カーマロカ―将門異聞(三雲岳斗)の書評/レビュー


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カーマロカ―将門異聞

師弟の出会い
評価:☆☆☆☆★
 平将門と言うのは現代においても異様な人物といっていいだろう。何せ、大手町の一等地に社を構えているのだから。明治以降、移転しようとして災難が降りかかったと言う話に事欠かない。
 歴史は常に勝者のものである。古事記にいう、まつろわぬ神々というのは、体制に従わなかった地方豪族たちだともいう。そういう観点から見れば、怨霊として扱われた将門も、体制に都合の良くなかった人物だったと言うことなのだろう。本作も、そんな視点から描かれている。
 主役は平将門のようだが、実際の主人公は賀茂保憲であり、平貞盛である。それぞれが、将門を認めつつも、それぞれの鬱屈した感情で彼に立ち向かう。その状況を見て、笑っているのは一体誰なのだろうか。
 良作とは思うが、最後だけは納得行かない。あのような展開にするのならば、途中で別の展開にすればよかったはずであり、苦労して陰陽術などに理屈をつけたのに、矛盾した行動と言える気がする。…まあ、楽しく読めたからいいけど。

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