藤まる作品の書評/レビュー

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 ~Sunrise & Sunset Story~

もう少し引っ張る
評価:☆☆☆★★
「雪瑚、おにいさまのトクベツを探す。」

「バレンタインデー、キミはキューピッドになる。」

「明日、セクシードリームは滅びる。ヒーローは甦る。」
 ここに来て新キャラ、従妹の瑠奈登場。

「明日、俺は死ぬ。君は生き返る。」
 月村千秋と隼人の過去エピソード。

「クリスマス、雪瑚はサンタになる。キミは生き返る。」

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (3)

猶予期間の終わり
評価:☆☆☆☆★
 夢前光の精神に人生の半分を譲り渡した坂本秋月だったが、夢前光の時間がだんだんと短くなってきていることから焦りを覚える。この現象を引き起こした人物から、人生の残り全部を相手に捧げなければ、相手は近々消滅すると言われていたのだ。
 この事態を解決するため、解決方法を知っている人物をネットで探し始める二人。そして月村千秋と隼人という二人を発見する。死人である隼人からの課題で、千秋と仲良くなるミッションを下される秋月だったが…。

 シリーズ最終巻。

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (2)

ラブコメる連作短編
評価:☆☆☆★★
 夢前光が事故で死ぬ瞬間を目撃した坂本秋月は、謎の男と人生の半分を明け渡す取引で、夢前光の魂をこの世に留めた。しかしそれは、一日おきで、坂本秋月の身体の主導権を夢前光と交代するという、中途半端な復活だった。坂本秋月の身体になった夢前光は、妹の坂本雪瑚やクラスメイトの真田霞を籠絡し、坂本秋月の日常は変化を見せ始める。
 そんな彼女とつづる交換日記に、妹の坂本雪瑚に彼氏ができたという情報が記載された。その彼氏は美少女のような容貌をした木下薫という少年だった。

 そしてある日、坂本秋月の財布が徐々に軽くなるという事態が発生する。その理由は、夢前光が入れ込むカフェのバイト香寺美紗貴に貢いでいるというものだったのだ。
 そんな楽しい日常を過ごしていたところ、坂本秋月は夢前光の時間が少しずつ短くなっていく事実に気づく。

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。

一日おきの人格入れ替わり
評価:☆☆☆★★
 見た目が怖いせいで不良扱いされ避けられている高校生の坂本秋月は、ある晩、目の前で車に轢かれて死んだ女子高生の夢前光を助けるため、人生の半分を明け渡すという契約を、謎の黒ずくめの男とした。
 ところがそれから、坂本秋月の記憶が一日おきになくなるという現象が発生する。養護教諭の日雲すてらに相談してもただエロく誘惑されるばかりで要を得ない。そして、誰からも避けられていた彼の日常は、セクハラ疑惑にまみれたり、クラスメイトの真田霞から感謝のキスをされたり、妹の坂本雪瑚が興奮して見つめてきたりするものへと変化して行く。なぜなら、彼がした人生の半分を明け渡す契約とは、一日おきに彼の身体の使用権を夢前光に渡すというものであり、彼女が彼の身体を使って色々とやらかしていたのだ。

 ある時点を境に入れ替わるため、互いに接触することが出来ない坂本秋月と夢前光は、一冊のノートを使って互いの情報をやりとりすることになる。一方的に、坂本秋月の生活を盛り上げようと、彼女が出来るようにお膳立てを整えていく夢前光なのだが、坂本秋月の心には、徐々に夢前光への恋心が芽生えてくる。そんなとき、坂本雪瑚から、夢前光の日の坂本秋月が、風城隆行という男と二人で会っていたと聞かされる。

 第19回電撃小説大賞金賞受賞作品。何故最近の受賞作は、読者に状況を伝えることに心を砕いていない作品が散見されるのだろうか?自分が理解して気持ちよく書けていればそれで良いのだろうか?それでも、後半になって物語の筋が出来てくると読みやすくなり、タイトルの、男二人による二種類の解釈が明かされ、まとまった感はある。
 一日おきに人格が入れ替わるという設定なのだから、例えば日付を入れるなど、その飛び飛び感がはっきり伝わるようにした方が良かったように思う。また、自分が知らない行動によって日常が変わって行く様を、一人の少女だけでなく、もっと多くの人の行動から明らかになるような仕掛けがあった方が良かったようにも思う。

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