は、コウに昔の記憶を思い起こさせる。そして、コウの過去を知る牟礼という人物から、あるものを託されるのだった。

 未だ世界観はつかみ切れないが、コウというキャラクターを深掘りするのが今巻の目的だろう。

世界の終わり、素晴らしき日々より

生への執着
評価:☆☆☆★★
 ある日、日本は隣接する島国の高国と開戦した。そしてその直後、日本から人類のほとんどが消滅してしまった。そんな世界で生き残った女子高生のコウは、高国兵士にレイプされかけていた女子高生のチィを助ける。目の前でその兵士を銃殺したコウを恐れていたチィだったが、次第に心を開くようになり、住所も電話番号もわからないという彼女の自宅を探すため、二人は旅に出る。
 手がかりは僅かにチィの描いた、近所にあるという鉄塔の絵だけ。うち捨てられた店から食料を手に入れつつ、あてどなく旅をする二人だったが、高国の軍曹である男性と、上野綾という国防軍の女性軍医に出会ったことがきっかけで、それまでの二人きりの生活は終わりを告げることになる。

 いわゆる終末ものという世界観なのだが、世界に何があったのかは語られない。登場人物たちがそれを知らないからだ。世界に解決を求めないところは「旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。」に似ているが、こちらは出会った人々よりも自分に意識が向いているので、より内面的だ。
 そんなわけで、非常に狭い範囲の事柄しか扱わない。ほとんど、コウの独白で構成されているといっても良いくらいだ。物語としては発展性があまりないと思われるので物足りないが、習作と考えれば、描写などに見るべきところはある都思う。

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