聖遺の天使
- 永遠のはざまで
- 評価:☆☆☆☆★
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永遠。文字通り考えれば、それに期間は存在しないが、人間の認識上、2つの期間に分けられると思う。社会が消えるまでの永遠と個人が死ぬまでの永遠。文化は前者に括られるだろうし、愛は後者に括られるだろう。これは、それぞれの永遠を求める人間たちの物語といえる。
ミラノとヴェネチアの政治的要所で発生した聖遺物の所有権問題に関係することになったチェチリアは、レオナルドに救援を求める。そこにあったのは、黴臭い城砦と聖遺物が起こした奇蹟とも思える殺人事件。紛失した聖遺物の問題を解決したレオナルドは、この事件の背景にあった事件を明らかにします。
奇蹟を引き起こし人々の畏敬の念を集めて永遠となった聖遺物と、その舞台でおきた人と人との心のすれ違い。永遠を生み出すのも人間なら、永遠を断ち切るのも人間。悲しい事件の幕切れながら、「白テンを抱く貴婦人」は現在まで残されているという事実に少し癒されます。
ただ、これを長編として書くのは少し引っ張りすぎかもしれません。もう少し短い方が、強い印象を与えられたのではないかと思います。
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聖遺の天使(三雲岳斗)の書評/レビュー
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