丸戸史明作品の書評/レビュー

冴えない彼女の育てかた FD2

評価:☆☆☆★★


冴えない彼女の育てかた (13)

評価:☆☆☆★★


冴えない彼女の育てかた Girls Side (3)

評価:☆☆☆★★


冴えない彼女の育て方 (12)

評価:☆☆☆★★


冴えない彼女の育て方 (11)

評価:☆☆☆★★


冴えない彼女の育て方 (10)

評価:☆☆☆★★


冴えない彼女の育て方 Girls Side (2)

評価:☆☆☆★★


冴えない彼女の育て方 (9)

自分でも気づかない
評価:☆☆☆★★
 波島伊織プロデューサーに迎えて再出発したblessing softwareだったが、進化した澤村・スペンサー・英梨々の絵に衝撃を受けた波島出海には、本人も気づかないうちに良くない変化が生じていた。加藤恵も英梨々にわだかまりを抱えたまま、すっきりしない状況に、安芸倫也は霞ヶ丘詩羽に相談する。彼女の答えは、シナリオを書けというものだった。
 安芸倫也の澤村・スペンサー・英梨々に対する素の気持ちが暴露される第九巻だ。

冴えない彼女の育て方 (8)

プロデューサーを変えよう
評価:☆☆☆☆★
 出海を仲間に迎えたものの、倫也はプロデューサーとメインライターという二つの大きな役割を担わなければならなくなってしまった。しかもバンドのプロデューサーもやらなければならないので、現実的には無理と言って差し支えない。そこで倫也は、起死回生の一手を思いつく。

冴えない彼女の育て方 Girls Side

紅坂朱音との出会い
評価:☆☆☆☆☆
 柏木エリこと澤村・スペンサー・英梨々と霞詩子こと霞ヶ丘詩羽の出会い。そして紅坂朱音との出会いが描かれる物語だ。

冴えない彼女の育てかた (7)

サークル新生
評価:☆☆☆☆☆
 未だ加藤恵との仲直りができない安芸倫也に別れの季節がやってくる。卒業だ。そしてそれは、更なる別れの予兆も感じさせるものだった。
 別れがあれば出会いもある。もう一度、彼女と出会い、そして新たな仲間が加わる。春は出会いの時期でもある。

冴えない彼女の育てかた FD

短編集
評価:☆☆☆☆★
第1.5話「食えない彼女のおだてかた」
「柏木エリ」こと澤村・スペンサー・英梨々のエロ同人制作の手伝いをすることになった安芸倫也は、たいへん恥ずかしい思いをする。

第2.5話「眠たい彼女のあやしかた」
ラノベ作家「霞詩子」こと霞ヶ丘詩羽のインタビューを任された安芸倫也は、たいへん恥ずかしいことを言ってしまう。

第3.3話「引かない媚びない省みない彼女の倒しかた」
澤村・スペンサー・英梨々とロケハンに出かけた安芸倫也は、たいへん恥ずかしい行動を取ってしまう。

第3.7話「妄想する霞詩子」
霞ヶ丘詩羽と新作のネタだしに出かけた安芸倫也は、またも恥ずかしいことを言ってしまう。

第4.5話「非オタな彼女の染まりかた」
氷堂美智留と秋葉原に出かけた安芸倫也は、やはり恥ずかしいことを言ってしまう。

第5.3話「冴えない半年のまとめかた」
冬コミ前の一日のドタバタ。

第5.7話「冴えない座談会の進めかた」
キャラクター座談会のふりをして加藤恵が毒を吐く。

冴えない彼女の育てかた (6)

オタクと幼馴染の異なる側面
評価:☆☆☆☆★
 ゲーム同人サークル「blessing software」のゲーム制作活動は、ラノベ作家「霞詩子」こと霞ヶ丘詩羽とプロデューサー兼ディレクター兼スクリプト担当の安芸倫也の合作によるシナリオ完成を以て、最後の仕上げとなるイラストの制作に入っていた。
 「柏木エリ」こと澤村・スペンサー・英梨々は、シナリオに見合うイラストを仕上げるため、自身の絵柄をスキルアップさせることを目的として、別荘に一人缶詰になって作業をすることを提案する。それを快諾し、メールによって進捗確認を行う安芸倫也だったが、そんな彼の姿勢に、デバッガーにしていつの間にやらサークルの要となった加藤恵が疑問を呈すのだった。

 それは、安芸倫也が澤村・スペンサー・英梨々との間にとるスタンスの問題。オタクとしての安芸倫也と、幼馴染に対する人間としての安芸倫也の一側面。そのギャップがサークルの間に見えない亀裂を刻んでいく。

冴えない彼女の育てかた (5)

詩羽のお願い
評価:☆☆☆☆★
 ゲーム同人サークル「blessing software」のゲーム制作活動は、ラノベ作家「霞詩子」こと霞ヶ丘詩羽によるシナリオ完成を迎えた。ところが彼女は、新たにトゥルー・シナリオを提示し、プロデューサー兼ディレクター兼スクリプト担当の安芸倫也に選択を迫る。
 霞ヶ丘詩羽が意図する部分とは別のところで真剣に悩む安芸倫也は、加藤恵のアドバイスを受け、テスト版としてゲームを組み上げて見ることにする。そして彼はこのゲームの問題に気づいてしまうのだった。

 そんなとき、波島伊織の妹の波島出海がイラストを描いたゲームのテスト版がリリースされる。そのことを知った安芸倫也は、「柏木エリ」こと澤村・スペンサー・英梨々と共に波島出海にコンタクトを取るのだが、そこで現れた彼女は昔の天真爛漫な彼女ではなかった…。

冴えない彼女の育てかた (4)

私よりも古い幼馴染
評価:☆☆☆☆★
 ゲーム同人サークル「blessing software」の作業は、ラノベ作家「霞詩子」こと霞ヶ丘詩羽がシナリオをあげ、幼馴染で売れっ子同人作家「柏木エリ」こと澤村・スペンサー・英梨々がイラストをあげたことで、順調に進んでいるかに見えた。
 しかし、スクリプトと音楽が未だ何も進んでいない。プロデューサー兼ディレクターの安芸倫也は無策で何もせず、加藤恵がスクリプトをやると言ったことで初めて、自分がスクリプトを担当すると宣言する。

 そんな風にやる気になって帰った自宅で安芸倫也を待ち受けていたのは、同い年の従姉である氷堂美智留だった。彼女は女子校の友人の水原叡智佳、森丘藍子、姫川時乃と共に組んだバンド「icy tail」の活動を父親に認められず、安芸倫也しかいない家に家出してきたのだ。
 子どもの頃は一緒にお風呂に入ったり、山で足をくじいた彼女を背負って家に帰ったりもした安芸倫也だったが、成長した氷堂美智留が短いタンクトップとショートパンツでベットの上にいれば、モヤモヤしたものを感じずにはいられない。

 だが、氷堂美智留の音楽を聴いた時、安芸倫也に衝撃が走る。彼女の音楽は、正に彼の理想とする音楽だった。しかし、彼女をサークルに引き込むには問題が二つ。一つは彼女がオタク嫌いだということ。もうひとつは彼女のバンドがデビューを目指していることだった。

 またもう一人サブヒロインが登場!というところなのですが、安芸倫也の妄想従姉がリアライズしたようなキャラクターだった。多すぎるヒロインに、サークルは崩壊の危機?という感じです。

冴えない彼女の育てかた (3)

背景の重要性
評価:☆☆☆☆★
 冴えないヒロインの加藤恵をモデルとして、同人ギャルゲーを作ることを思い立ったオタクの安芸倫也は、ラノベ作家「霞詩子」である先輩の霞ヶ丘詩羽や幼馴染で売れっ子同人作家「柏木エリ」である澤村・スペンサー・英梨々を巻き込み、無名サークルを立ち上げた。
 スランプに陥っていた霞ヶ丘詩羽を寸止めで落として立ち直らせ、ゲームシナリオは順調に仕上がってはいたものの、澤村・スペンサー・英梨々のキャラデザインが未だ進んでいなかった。なぜなら彼女には、夏のコミケに出す新刊の原稿を仕上げるという重要な仕事があったからだ。

 本来なら、コミケの原稿をやめさせ、ゲームのキャラデザインを進めさせるのがプロデューサーである安芸倫也の仕事なのだが、かつて彼がオタクの道に引き込んだ波島出海と、彼女の兄の波島伊織が現れ、とある事実を暴露したことで、原稿を仕上げることは必須の命題となってしまう。

 後輩キャラの登場と、主人公のライバルの登場が重なっている。順調に今回もさえないのだが、意外にキーになるところはしっかり押さえている感じ。背景が真っ白では良い原稿にはならないので、目に留まらない背景キャラも重要なのです。

冴えない彼女の育てかた (2)

良くも悪くも普通のラブコメ
評価:☆☆☆☆★
 目立たない平凡なスペックの少女、加藤恵との偶然の遭遇からインスピレーションを得た消費型オタクの安芸倫也は、大ファンであるラノベ作家で先輩の霞ヶ丘詩羽や幼馴染でオタク同人作家の澤村・スペンサー・英梨々を引き入れ、同人ギャルゲーを製作することにした。
 しかし、霞ヶ丘詩羽は新シリーズ執筆を理由に、英梨々は新刊製作を理由に、全くシナリオやキャラクターデザインをやる気がない。さらには、加藤恵にはイケメン医大生の従兄がいることが発覚し、安芸倫也は一人でテンパりはじめる。

 ともかく、ヒロインを無垢のまま置くため、単なる親戚だという加藤恵の言葉も聞かず、イケメン医大生と引き離すために、彼女とオープンしたばかりのショッピングモールに行く約束をするのだが、アウェーでの戦い方を考えすぎて知恵熱を出したり、あまりの人出に吐き気を催したりする。
 一方、そんな倫也に好意を抱く詩羽や英梨々は、自分の仕事の合間に時間を見つけて設定やデッサンをはじめ、倫也に提出するのだった。しかし、その設定に倫也がストップをかける。

 良くも悪くも普通のラブコメになったな、という感じだ。ヒロインを舞台に乗せないことを特徴としてきた作品でヒロインが舞台に乗れば、それは普通ということだろう。さらには、あえて無視してきたキャラの立ったモブキャラが意思表示をし始めれば、やはりそれも普通と言うことになる。
 それが悪いと言っているのではなく、異常な猛プッシュのプロモーション体制が実態に合っていないと感じているだけだ。ヘタクソな広告宣伝活動は業界の寿命を縮めるので、好い加減にして欲しい。

冴えない彼女の育てかた

ヒロインではなく、主人公の情熱がヒロインを決める
評価:☆☆☆★★
 アニメのBlue-ray初回特典版などを購入するために新聞のアルバイトをし、周囲に布教活動をする、自他共に認める突き抜けたオタクである安芸倫也は、桜の咲く坂の上で、帽子を風に飛ばされた少女と出会う。
 そのギャルゲー的な出会いにインスピレーションを受けた倫也は、相手の名前も聞かずに帰り、彼女をヒロインとした同人ギャルゲーの企画をしようと試みる。

 実はその少女は、これまで何度か会話したことがある同級生の加藤恵だったことに学校で再会して初めて気づくのだが、普段の彼女は、先日の衝撃的な出会いで受けた印象とは全く異なり、萌要素など全くない、あまりにも気軽すぎる、気負いもドキドキ感も得られない、ヒロインとは無縁の少女だったのだ。
 そこで、彼女の魅力を底上げし捏造するため、安芸倫也はその人脈から、一級のシナリオライターとイラストレーターを企画に参加させようとする。それは、完全無欠の優等生として認知されている、実は売れっ子ラノベ作家の先輩である霞ヶ丘詩羽と、美術部のエースで父親は英国外交官のお嬢様と認識されている、実はオタクの同人作家である澤村・スペンサー・英梨々だった。

 しかし二人は、安芸倫也の表紙だけの企画書を一別すると、何か過去の嫌な思い出を想起したのか、速攻で拒否。だが、自身にクリエイターとしての資質は無いながらも、粘り強さと強引さには定評がある安芸倫也は、何もしないからと言ってホテルに連れ込むナンパ男のごとき強引さで加藤恵を巻き込み、加藤恵も何ら警戒感を抱くこと無くあっさりと巻き込まれ、霞ヶ丘詩羽と澤村・スペンサー・英梨々を懐柔する作戦に出る。
 だが、安芸倫也は何も分かっていなかった。何故、霞ヶ丘詩羽と澤村・スペンサー・英梨々が彼の提案をあっさりと蹴ったのか、その理由の本質を。それを彼が理解したときには、事態は既に彼の手を離れていたのだ。

 品薄感が演出されていたのでとりあえず買ってみた。タイトルからも分かるとおり、実はヒロインはいてもいなくても変わらない構成になっている。最後まで、いてもいなくても良い。ただの切っ掛け、導入装置に過ぎないと言い切っても過言では無い。
 あえてこの作品にラブコメとしての特徴を見いだすなら、それは、恋とは恋に落ちるきっかけこそが特別であり、それを維持するためには、互いにその特殊性を演じ続けるか、あるいは平凡さ普通さに喜びを見いだし、日常に落とし込んでいくしか無いという現実を突きつけているところだろうか。

 同人業界のあるあるネタみたいなものが盛り込まれているようで、いわゆる消費型のオタクを主人公にしておきながら、それを蔑ろにしている印象も受ける。そういう人たちがいるからあなた方も生活出来るんでしょうに。こう考えると、非常に狭いマーケットに向けた作品と断じざるを得ない。ちなみにボクは、そのマーケットには入っていない。

ホーム
inserted by FC2 system inserted by FC2 system