岬鷺宮作品の書評/レビュー

魔導書作家になろう! >ではダンジョンへ取材に行きますか?(はい/いいえ)

実践的魔道書執筆
評価:☆☆☆☆★
 これまでは長い訓練が必要だった魔法が魔道書によって簡単に使えるようになった。そうして訪れた、魔道書出版ブーム。それを牽引するのは ユピテル出版雷神魔導書大賞という賞だ。
 長い投稿生活の末、めでたく大賞を受賞したアジロ=コントグルーは、初めての担当としてルビ=メルクーリを迎える。彼女は魔王を倒した元勇者だった。

 ルビの提案の下、受賞後第一作の執筆に臨むアジロだったが、魔法の効果を試すという名目で、ダンジョンの強いモンスターとバトルを強いられることになる。
 さらには、イラストを担当するオーク美女のネイム=サマラスや、エルフ校閲のクーチェ=ブルガリはいずれも曲者揃いで…。

放送中です! にしおぎ街角ラジオ

西荻窪ミニFM局開局
評価:☆☆☆★★
 ナレーター志望ながら事務所預かりとならず養成所を退所した宇佐美香奈。プロデューサー志望ながら放送局の採用試験に落ちまくる松任谷佑。ミュージシャン志望ながらデビュー予定の会社が破綻した奈須野純。そんな三人は、行きつけの喫茶店のマスターのアドバイスで、にしおぎFMという、西荻窪ローカルのミニFM局を開局する。
 はじめはグダグダの放送だったものの、やがてなんとか形になり始め、そしてそれはリスナーの心にも影響を与え始める。

失恋探偵の調査ノート ~放課後の探偵と迷える見習い助手~

その後の失恋探偵
評価:☆☆☆★★
 幼馴染に告白して失恋した逢川零は、自らの彼に恋する気持ちが無くなっていることに気付く。きちんと失恋するため、失恋探偵を名乗る一之瀬那由多に依頼した零は、顧問の千代田百瀬の許可を受け、事件解決後も助手として関わっていくのだった。

大正空想魔術夜話 墜落乙女ジヱノサヰド

虐殺の理由
評価:☆☆☆☆☆
 帝都を混乱に陥れる活キ人形に唯一抵抗できるのは、墜落乙女と呼ばれる少女だけだ。しかし彼女の活キ人形に対する戦いはあまりに残虐で、彼女自身も人々から恐れられている。
 事件記者である賜ヒ野乱歩は、墜落乙女の正体に迫るべく、活キ人形を追いかけている。そしてついに、その正体が子爵である蓋シ野家の令嬢、蓋シ野サエカであることを突き止める。

 彼女と密約を結んだ賜ヒ野乱歩は、知人である女性巡査の火ノ星桔梗と医師の火ノ星睡蓮とも連携し、蓋シ野サエカの本質と、活キ人形の正体を探っていく。

失恋探偵ももせ (2)

自分のことが伝わらない
評価:☆☆☆☆★
 失恋探偵を名乗り、高校内の失恋者の失恋をしっかりと終わらせる役割を担う千代田百瀬は、先輩の野々村九十九と両思いであることが明らかになった。しかし、失恋探偵の性質上、校内では両思いであることは隠すことで合意する。
 ネットで交流を深めた恋、過去の日記から卒業生に対して抱いた恋、ハーレムの破局、その顛末など、失恋の相談を持ちかけられる二人だったが、その当人たちが、両思いになった途端、関係がギクシャクしてしまい、失恋のような状態に陥ってしまうのだった。

 過去との恋は、失恋状態になる合理的な理由があって良かった。

失恋探偵ももせ

失恋の理由を探る
評価:☆☆☆☆★
 高校のミス研の一人部員である野々村九十九は、新入生の千代田百瀬を勧誘した。ところが彼女は部室に大量にあるミステリを読むこともなく、持ち込んだ少女漫画を読んでばかりいる。さらには、彼を助手として、失恋探偵を名乗りだした。
 秘密裏に口コミで伝わるそれは、失恋した時に、失恋した理由を明らかにし、次の恋へと進むための区切りとする手助けを行う役割だ。しかし、明らかになる事実は、優しい場合もあれば、受け入れられないほど厳しい場合もある。

 芸術にのめり込む酒井春臣の中に自分のことが一片でも残っているのかを知りたい芹沢合歓。ギャルの菜奈緒悠に嫌われる理由となった作品を知りたいオタクの時田幾郎。恋人の許嫁がどんな女性か知りたい矜持ヶ谷摩緒。そして最後は、千代田百瀬の友人である四十八願志穂理が依頼にやってくる。
 失恋探偵というが、ほとんどのケースは失恋には至らないものばかり。北海道出身なのか、冒頭には「生徒会の一存」へのオマージュもある。

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