宮澤伊織作品の書評/レビュー

裏世界ピクニック (3)

評価:☆☆☆★★


裏世界ピクニック (2) 果ての浜辺のリゾートナイト

評価:☆☆☆★★


裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル

評価:☆☆☆★★


高度に発達したラブコメは魔法と区別がつかない

暴走
評価:☆☆☆★★
 告白成就の「伝説の樹」の下で甘紙伊月と喧嘩をした黒船蓮司は奇妙な現象に見舞われるようになる。そんな蓮司の前に現れた〈恋の魔法使い〉を名乗る少女。彼女曰く、それは恋の魔法の暴走らしい。
 暴走を止めるために奔走する蓮司だったが、恋の魔法は他の少女たちも巻き込んでいくのだった。

不本意ながらも魔法使い

能力だけは魔法使い
評価:☆☆☆★★
 天道戒は異世界の人間族の魔法使いマガダリアスに転生のための器として召喚された。しかし、直後に襲撃を受け、マガダリアスは魔力のみを継承させた段階で死んでしまう。
 人間族以外の鬼族、悪魔族、獣族、不死族、妖精族、龍族、器械族の魔王から魔力のエサとして認定された天道戒は、魔王から狙われることになる。

 マガダリアスが契約していたアーシュラとシルカを従え、人間族の王城へと向かった天道戒だったが…。

ウは宇宙ヤバイのウ! ~セカイが滅ぶ5秒前~

非アリストテレス的展開
評価:☆☆☆★★
 地球に巨大隕石が落下する。高校生の久遠空也は幼馴染の非数値ヌル香から5秒前に対処を求められ、何もできないまま地球は崩壊する。
 自室で目を覚ました久遠空也は、非数値ヌル香からそれが夢ではないと告げられる。彼は星間諜報組織偵察局の諜報員クー・クブリスであり、自身は彼の偵察船ヌルポイントだという。ヌルポイントに搭載された世界線混淆機を稼働させて時間を巻き戻したことにより世界の設定も変化して、地球の高校生になったのだという。

 クー・クブリスとしての記憶がない久遠空也は、数日後に落下してくる巨大隕石を何とかしなければならないのに何もできず、とりあえず、幼馴染の加羅玉ちよと一緒に高校へ向かう。そしてそこで、偵察局の局長であり、今は偵察部の部長である上司のコードウェイナー菫に会う。

 タイトルや登場人物の名前から見て、海外SFに影響を受けていることは想像に難くない。「非Aの世界」を底本にしていると思われる。このため、そのあたりを面白いと思えない人にはなんだかよくわからない作品だろう。

僕の魔剣が、うるさい件について (4)

太古の呪いの結末
評価:☆☆☆★★
 魔剣《夜来たる》を持つ早瀬吏玖のベッドに、魔剣《虚数》を持つ<兵器廠>の鋳流が潜り込んできた。吏玖を自分のパートナーに誘うためだ。魔剣《象られた力》の使い手である貫肌心花の乱入でうやむやになったものの、吏玖の心にもたらした影響は大きい。
 魔剣《鉄暁》の所有者だったホルスト・ゾーンタークが討たれたことで、<火神結社>内部で徒弟から職人に昇進した魔剣《清焔》の使い手である竜胆めらは、自分を裏切った魔剣《凍月》の使用者である才森加奈子や、吏玖への恨みを高めつつあった。そして魔剣《フィアサム・エンジン》の所有者だった我牙理を利用し、鷹野香織や芹沢墨緒まで巻き込み、恨みを晴らそうとする。

 シリーズ最終巻。終盤にドタバタと畳んだ感じはある。<火神結社>との戦争中に、味方同士で戦う理由はなかろう。せめて全滅させてからだったらともかく、中途半端に残したままでは、後ろから討たれる可能性もあった。
 色々と設定を仄めかしていたけれど、終わり方はあっさりと、全ての理由を祖父に押しつけ、竜頭蛇尾とも言えなくもない結末だった。

僕の魔剣が、うるさい件について (3)

忘れてしまった本当の気持ち
評価:☆☆☆☆★
 魔剣《夜来たる》にとりつかれた早瀬吏玖を監視するため、彼の通う高校に潜入している<火神結社>の《凍月》才森加奈子は、早瀬吏玖の友人の鷹野香織の尽力もあり、次第に学校に馴染み始め、これまでの冷たい印象から少しは笑顔を見せるようにもなって来た。
 しかしその穏やかさは所詮は仮初のもの。《清焔》竜胆めらの師である《鉄暁》ホルスト・ゾーンタークが現れ、<火神結社>の決定として《夜来たる》の奪取を命じたことで、彼女は本来の立場に立ち戻らなければならなくなってしまった。

 そのための手段として、早瀬吏玖の保護者的な立場となっている芹沢墨緒を襲撃、拉致監禁して、早瀬吏玖を説得させようと試みる。そのことを知った《象られた力》貫肌心花は、彼女を助け出すために、<火神結社>に戦いを挑む。
 一方、早瀬吏玖の許には、<兵器廠>の《虚数》鋳流が訪れ、共に<火神結社>を襲撃しようと誘惑するのだった。

 魔剣は誰が生み出したのか、なぜ生まれたのか。その背景が少しずつ明らかになって来た。一方で、正義の味方然としている<火神結社>の目的は未だ明らかにならないまま。結局、早瀬吏玖は、自分の直感を信じて戦い続けるしかない。

僕の魔剣が、うるさい件について (2)

魔剣に負けず助けよう
評価:☆☆☆★★
 祖父・俊夫の残した魔剣《夜来たる》にとりつかれた早瀬吏玖は、魔剣を集める<火神結社>の《凍月》才森加奈子から監視される立場になった。友人の鷹野香織に魔剣のことは秘密にしなければならないので、日常に微妙な軋みが生じる様になる。
 そんなある日、吏玖は右手に《象られた力》を宿した中学生・貫肌心花と出会う。自分と似た境遇に同情した吏玖は彼女を自宅に連れて来るも警戒されてしまう。そんな彼女の世話は祖父の教え子だった芹沢墨緒に任せ、<火神結社>の《清焔》竜胆めらを警戒していたところ、魔剣を折ろうとする<兵器廠>の《虚数》鋳流の指示で《フィアサム・エンジン》我牙理が襲撃をして来て、心花を連れ去られてしまった。

 とにかく他の魔剣を折りたい《夜来たる》に振り回されつつ、何とか抵抗しようとする吏玖だが、徐々にその思考は好戦的になっていく。しかしだからこそ、同じような境遇の女の子には普通にいて欲しい。だが、いきなり知らない少年に懐く少女がいるはずもなく、徹底的に警戒されてしまうのだ。
 ラブコメに動機付けをしようと真面目に取り組んでいる部分はあるのだが、それは上手くいった部分もあり、ちょっとうまくいかなかった部分もある感じだ。あとは、異能バトルという視点で見れば、もうちょっと互いの立場を明確にしての戦いの方が、真剣味が増すのではないだろうか。いまは敵が単なる異常者集団にしか見えないし。

僕の魔剣が、うるさい件について

必然性が理解できない
評価:☆☆☆★★
 早瀬吏玖が祖父の遺品を整理していて見つけた日本刀は生きていた。そしてそれはなぜか少女の見た目をしている。<夜来たる>と名付けたそれの目的は、同じ様な魔剣を折ること。どうしてそれをしなければならないのかは、彼女にも分からないらしい。
 いきなり襲ってきた魔剣の所有者を撃退した吏玖のもとに、才森加奈子という魔剣所持者がやってくる。彼女は魔剣を集めている<火神結社>の一員らしい。そんな彼女は、吏玖が魔剣を手放す気がないと知ると、襲い掛かってきた!

 個人的には、魔剣を少女の見た目にした物語的な必然を感じられない。ゆえに、全般的に意味が分からない。むしろ、物語の端々から感じる設定を考慮すると、もっと硬派な演出にして、ネチネチと設定を詰め込み、中国古代史を絡めてストーリーを展開した方が、面白くなるような気がする。
 ただ問題は、そういう設定にするとラノベ的には売りにくい可能性があるので、分かりやすいご褒美も必要かも知れないが…。

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