藤原祐作品の書評/レビュー

鮮血のエルフ (2)

内憂外患
評価:☆☆☆☆★
 エルフとの戦争に参加するためアストゼルレン大要塞に到着したイミナとエリス、ミリフィカたちだったが、同じ王族である将軍ダリ・シュクア・アストゼルレンの策略にはまり、敵対的な副団長アマイズ・ジュリエータが率いる白狼騎士団の団長と団長補佐にされ、戦争に参加することになる。
 騎士団の実権を握るため、その実力を見せつけたイミナたちは、騎士団の実力者である元盗賊ジアドレヌと情婦のフィーネを味方につけることに成功するのだった。しかし彼らを狙う策略は、これだけに留まらなかった。

鮮血のエルフ

壮絶な復讐心
評価:☆☆☆☆★
 ミドガルズ皇国の外れ、エルフの住む妖精郷との境界にあるサライド村に住むイミナ・ハイマティエは、郷王を出す十六氏族長家のひとつ、エンドヴェール氏族長家の長子シルジス・エンドヴェールと妹のエリス・エンドヴェールと交わりつつ、剣の修業をしながら平穏な日々を過ごしていた。だがそれは、ある日突然崩れ去る。
 突如村に攻め込んできたエルフたちは、村の人々を亜人たちに暴行させ、無残に殺していく。そしてその指揮を執っていたのは、親友のはずのシルジス・エンドヴェールだった。一度は殺されたものの、エリス・エンドヴェールの生体降霊術の唯業によって一命をとりとめたイミナは、復讐のための牙を研ぐ。そして物体降霊術を用いる魔剣を手に入れたイミナは、船上へと向かう途中、ユサラ教練学校総代のミリフィ・ユサラ・アストゼルレンと出会うのだった。

ロストウィッチ・ブライドマジカル (2)

悪化していく事態
評価:☆☆☆☆☆
 雨立希亜や茅島舞衣子が不在の折、学校内で奇妙なおまじないが流行っていることを咲森水奈は知る。硝子玉の魔女という仕返しをするおまじないの調査を関耶麻音に任せた咲森水奈だったが、犯人に接触する前に、一般人の友人がおまじないのせいで怪我をしてしまうのだった。
 接触した犯人は桐島庵子という少女であり、妹の桐島楼子の病気を治すために他人の幸運を集めていたという。その妹の入院先は、関栞が暮らす病院だった。

 急いで病室に駆け付けた咲森水奈と早良坂蓮は、桐島楼子を襲撃して来たバーバ・ヤーガの小屋(十二月会)の十部御崎と、彼女を撃退した関栞を目撃する。対立する相手と手打ちにするため、関耶麻音は一騎打ちを申し出るのだった。

ロストウィッチ・ブライドマジカル

理不尽な強制参加
評価:☆☆☆☆☆
 魔法の国の女王が身罷り、バラバラになった女王の器の欠片が、日本の鍛冶目山市に住む少女たちに宿った。魔法の国の住人たちは、女王の器の欠片を集めて新女王を誕生させるため、精神だけでやって来て何かに宿り、体現者(マスコット)となって欠片を持つ少女たちと契約し、魔女(ウィッチ)として殺し合いをさせるのが目的だ。これを女王のための統合戦争と称する。
 咲森水奈は、親友だった早良坂人魚と決裂し、共に体現者(マスコット)と契約して魔女(ウィッチ)となった。咲森水奈の体現者(マスコット)となった早良坂蓮は、水奈の幼馴染でもあるし、精神は魔法の国の住人でもある。そんな彼と共に、蓮の姉である人魚を取り戻し、女王のための統合戦争を平和裏に集結させるのが水奈の目標だ。

 ある日、咲森水奈は魔法を悪用して万引きする魔女(ウィッチ)の四十万薫を注意して争いとなり、そこに巻き込まれた未契約の魔女(ウィッチ)である市来柊と出会う。彼女を無用な争いから守るため、水奈の属する互助組織である夜の垣根の集い(ウィッカ)の垣根の巣(カヴン)の仲間である雨立希亜や茅島舞衣子に紹介し、事情を説明する。
 ところが、同じく仲間の関耶麻音に四十万薫の情報を集めてもらったものの、再び襲撃してきた四十万薫と仲間の戸野宮寧々と戦いになり、護衛していた雨立希亜と茅島舞衣子は破れ、市来柊を奪われてしまう。

 もうひとつの魔女の組織であるバーバ・ヤーガの小屋(十二月会)を統率する魔女は何者か?人魚の常識外の力の源となっているのは何か?など、気になるところはいっぱい。そして魔女たちは自らを体現する美しい衣装を纏いつつ、血みどろになって戦います。

煉獄姫 六幕

生みの親の真意
評価:☆☆☆☆☆
 瑩国王位の簒奪を目論むユヴィオール・カタシェレティスは、王弟リチャード・ミル・ラエを除く直系を殺し、アルテミシア・パロ・ラエとメイドのイオ・テリーヌを地下に監禁した。そして王位簒奪を完成させるべく、煉術師レイド・オータムと共に、アルテミシアの許に赴く。
 レキュリィの執事カルブルック・ティーウェとキリエによって窮地を脱出したフォグは、アルテミシアを取り戻すため、奪われたカイナに代わる力を手に入れようとしていた。そして、ローレン・エヌ・コーンフィールドの残した研究室へと足を踏み入れる。そこで彼が目にするのは…。

 シリーズ最終巻。なんというか、だいぶ救いのあるお話として仕上げられている。もちろん、犠牲者はたくさん出た訳だけどね。

@HOME(3) 長男と長女を巡る喧噪。

それは特別でも不可侵でもない
評価:☆☆☆☆☆
 倉須家を構成する長男・高遠、長女・礼兎、次女・リリィ、次男・響、三女・芽々子、三男・稜、四女・耶衣には、誰も血のつながりがない。だがそんなことは些細なことで、彼らは一生きょうだいで家族だ。
 耶衣が福引きで当てたペア旅行券をベースに、倉須家全員で旅行に行った温泉地は、かつて高遠と礼兎が暮らしていた施設に程近かった。

 そのことで初めて、二人の事情を知った響は、自分がまだまだきょうだいについて知らないことが多いと自覚する。でもそれは、新たに知ることが多いという意味で、楽しいことだ。
 だが、社会の多くの人は彼らの生き方を奇異なものとして評価する。そして彼らに同情を寄せる自分に酔い、彼らに関わることで自己満足に浸ろうとするのだ。そんな毒牙のひとつ、浅川恒一という男が、礼兎に近づいてくる。

 今回は長男長女のエピソードのため、現在進行形というよりは既に終わったことという印象が強いかも知れない。一件は現在進行形の事象のように見えるのだが、それを解決する根幹は、遙か昔に定まっているのだ。
 でも段々、展開の幅が狭まってきている気はするな。

煉獄姫 五幕

手遅れ過ぎる真実
評価:☆☆☆☆★
 瑩国王位を簒奪することで自身の由来に対する復讐を果たそうとするユヴィオール・カタシェレティスは、煉術師レイド・オータムと共に、王宮へと攻め込もうとしていた。
 そして匍都にはトリエラ・メーヴの生み出した幻獣たちが徘徊し、それらが街を破壊する。だが阻止すべきアルテミシア・パロ・ラエと「ローレンの雛」フォグは龍と、総合商社「レキュリィの宴」レキュリィと王弟リチャード・ミル・ラエはイーサ・ピル・ドレインが生んだ蛇鶏と、キリエは丁国法王庁奇跡認定局のグイード・レレイスと対峙していたのだ。

 各所で戦いが進みつつも、それは最終目的地である玉座へと収束していく。そこでユヴィオールが語るのは、ローレンの雛の最後の一人と、ローレン・エヌ・コーンフィールドの目的についてだった。
 全てはもはや手遅れで、フォグやアルトにもはや打つ手はない。全てはユヴィオールの計画通りに進行し、そのまま終わりを告げてしまうのか。あるいは絶望の淵から再び光を取り戻すことが出来るのか。結末は次巻に持ち越される。

 終わりも近いということで、チェスのエンドゲーム並みにバンバンと駒が消えていく感じ。この辺は相変わらずですな。

@HOME (2) 妹といちゃいちゃしたらダメですか?

ペタペタしてくる妹をどうしますか?
評価:☆☆☆☆☆
 事故で両親を失ってしまった園村響が引き取られた倉須家は、長男・高遠、長女・礼兎を筆頭として、兄弟6人の誰も血がつながっていない家族が暮らす家だった。それから三ヶ月、家族の一員となった倉須響の最近の悩みは、姉妹との距離感だ。一人っ子だった響には、今の距離感が普通なのか、彼女たちに抱く感情が適切なのか、判断がつかない。
 しかし、三女・芽々子の響に対する懐き方が異常だと言うことは何となく分かる。高校生になっても兄となった響にペタペタくっついてくるのはやり過ぎだと思うのだ。そんなとき、芽々子の友人である小林香、曽我優菜、白井沢くるみの3人が家に遊びに来ることになり、響もそれに付き合わされることになったことから、響は芽々子が抱える問題と向かい合うことになる。

 久しぶりの新刊。このシリーズは藤原祐氏の他の作品とは少し趣が違っていて、例えるならば杉井光氏が10%くらい配合されている印象を受ける作品となっている。つまり、作者本来の味もありつつ、少し突出した人間関係がコミカルに、しかし重たく描かれるのだ。
 今回はリリィの暴走は少なめで、他のキャラクターに対する伏線がいくつか敷かれる。そんな準備もされつつ、芽々子という妹のあり方が存分に語られていると思う。

煉獄姫 4幕

戦いの前の序曲
評価:☆☆☆☆☆
 アルテミシア・パロ・ラエの妹であり瑩国第一王女のマーガレットの婚約者となる悳国第二王子ディードの暗殺計画を防いだものの、アルトとフォグには課題が残った。彼らの欠点を補い、そして互いの能力を生かすよう、わがままで他人の存在を意識したことのなかったアルトも変わり、日々、フォグとの特訓に励んでいる。
 一方、瑩国に対する陰謀を企てる勢力は、互いに連絡を取り合い、協力して攻撃を実行する段階にまで達していた。法王庁の奇跡認定局に身を寄せるキリエは、ユヴィオール・カタシェレティスと図り、瑩国の貴族やその信者たちを襲い始める。ただし、彼らにはそれぞれの思惑があるのだが…。

 全く防ぎようもなく、徐々に被害を拡大していく状況の中、王弟リチャードにも打つ手がない。フォグもただ待ちの状況で、焦りが募るばかり。そんなとき、レキュリィがある大胆な策を提案する。

 本格的な戦いを始めるための準備的な陰謀の様子が描かれる。ゆえに、前半は派手さには欠けるかもしれないが、見えないところからじわじわと忍び寄ってくる気持ちの悪さと、互いに思惑を持ちながらも表向きは協力体制を取る攻撃者の様子、そして普通の人間が人外に落ちていく過程などが描かれる。
 そしてそれがひとつの成果に結実するのがラストだ。明らかに次巻に続く良い場面で終わってしまっているのが気を持たせてくれる。

煉獄姫 3幕

積み重なるごとに濃度を増していく
評価:☆☆☆☆★
 ユヴィオール・カタシェレティスが卓越した煉術師を集め、瑩国王室への陰謀を逞しくしている頃、王宮の外苑でひとつの会談が持たれていた。王弟殿下にして王権派の中心人物であるリチャード・ミル・ラエと、総合商社レキュリィの宴を主宰する人造人間レキュリィの密談だ。彼らは瑩国への干渉を排除するために、協力関係を結ぶ。
 だが、彼らの全てを秘密裏に進めようという努力は、別の場所で歪みも生む。それは、本来なら味方として期待できる人物すら、敵にまわってしまう事態を引き起こしていた。

 政治情勢の変化により、瑩国を訪問することとなった悳国第二王子ディードの護衛任務にあたることになったフォグ。ディード王子は将来、瑩国第一王女マーガレットの婚約者になる見込み。同じ王女でありながら、日陰に暮らすアルテミシアとの差を考えるにつけ、フォグはすっきりしない気持ちを抱いてしまう。

 そしてついに、ユヴィオールの陰謀が発動する。いずれも実力者ばかりの襲撃に対し、フォグやアルト、レキュリィは切りぬけることができるのか?
 それとは別に、煉獄にまつわる謎や、それに関わる人物も、徐々に表に出始めて来る。

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煉獄姫 2幕

残された強い感情が引き起こす事件
評価:☆☆☆☆☆
 王弟リチャードに呼び出されたフォグは、煉術師ギルドを統括する組織・レキュリィの宴が彼を呼びだしていること知らされる。そこにいたのは、フォグと出自を同じくする、ローレン・エヌ・コーンフィールドが生み出したホムンクルスの妹だった。
 一方、アルトの前には、前回の事件で友だちとなり、そして自ら葬り去ったはずの少女キリエが現れる。彼女にも意外な正体があった。そんなキリエは、フォグに恨みを持つ煉術師イパーシ・テテスを蘇らせ、アイリス・キャリエルの生み出した魔剣の一振り、アイリスの4番を与える。
 キリエとイパーシ、それぞれが持つ他者への固執の念が、再び匍都に事件を巻き起こす。

 なくしたり振り払った気がしていても、人間の芯に残る記憶はあって、無自覚な行動を支配するのかもしれない。今回の事件の根底にはそういったものだろう。そしてもたらされる結果は、無自覚ゆえに深く突き刺さって、致命的なものになりやすい。
 こういったことを突き詰めて描きすぎると、陰惨になりすぎたりしやすいと思うのだが、今回は楽しめる範囲で止められていると思う。

 今回の事件は収まったけれども、その裏側で動いていた人物、そして今回の事件で壊れてしまった人物が次にどんな仕掛けをして来るのか。その目的は何なのか。まだまだ楽しめると思う。

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@HOME 我が家の姉は暴君です。

突然今日から家族です。
評価:☆☆☆☆☆
 突然の事故で両親を失ってしまった園村響は、両親の遺産と自分を誰が引き取るかで母方の親戚が醜い争いをしている中、借金取りみたいな格好をした若い男に出会う。父方の叔母である倉須詠子の養子であるというその男、倉須高遠は、叔母と叔父はなくなっているけれど、倉須家の養子にならないかという。また、全く血がつながらない兄妹たち6人がいるということも。
 それまでの雰囲気に嫌気が差していた響は、彼の申し出を受け入れることにする。長男・高遠、長女・礼兎、次女・リリィ、三女・芽々子、三男・稜、四女・耶衣。誰も血がつながらず、倉須家との血縁もない彼らが家族となっている場所へ次男として加わることになった響だが、たとえ同じ高校に通っていても、一緒にご飯を食べていても、急に家族になれるわけではない。誰かを不快にしないように息を潜めて暮らす響きに対し、ついに限界に達したリリィが取る行動とは?

 全体的にはハートフルな家族ものという雰囲気を作りつつ、家族のキャラクター性によりイベントを起こしたり、血がつながらない家族の核に大きな謎を残したりしている。
 今回は響の家族加入と、リリィがストーリーのメインだったので、今後は年長者のストーリーが展開されるのかも知れない。

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煉獄姫

19世紀英国風ファンタジー
評価:☆☆☆☆★
 19世紀のイギリスの様な舞台設定。煉獄と名付けた違う世界から様々な物質を引き出す煉術が発展しつつある世界。本来なら第一王女として表舞台に立てるはずだったアルテミシアは、その身の内に煉獄への扉を宿し、そこから染み出す毒気により周囲の生物をしに至らしめるため、その存在は隠され、地下での生活を強いられていた。
 そんな彼女の側にいるのは、身の回りの世話をするメイドのイオと、煉獄への完全な耐性を持つフォグという少年騎士のみ。アルテミシアとフォグの二人は、王宮付きの煉術師として、王と自分たちのの立場を守るため、様々な事件に駆り出される。

 一見するとアルテミシアの特異性に目がいくが、自分の毒が自分に害をなさないのはよく考えれば普通で、そうではないのに完全な耐性を持つフォグの方が不思議。この謎は、物語の進展を通じて解き明かされる。
 ヒロインを王女にすることで、物語の中心を煉術というファンタジー要素だけでなく、それを核とする政治にも関係することができるようにした感じがする。だから、技術を駆使した戦闘だけでなく、煉術というもの自体にもスポットライトがあてられるのだ。

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アカイロ/ロマンス (6) 舞いて散れ、宵の枯葉

どちらも同じ愛だったのだけれど
評価:☆☆☆★★
 チェスの終盤みたいに、盤上からどんどん駒がなくなっていく感じで物語は進む。同じ升目に入った駒同士は共存し得ないという様に。
 最後にたどり着くまでの犠牲は大きかった。

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アカイロ/ロマンス (5) 枯れて舞え、小夜の椿

あいまいな記憶、信じていたもの
評価:☆☆☆☆★
 人間の精神は、おそらく、心の拠り所とする支柱がなくなれば、壊れてしまう。だから、その支柱を補強する様に自分の行動を正当化する論理を見つけ出す。そうやって生きていけば、柱はどんどん太くなって衝撃には強くなるはず、なのだけど、柱だと思っていたものが実は柱ではなかった、と気づいてしまった時には、これまでそれに寄り掛っていた力に比例するように、一気に崩れてしまう。まあだから、柱は何本かに分散させておいた方が良い。
 枯葉の柱は明確だったはずなのだけれど、それはまるで幻想の様に一気に消え失せてしまった。そして、もともと部外者だったはずの景介にしても、本当は当初から脚本に織り込まれていた存在だったと知り、混乱する。そしてその混乱は、取り返しのつかない結果を招いてしまう。
 ラストに向けての急展開。壊れずに無事収束できるのだろうか。

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アカイロ/ロマンス (4) 白日ひそかに、忘却の

人間無くして生き続けられない種族の不思議
評価:☆☆☆☆★
 枯葉が高校に潜入。クラスメイトの前に堂々と現れたために、景介との関係が表沙汰になってしまう。おかげで隠す理由がなくなった景介は、結構大胆な行動に出るようになる。
 分家の先代たちのおかげで、臓物の使い方も明らかになって戦力アップと思いきや、新たな謎が登場したり、裏では戦力の切り崩しが行われたり…。誰が何のために何をしたのか、鈴鹿とは何なのか。6巻完結に向けて、お話が盛り上がってきています。

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アカイロ/ロマンス (3) 薄闇さやかに、箱庭の

世界認識の転換完了、新世界で行動開始
評価:☆☆☆☆★
 今回の焦点は、景介の姉のことを知る繁栄派の少女檻江の去就。
 通夜子が示す覚悟を前に、自らの甘さ、流されやすさを省みる景介。鈴鹿の長老たちが過去に画策し、枯葉たちには知らされていない事実の象徴でもある彼女に対して、どう向かい合うのか。
 鈴鹿の一族を当然のことのように自らの生活に取り込んでしまった景介が、通夜子、檻江、供子などとの対決を通じて、鈴鹿の秘密に少しずつ踏み込んでいきます。

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アカイロ/ロマンス (2) 少女の恋、少女の病

でも次も迷うと思う
評価:☆☆☆☆★
 読者を選ぶ系統の本であることは間違いない。1巻では、読者に相当感情移入させた吉乃をあっさりと死なせてしまうのだから。あまりの展開に、2巻を買おうかどうかかなり迷いました。
 でも、結局買って読んで見て、1巻で読むのを止めなくて良かったかな、とは思いました。今回は、吉乃を取り込んだことによる枯葉の葛藤があり、図らずも問題の当事者になってしまった景介の、吉乃を助けられなかったことに対する後悔が描かれていました。ただ体を乗っ取るというのではなく、心も意志も合わせて取り込むのだ、というような考え方に、少し救われたような気もします。

 今回も、つうれんを狙って、新たな刺客が二人ほど登場します。そして、最後には思いもよらない武器が登場してきます。和装の人間があんなものを振り回している様は、結構シュールだ。

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