水城水城作品の書評/レビュー

サイコメ (6) 殺人器と遭死相愛

命がけの進路選択
評価:☆☆☆★★
 煉獄祭という文化祭の開催準備に追われる神谷京輔と神谷綾花の前に、紅羽鋭利の母である紅羽芙蓉の手引きで学園に入り込んだ、彼らの両親である神谷直樹と神谷早苗がやってくる。
 二人を退学させるため、理事長の檻伽真紀奈に直談判に行った一行だったが、暗殺組織のメンツがあり、素直に退学は認められない。その結果、退学を阻止する教師・生徒側と、退学を求める一行との命がけの戦い、退学死験が開催されることになってしまう。

 氷河煉子や五十嵐舞那、紗魔夜沙姫等の友人のことを考え、退学を迷う神谷京輔。さらに彼には、氷河煉子からの死を伴う愛の告白を受けるかどうかという悩みも重なっていた。彼らの進む道とは?

 シリーズ最終巻。

サイコメ (5) 殺人機と体育災を

余計な母心
評価:☆☆☆★★
 氷河煉子の制作者である氷河零子と弟の氷河煉児が学園にやってくる。神谷京輔に籠絡された氷河煉子を見た氷河零子は、権力を使って学園に臨時講師として入り込み、体育祭における二人の対決を強いようとする。
 給料アップを目指して体育祭に真剣に挑むロリ教諭の久瑠宮聖のもと、五十嵐舞那はみんなの脚を引っ張らないようにしようと頑張る。風紀委員長の紗魔夜沙姫など、数多くの先輩たちが参加する中、一年生は生き残ることができるのか。

サイコメ (4) 殺人忌と裏盆会を

暗殺者一族の幸せ
評価:☆☆☆★★
 紅羽鋭利の実家から招待を受けた神谷京輔は、成績優秀者に贈られる仮釈放を受けた氷河煉子と神谷綾花と共に、暗殺者一族である紅羽本家を訪問することになった。そこで、紅羽鋭利の妹の紅羽神楽と出会う。
 鋭利のことをバカにして突っかかってくる神楽だったが、その態度のどこかには姉に対する親愛の情がある。小さな弟妹である紅羽繚と紅羽乱も無邪気になついてくる。一方で、兄の紅羽刃更は鋭利に対抗心を抱いており、母の紅羽芙蓉は鷹揚に見えて本心が見えない。

 暗殺者一族の幸せとはなんなのか。

サイコメ (3) 殺人希と期末死験

愛する妹の狂気
評価:☆☆☆☆★
 殺人を犯した少年少女を更生させると見せかけて、実は適性をもった少年少女を青田買いする暗殺者養成学校であるプルガトリウム更生学院に、転入生がやってきた。ロリ教諭の久瑠宮聖がご機嫌で紹介するその人物は、神谷綾花、神谷京輔の妹だ。兄に会うために、散弾銃を乱射して入学してきたのだ。
 久しぶりに会えた兄に甘える神谷綾花だったが、神谷京輔が真性殺人鬼のガスマスク少女の氷河煉子や殺せない暗殺者の紅羽鋭利、人が殺せるドジを繰り出す五十嵐舞那、風紀委員長の先輩の紗魔夜沙姫らから強く慕われていることを知り、その笑顔を狂気に歪ませる。

 愛する妹と大切な友達との間に板挟みになる京輔は、どんな決断をするのか?

サイコメ (2) 殺人姫と林監学校

シリアルキラーの委員長
評価:☆☆☆☆★
 十二人殺しの冤罪で殺人少年少女を集めたプルガトリウム更生学院に入学させられた神谷京輔は、ロリ教諭の久瑠宮聖の暴力的指導を受けつつ、殺せない暗殺者の紅羽鋭利や人が殺せるドジを繰り出す五十嵐舞那と知り合った。やがて、真性殺人鬼のガスマスク少女の氷河煉子に気に入られてしまう。そして、この学院が暗殺者養成学校であり、暗殺者にするために彼が罪を着せられたことを知るのだった。
 家に残してきた愛する妹の神谷綾花と再会するため、平穏無事に学院を抜け出したいと思う京輔は、彼を惚れさせて殺すためにエロく迫ってくる氷河煉子をいなしつつ、彼が他の女子を気にすると舌打ちする紅羽鋭利を宥めつつ、安定した学園生活を送っていた。

 そんな緩んだ空気を引き締めるべく、学院が行うイベントは林監学校だ。教師や風紀委員の先導を受けて連れて行かれた山中で、危険と隣り合わせの競技にたたき込まれる。その課程で、神谷京輔に興味を示す風紀委員長の紗魔夜沙姫と知り合うのだった。

サイコメ (1) 殺人鬼と死春期を

サイコなラブコメ
評価:☆☆☆☆★
 《虐殺王》《百万人殺し》等の異名を持ち、不良たちから恐れられる神谷京輔は、自分がどこにでもいる男子高校生だと思っている。ただ、妹の神谷綾花に、いつかひどい目に遭うのではないかと心配させているのが申し訳ない。
 いつものように、ちょっと買い物に出かけ、不良の集団十二人に絡まれ、いなして自宅に戻ったところ、テレビから流れるニュースは、その不良たちが鈍器で虐殺されたことを伝えていた。

 緊急逮捕された神谷京輔が放り込まれたのは、殺人犯の少年少女たちばかりが集められたという、プルガトリウム更生学院だ。一般人のつもりの神谷京輔は存在感を消そうとするのだが、十二人殺しと言うことで周囲の殺人犯たちから興味を集め、ロリ教諭の久瑠宮聖にも目をつけられてしまう。
 なるべく殺人犯たちから距離を取ろうとする神谷京輔だったが、六人殺しの紅羽鋭利や、三人殺しの五十嵐舞那と関わることになり、隣のクラスのガスマスク少女の氷河煉子と知り合うことになる。

 第14回エンターブレインえんため大賞小説部門優秀賞受賞作「サイコメ -PSYCHO&LOVE COMEDY-」を改稿・改題。殺人という不道徳にして不正義な行為に、悩んだり興奮したりする少女たちを描く。基本的にはハーレム系ラブコメであり、ブラコンな妹も登場するのだが、いずれもサイコ気味だというのが特徴だろう。

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