村上凛作品の書評/レビュー

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (7)

オタク趣味が嫌いな理由
評価:☆☆☆★★
 女装して白雪姫を演じることになった柏田直樹だったが、相手役の男子が怪我をして出演できなくなったため、代役として思い人の長谷川翠が王子を演じることになった。恋愛協力協定を結ぶ恋ヶ崎桃も、思い人である鈴木とバンドを組むことになり、順調に仲を深めている。
 上手くいっているはずなのに、何か釈然としない。それが何なのか、恋ヶ崎桃と話す時間もなく、はっきりしない柏田直樹だったが、文化祭を桜井小豆やムラサキこと狭川紫と共に回り、楽しい一日を過ごすことになる。だが、長谷川翠がオタク趣味嫌いになった切っ掛けが明らかになることで、彼らの関係に転機が訪れるのだった。

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (6)

避けられる理由
評価:☆☆☆★★
 恋する長谷川翠がオタクを壮絶に嫌っていることを知り、柏田直樹は悩んでいた。オタクを捨てるべきかどうかだ。しかし、恋ヶ崎桃に一蹴され、そんなことは無理だと自覚する。
 気になるのは、仲良くなったはずの桜井小豆に、最近、避けられている気がすることだ。必死にコミュニケーションしようと話しかけるのだが、どうも距離を置かれている気がする。もやもやした気持ちで、柏田直樹の頭は桜井小豆でいっぱいになってしまうのだった。

 文化祭の出し物となった白雪姫の演劇が、新たな関係のきっかけとなっていく。

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (5)

ヒロインだらけの短編集
評価:☆☆☆☆★
 今回はヒロインごとにエピソードが綴られる短編集だ。新キャラも2名登場する。  突如電話で恋ヶ崎桃からラクーアに呼び出された柏田直樹は、えっちらおっちら向かった先で、彼女の妹の恋ヶ崎柚子に出会う。初対面の柚子は、姉のことを奪う柏田直樹のことを嫌っていた。
 荷物持ちで呼ばれた柏田直樹だったが、結局、荷物はロッカーに預けて3人で遊ぶことになる。加えて、何回も何回も化粧室に行こうという姉に柚子はちょっと不満。だが、恋ヶ崎桃がナンパされそうになったことで、柚子の柏田直樹に対する感情は変化して行くことになる。

 桜井小豆からのお誘いでコスプレ撮影会に同行することになった柏田直樹だったが、一緒に撮影会に参加するはずだったコスプレイヤーが体調不良でお休みし、二人きりの撮影会になってしまった。さらにその撮影場所は、ラブホテルだ。
 ドキドキの直樹だったが、中に入ればそこは別天地。最高の撮影場所に気分はプロカメラマンで撮影する直樹は、小豆からの求めで自分もコスプレをすることになる。

 柏田あかりはいらだっていた。両親の居ない休日の自宅に、兄の柏田直樹が友人を呼ぶという。そしてやって来た友人は女子二人で、しかもどちらも美人だった。
 絶対に兄は騙されて壺でも売りつけられるのだと思い込んだあかりは、恋ヶ崎桃と桜井小豆という女子二人の本性を暴くべく、あらゆる手段を実行に移す。

 夜の街で偶然出会ったムラサキは、騙して連れて来られた合コンから脱出するところだった。慌てている事情を聞くと、翌朝までに原稿を仕上げなければ落としてしまうらしい。
 事情を聞いた以上帰るわけにも行かず、しかし一人暮らしの女性の部屋に上がり込むことになるので遠慮をしながら助力を申し出たところ、なんと快諾。綺麗なお姉さんと二人きりで柏田直樹が手伝うことになった原稿は、エロ同人誌だった。

 鈴木爽太からのお願いで、秋葉原での買い物につき合うことになった柏田直樹は、彼の姉の凄まじいオタクぶりと、彼らの知らない世界があることを思い知らされる。それは出来れば一生知りたくないような世界だった。

 長谷川翠がオタク嫌いらしいと言うことを知った後、柏田直樹は、彼女と共に他校の文化祭に出かけることになった。そこは長谷川翠の中学時代の友人である園田莉緒が進学した学校だ。
 自分たちのクラスの出し物の参考にすべく様々な催し物を見て回る二人だったが、そこで柏田直樹は長谷川翠の意外な一面を知ることになる。

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (4)

充実し過ぎて行き過ぎた?
評価:☆☆☆★★
 柏田直樹はアニメやラノベが好きな高校生だ。これまで女子と話した経験がほとんどないので、どうやって接したら良いか分からない。ひょんなことから、イケメンなのにオタクな鈴木爽太と友だちになり、彼に好意を寄せる、ギャル風だけど実は女子校出身で男子が苦手な恋ヶ崎桃と協定を結び、恋ヶ崎桃が鈴木爽太と仲良くなるのを助ける代わりに、柏田直樹が清楚な委員長の長谷川翠と仲良くなるのをサポートしあうことになった。
 その過程で、腐女子の桜井小豆とも仲良くなり、同人作家の大学生のムラサキさんとも知り合って、女の子と遊びに出かけたり、最近は充実した高校生活を送っている。

 一方、花火大会の夜に、憧れの鈴木が女の子とツーショットでいるのを見かけた恋ヶ崎は意気消沈。直樹が勘違いだと否定しても、それを信じようとはしない。
 そんな落ち込んでいる恋ヶ崎を元気づけようと、ムラサキさんの提案で同人活動をしてみることになった。直樹は恋ヶ崎の書いた小説を読んで感想を言うことになったのだが、ついつい言い過ぎて彼女を傷つけてしまい、売り言葉に買い言葉で、協力関係を解消することになってしまう。

 女子との関係が充実しすぎて、段々と身の程を超えて多方面に手を伸ばし始めた感がある直樹。これまでの展開から想像できるように、最後にはそのしっぺ返しがやってくる。
 遠回りして遠回りして、段々と着地点に近づいてきている気がする。でもそういうのは当事者ではなく、客観的な第三者だから気づけることなのだろうね。

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (3)

夏コミデビュー!
評価:☆☆☆★★
 柏田直樹は妹のあかりにもバカにされるオタク丸出しの高校生だ。学校ではオタクぶりを抑えて生活していたのだが、イケメンの鈴木爽太が実はオタクだと知り、仲良くなった。そうこうするうち、ギャル風の恋ヶ崎桃が鈴木に気に入られるためにオタクになる協力をすることになり、その過程で桃の真面目さも知ることになった。
 直樹が桃から返してもらう代償は、彼が憧れるクラスメイトの長谷川翠との仲を取り持ってもらうこと。今回、二人でお台場に遊びに行くことになるのだが、桃にアドバイスを願うメールを送っても返信が来なくなってしまった。

 桃を通じて知り合った腐女子の桜井小豆との関係も友好的になり、学校での世界も広がって来た直樹。でも、良いことばかりが続くわけでもなく…。

 今回は、鈴木が欲しがっている同人誌を手に入れるために、直樹と桃、小豆の3人で夏コミに行ったり、勇気を出して長谷川を誘ったり、直樹が頑張るエピソードがメインだ。そしていつの間にやら、彼にフラグが立ちまくっていたりいなかったり。
 一方で、頑張ってようやく鈴木に認識してもらえた桃には最後にピンチが訪れる。その内容は次巻となるだろう。

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (2)

楽しくコスプレ
評価:☆☆☆☆★
 柏田直樹は高校でリア充になろうとオタクな面を隠して生活しているが、妹のあかりにもバカにされるほど、ファッションのセンスもなければ気もきかない。このまま灰色の高校生活を送るのかと思っていたところ、イケメンリア充ながら実はガチオタの鈴木爽太と友だちになり、彼に憧れるギャル系の恋ヶ崎桃と取引をしたことで、それもちょっとだけ変わって来た。
 その取引内容とは、桃が鈴木の気に入るオタクになる手助けをする代わりに、直樹が気になっているクラスメイトの長谷川翠と仲良くなるための手助けをしてもらうこと。だが、直樹が上手く鈴木とつないであげても、男が苦手な桃は顔も見れないし、逆に桃が翠と話が出来るようにセッティングしても直樹はそれを生かせない。

 そんな状況のまま、協定は続いているのだけれど、今度は桃が、直樹の紹介する作品は男目線過ぎるので、女の子のオタク友だちが欲しいと言いだした。そんなとき直樹は、それから降って来たコスプレ少女・桜井小豆と出会う。桃と意気投合した小豆は、直樹を避けつつ、桃をコスプレの世界に引き込んでいくのだが…。

 鈴木が直樹にコスプレしようと言いだしたことで、桃も鈴木が気に入るコスプレをする流れになる。しかしコスをするにはお金もかかる。じゃあ、バイトで稼ごうかということで、桃はオタクの気持ちが分かるコスプレ喫茶で、直樹はリア充ッぽいカラオケ屋でバイトすることになるのだが、共に適性が薄いのであまり楽しくお仕事は出来ない。
 大体この流れを見れば分かるとは思うが、お互いに思い人に気に入られようとして、そのアドバイスを互いに求める。自然と彼らは一緒にいる時間が長くなり、互いのことを知るようになり、目的を果たすために行動するほど、なんか違うなあ、と思うようになる訳だ。まあまだはっきりとそこまではいっていないのだが。

 今回は桃サイドのエピソードメインだったので、次は直樹サイドのエピソードがメインになりそうだ。

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!

それもひとつのフラグ
評価:☆☆☆☆☆
 中学時代に初恋の女の子から影でキモいと言われていたのを知り、柏田直樹はオタク趣味を表に出さないことを決めた。そんな彼の入学初日。通学路で目にした長谷川翠に一目惚れをしてしまい、運よく同じクラスになれたものの積極的にアプローチはできず、こっそり彼女の仕事のお手伝いをするだけで自己満足に浸っていた。
 そんなある日、同じクラスのギャルで5股のビッチと評判の恋ヶ崎桃に、直樹のオタク趣味を知られてしまう。てっきり昔と同じ様な罵倒の言葉が飛んでくると覚悟したが、彼女からのセリフは、自分をオタクにしてくれというもの。桃が一目ぼれした鈴木くんが、イケメンなのにオタクらしい。

 鈴木くんに近づき、オタトークですっかり友だちになった直樹は、オタクであることをばらさないことを条件に、恋ヶ崎と鈴木くんが仲良くなるのをサポートすることになる。そのうち、直樹と長谷川翠が仲良くなれるよう、恋ヶ崎も手助けをしてくれるようになるのだが、段々と自分がもてない理由が直樹にも分かるようになって来て…。


 ビッチどころか男嫌いでまともに会話もできない恋ヶ崎の厳しい指導を受け、自分を隠すだけでなく、周囲に目を向けてその違いを実感させられていく直樹。この巻では、そんな二人が互いの目的のためにパートナーとなっていく様子が描かれる。そういう意味では、恋ヶ崎の見た目・キャラの一部も含めて、「とらドラ!」っぽい印象も受ける。
 ダブルヒロインのもう一方である長谷川翠や、鈴木くんの事情には全く踏み込めないで終わってしまっているので、続きがないと何やら消化不良の感がなくもない。

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