柳田狐狗狸作品の書評/レビュー

エーコと【トオル】と真夜中の落雷少女。

時間が育む狂気
評価:☆☆☆☆★
 悪い意味での有名人である【エーコ】こと化野結果は、いつものように化学部でボイスチェンジャー声の人体模型トオルと話していたところに訪れた、生徒会長の辰巳鈴花から、エーコが窓ガラスを割った犯人になっていることを知らされる。
 自らの疑いを晴らすため、夜の学校へと侵入したエーコは、校舎の屋上で、落雷により黒焦げとなった少女を発見するのだった。

 再び刑事の軽部重法から疑われることになり、化学部顧問の雪村純白からの心配を無視して、自らの潔白を証明することにしたエーコは、またもや泥沼の中に沈んでいくことになる。

 読む前から気が重かったけれど、今日なら読めるかもと思って頑張って読んでみた。予想通り重たい話だった。面白いとは思うんだけど、憂鬱な気分になれる。

エーコと【トオル】と部活の時間。

わき上がる復讐心
評価:☆☆☆☆★
 マスコミ報道されたある事件の結果、【エーコ】とあだ名され、孤立するようになった化野結果は、皆部活の原則に従い、部員がいない化学部に所属することになった。顧問で新任教諭の美人、雪村純白は、エーコと交流を持とうとするのだが、エーコはそれを拒絶する。
 ある意味で学校から特別扱いされるエーコは、三年生の浮嶋棗や金沢朱実に絡まれたり、かつての事件の関係者である松本友美から逆恨みをされたりする。そんな彼女が放課後を過ごす部室には、一体の古びた人体模型トオルがあった。

 明らかに中の人がいると分かるボイスチェンジャーの声で話すトオルを疎ましく思いながらも、トオルとは会話を重ねるようになる。さらには、生徒会副会長の素草有紀とも話すようになり、それが切っ掛けで生徒会長の水野透子とも知り合うことになるのだった。
 ところが、街では炎の魔術師という放火犯が現れ始め、校内では人体自然発火現象が起こり出す。そしてその被害者が浮嶋棗や金沢朱実であり、犯行時に彼女たちの傍に居たことから、エーコも警察に疑われることになる。

 かつての事件で知り合った刑事の軽部重法から情報をもらい、自分の無実を明らかにするために捜査進めるうち、事件には公塚円という少女が関係していることが明らかになっていく。

 第19回電撃小説大賞金賞受賞作品。

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