三上康明作品の書評/レビュー

クライシス・ギア 緋剣のエージェント・九重 慎

過去に憑りつかれた少年
評価:☆☆★★★
 クライシス・シェルという、意志によって発生する身を守る殻の発明は、人々を事故から救うようになった。しかし、ごく稀に生まれる能力者はこの発明をクライシス・ウェポンという武器に転用し、シェルを打ち破って人を傷つけることができる。そしてその能力者の一部は、それを利用して犯罪行為に走った。この事態を阻止し、政府の安定を守るために組織されたのが、国家公安委員会特別防衛任務機関、通称特防である。
 特防第七種エージェントである高校生の九重慎は、ある日、日当の良い任務を受ける。その任務とは、クライシス・ギアの権利者である六大財閥の一つ、緋扇の傍流の少女、緋扇紗々良の護衛だった。自身のクライシス・ギアである焔の太刀《二式・兼房》を携えて向かった先にいたその少女は、かつて殺されたはずの妹、響にそっくりだった。

 八芒の「他化自在」、雨牙の「兜率」、比良昏の「刀利」、神落の「四大王衆」、哭京の「夜摩」、緋扇の「化楽」という、六大財閥のみが所有する強力な第一世代のギアの恩恵で彼らを傷つけられる者はおらず、簡単な護衛のはずだったこの任務は、黒の使徒セブンという、謎のクライシス・ギアを操る襲撃者の登場で、高難易度のミッションに変化していく。果たして彼は、妹にそっくりな少女を護ことができるのか。

 月見野霞耶という幼馴染、秋山柚という同じアパートに住む女子大生、敵対する第一種エージェント蒼狼、そして全ての秘密を知りながら病院に籠って外界と接触しない当主の緋扇善司と、怪しい人物に取り巻かれながら、ヒーローはヒロインのために死闘を繰り広げる。

ホーム
inserted by FC2 system