百瀬ヨルカ作品の書評/レビュー

ヘルプリンセスと王統(ソロモン)の召喚師 (2)

過去との再会
評価:☆☆☆★★
 ソロモン七十二柱の五十六位である女公爵グレモリーの48代目にあたる少女モールチェ・グレイを召喚してしまったリーヴル古典言語群(リンガ・クラシカ・リーヴル)研究の天才少年であるソナ・スタリーは、彼女と永世召喚の契約を結び、モールチェの臣下でありソロモン七十二柱の三十五位である大侯爵マルコシアスの45代目にあたるブランパジット・ロドルフス・マーナガルム・グリエルムス・クレメルヒェン・エーベライク・フェラン・バルバストル・ジンデル・ブレスコット・バールミュンデと共に、たびたび地上へ彼女たちを召喚することになった。
 地獄のお茶会に呼ばれ、ソロモンの七十二柱を統べる「アッピンの赤い本」であるところの妹ニナと共に赴いたソナ・スタリーは、大元帥バアルから仕事の依頼を受ける。それは最近地上で起きている連続殺傷事件の犯人を捕らえることだった。

 モールチェやマルコシアス、ニナと共に現場へと向かったソナは、そこでグラマースクール時代の知り合いであるアンブロジウス伯爵アンネリーゼ・フランソワーズ・カーライル・ド・アンブロジウスと再開する。事件を調査しているというアンネリーゼに協力することになった一行は、彼女の邸宅へと滞在することになるのだった。そしてそこで、ソナだけでなく、マルコシアスの過去に直面することになる。

ヘルプリンセスと王統(ソロモン)の召喚師

ソロモンの系譜
評価:☆☆☆★★
 リーヴル古典言語群(リンガ・クラシカ・リーヴル)研究の天才少年であるソナ・スタリーは、魔導書から独学で学んだ魔術で魔神召喚を行った。アザゼルを召喚したつもりのソナの前に現れたのは、モールチェ・グレイという17歳の少女。ソロモン七十二柱の五十六位である女公爵グレモリーの48代目だという。
 モールチェの臣下であるブランパジット・ロドルフス・マーナガルム・グリエルムス・クレメルヒェン・エーベライク・フェラン・バルバストル・ジンデル・ブレスコット・バールミュンデ、ソロモン七十二柱の三十五位である大侯爵マルコシアスの45代目に嫌味を言われながらも、ようやくソナが明かした召喚の理由は、魔術師ハンバート・ブーランに誘拐された妹ニナを取り戻すことだった。

 王国軍の部隊を灰燼に帰したというハンバートと渡り合うため、魔王宮殿で魔術の修行をし、今代のルシファーとリリスの意外な関係に驚きながら、モールチェの秘策によってハンバートの許へと潜入した3人は、ニナを取り戻すための戦いを繰り広げることになる。そしてそれは、ソロモンの七十二柱を統べる「アッピンの赤い本」に関わる事件となるのだった。

 妹を助けるために魔神を召喚するという危険を犯したにも拘らず、主人公の肝の据わってないっぷリがすごい。一応、天才少年ということになっているのだが、社会に対する僻みがひどく、そのくせ、他力本願な部分が目に付く。これがヒーロー的なポジションまで引き上げられるのだが、何が変わった結果そうなったのかはよく分からない。キャラクターの整合性をもう少し気にして欲しい気がする。
 それでも、第7回HJ大賞銀賞受賞作品だ。

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