森月朝文作品の書評/レビュー

狩りりんぐ! 〜萩乃森高校狩猟専門課程〜

軽い気持ちでハンティング
評価:☆☆☆★★
 年間被害総額200億円ともいわれる害獣被害に対抗すべく、日本初の狩猟専門課程として設置された萩乃森高校鳥獣義科に、鈴鹿翔馬はリアルでモンハンができるくらいの気持ちで入学した。しかし初日の通学中に入った森で、いきなり熊に襲われ、人生のゲームオーバー寸前に追い込まれてしまう。
 それを助けたのは、ロリ少女にしか見えない熊の神だった。命からがら登校したものの、担任の望月冬美どころか、クラスメイトの伊万里由美、雪島サホ、北大路樹、安井豊の誰にも、森にいた少女に助けられたことを信じてもらえない。

 そうして始まった授業は、都会のもやしっ子だった鈴鹿翔馬には厳しいものだった。そして初めて仕留めた鹿にとどめを刺そうとして、自分が何をしているのかを初めて実感する。
 悩みながらも、クラスメイトのサポートを受けて、少しずつ弓の腕を上達させていく翔馬だったが、望月が思いつきで見学に連れて行った猪猟で事件が発生する。

 猪猟の結果起きる出来事の全ての責任は、思いつきで企画し、十分なフォロー体制を準備せずに、実力不足の生徒たちを連れて行った望月冬美教諭にあると思われる。しかしその責任を全て生徒に押しつけて切り抜けようとする姿は、大人として恥を知るべきレベルのものだ。少なくとも、教鞭をとる資格は無い。
 そういう構成に対する不満はあるが、「のうりん!」的に普段スポットが当たらない部分にスポットを当てようとするのは、面白い取り組みだとは思う。

 第6回小学館ライトノベル大賞ガガガ大賞受賞作品。

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