みみとミミ作品の書評/レビュー
魔王な使い魔と魔法少女な (2) 金色のツインテール
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「神代の魔術」である杖のハルと契約して黒の魔法少女となった朝霧瑞希は、木下優華というかつていた少女に対する贖罪の気持ちで、人助けをしていた。しかし、魔王リノ・ジズ・ザートを拾い、彼女を使い魔としてから徐々に彼の気持ちは変化し、そしてついには解放された。
リノがハルと共に魔界でドンパチしに行っている間、一人暮らしに戻った朝霧瑞希の前に、南熊英の妹の南熊美衣が現れる。彼女は姉のため、ひいては挫折した自分のため、母里佐奈や斉藤鼎を巻き込み、とある騒動を画策するのだった。
挫折した中学生の屈折した思いと、その思いに自分を重ね合わせながらも、それを否定して進む道を選ばせる主人公の交流を描きつつ、彼をめぐる少女二人の、緩やかな駆け引きを描いている。
前巻よりも少しは読みやすくなった気もするが、複数視点で奔放に展開する傾向があるため、流れを押さえ難いきらいがある。また、これはこちらサイドの読み方の問題でもあるのだが、適当に前巻までの設定の復習をしつつ進めてもらえるとありがたい。
魔王な使い魔と魔法少女な
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白鳳学院高等学校に通う朝霧瑞希は、自ら段ボールに入って捨て猫状態になった少女リノ・ジズ・ザートと出会う。彼女の持っていた契約書に気軽にサインしたところ、実はそれは魔王を名乗るリノを使い魔にする契約書だった。
住所不定無職の魔王様を拾って住まわせることにした瑞希ではあったが、彼はリノにひとつの約束をさせた。それは、決して彼の部屋には入らないこと。そう、彼には秘密があったのだ。「神代の魔術」である杖のハルによって、彼は魔法少女となっていたのだ。
魔法少女を追いかけるウェブジャーナリスト女子高生の母里佐奈から正体を隠しつつ、美浜区に現れる犯罪者たちを成敗する魔法少女。だがそれは正義とは少し違い、かつて彼が知っていた少女・木下優華に対する贖罪の様な気持がさせるものだった。
瑞希を巻き込んでくる友人の斉藤鼎や、その姉にしてロリ教師の木村音子、瑞希の前に出るとテンパって変な口調になる少女・南熊英などと楽しい学校生活を送りながらも、家では魔王少女のお相手をする少年が抱える感情とは…?
とにかく内容が分かりづらい文章と言わざるを得ない。イラストがなければ、男が魔法少女のコスプレをしているイタい人という可能性も排除しきれないほど、文章での説明が欠落している。そもそも、性別が分かりにくいんだよな、名前から。
そして終盤に入るとバトルシーンも加わるのだが、この背景も分かりにくい部分がある。回想でも何でも良いけど、状況を整理してくれないと、設定を知らない読者には理解できない部分も多いんじゃないかな。そしてそれらを理解しなければ、登場人物たちが抱く考えや気持ちに移入できないだろう。
結局のところ、魔界の話が書きたかったのか、機界の世界の不条理さを書きたかったのか、ラブコメがやりたかったのか、バトルがやりたかったのか、何が何だかすっきりせずに終わってしまった気がする。もし続巻があるならば、構成をしっかりした方が、読みやすいと思うのだけど…。
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