陰陽ノ京月風譚 (2) 雪逢の狼(渡瀬草一郎)の書評/レビュー


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陰陽ノ京月風譚 (2) 雪逢の狼

妖と人に結ばれる様々な関係
評価:☆☆☆☆☆
 賀茂光栄を主人公とする、陰陽ノ京のスピンオフ第2弾。今回は慶滋保胤と伯家時継も彼と絡んで登場するので、前作よりは本編に近い感じがする。また、個人的に裏の主役と思っている、安倍吉平と佐伯貴年の関係性も織り込まれている。

 安倍晴明が出向いた摂津の地で封印を解かれた狼の妖、白山は、京に赴き、陰陽寮の道士たちを襲い始める。そして、道士たちが警戒する京で怪しげな動きをする外法師、水魚。二十数年前に現在の安倍晴明に匹敵する力を持ち、藤原純友の乱の影にあって当時の陰陽寮と対立した彼は、いまはまた、左大臣を襲った外法師、守屋八尋とも関わりを持っていた。

 現在の白山を突き動かす、二十年以上前にあった、一人の外法師との関係。その想いを知った光栄の取る解決法は、彼の風体や行動とは逆に、とてもやさしい。
 自らの楽しみのために他人の想いすらももてあそぶ強力な敵と、それに対峙する陰陽寮の若き道士たちという構図が明らかになった。今後は、本編の人間関係を織り込みながら、貴族社会における陰陽寮という枠組みの中で、彼らがどの様に動いていくのかが楽しみだ。

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