冬樹忍作品の書評/レビュー

二次元の砦を守るには不本意ながら彼女が必要らしい

幼なじみが主導するハーレム
評価:☆☆☆☆☆
 一人暮らしをする高校生二年生・神代利樹は、好きなゲーム「天魔無双シリーズ」をプレイしたり、マンガを読んだり、自由な生活を謳歌していた。しかし、4年ぶりに幼なじみの一志珠美と再会し、何やら期待していた彼女が彼のオタクっぷりに絶望した結果、両親へと通報、一週間以内に彼女が作れなければ、自宅へ強制送還となることが決まった。
 普通に考えたらそんなことは無理。でも意外に近くに格好の相手がいるかも、と珠美が期待を込めて言った途端、利樹の周囲に、去年、趣味の関係で仲良くなった少女たち、四季花凛と十条麻里が出現し、珠美の期待は不安へと変わってしまう。

 とにかく、一週間で利樹に彼女を作る計画を立て、オシャレや何やらを指導していく珠美だったが、事あるごとに別の女の子が現れて頓挫、そして次第に珠美の目的も若干、変質していく。

 性別を逆にしたマイ・フェア・レディみたいな展開に始まり、利樹の周囲に集まる少女たちが次第に仲良くなって、最終的にはハーレム系ラブコメの展開になっていく。
 ここで重要なポジションにいるのが、幼なじみの珠美。彼女は自分のために行動を開始する訳だが、その行動が、他のパッシブな少女たちをアクティブに変えていき、彼女の目的実現から遠のいていくというのが皮肉。しかしみんな、趣味の合う友だちが出来て楽しそうなのでオッケーなのだろう。

 オタクな人の人生では、珠美の様な存在が現れることはまれなので、こんな展開に恵まれることはありません。

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