八街歩作品の書評/レビュー

バーガント反英雄譚 (2) 泣けない皇帝と剣聖少女

皇国の政変
評価:☆☆☆☆★
 家族の敵以外には実力を出せない制約があるために弱いとみなされているシュナブラン・ノーブ・ハーベストは、妹たちの尽力により、ジュヴレーヌ王国騎士に内定してしまった。そして、ジュヴレーヌ王国王女リュリシア・ルショット・シャンベルの覚えがめでたいために、シャンミュニ皇国で開催される統一騎士剣定において、国家代表として出場することになってしまった。
 担任のミュスカ・ニャン・フロンティらが不安で胃を痛くする中、シュンは妹の一人である剣聖ティン・ダ・ロリスと一緒にいた、シャンミュニ皇国皇帝エルミタージュ・ル・ヴォルト・ギガティエと仲良くなる一方、元剣聖ヴァント・デュ・ラフィエルムを不意打ちで倒すという騎士にあるまじき失態を犯してしまう。

 何とか事なきを得たものの、晩餐会で姉のモレサンド合衆国副大統領アリア・ニコ・ブルトゥレやサントルージュ・ミリオン社代表モニカ・ディス・アルトゥスと再会したシュンは、シャンミュニ皇国を舞台とした騒乱の種が蒔かれようとしていることを知ってしまう。
 <天聖騎士>サンクト・タチアナ・ローレンペルデ・ダン・サンブリと<魔王>の間に生まれた姉妹たちが、バーガント大陸全土に散らばり、各国で力を得て、片や両親を殺した人間への復讐、片や人間と魔族の共存を目指して奮闘するファンタジーだ。

騎士の国の最弱英雄 バーガント反英雄譚 (1)

家族喧嘩で世界が滅ぶ
評価:☆☆☆★★
 ジュヴレーヌ王国騎士を目指すシュナブラン・ノーブ・ハーベストは、卒業試験目前に教師のミュスカ・ニャン・フロンティに呼び出され、成績不良による退学寸前であることを宣告される。さらには、最後のチャンスである追試の機会を騎士団長のペルデ・ダン・サンブリに対する粗相で、即刻退学に追い込まれてしまう。
 しかし、シャンミュニ皇国の剣聖ティン・ダ・ロリスや、王女リュリシア・ルショット・シャンベル、上級騎士ソフィー・ア・ブラン・シルバーの取りなしと工作で、卒業試験免除で騎士に叙任されることが決まってしまった。

 なぜ彼に対してこれほど好意的に接してくれる有能な女性たちが居るのか。それは、ソフィーやティンは、アリア・ニコ・ブルトゥレやクロロ・ロロゼ・ダンジュと共に、シュナブランの姉妹だったのだ。
 だがそれは、ある理由によって絶対に明かされてはいけない秘密。リュリシアの従者アンジュ・ペティに虐げられながらも、弱いながらも家族を守るために奮闘する。

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