麻生羽呂作品の書評/レビュー

今際の国のアリス (8)

ねくすとすてぇじ
評価:☆☆☆☆★
 今際の国に入り込んでしまったヤクザの少年は、クローバー4のげぇむに巻き込まれる。そのげぇむは「らんなむぇい」だ。果たして彼らは生き残ることが出来るのか?特別編を収録。

 びーちの「まじょがり」をクリアした有栖良平や宇佐木柚葉は、今際の国が「いんたあばる」に入ったことを知る。そしてこれまでのげぇむが、「ぷれいやぁ」と「でぃいらぁ」の対決であったことを知る。

 そして開催される「ねくすとすてぇじ」のげぇむとは?

今際の国のアリス (7)

まじょの正体が明かす今際の国の秘密
評価:☆☆☆☆★
 びーちを会場とするげーむ「まじょがり」で監禁され殺されそうになった有栖良平だったが、宇佐木柚葉らに助けられ、びーちを恐怖で支配する粟国杜園に対し、まじょの正体と彼が隠している秘密を暴くまで追い詰めることに成功した。
 しかし、とある理由で自暴自棄になっているアグニは、有栖良平の説得にまるで耳を貸さず、引き続き殺戮の嵐を巻き起こし続けようとする。彼をかき立てるものとは何なのか?

 今際の国にある構造が明らかになり始める。

今際の国のアリス (6)

招待の理由
評価:☆☆☆☆★
 宇佐木柚葉に救出された有栖良平は、びーちを会場として始まったげーむ「まじょ狩り」のまじょを見つけるため、主催者の思考を想像する。だが、彼が悩んでいる間にも、びーちでは疑心暗鬼に陥った人々が殺し合いを続けるのだった。
 今際の国に招待されたびーちの人々の過去のエピソードを回想しつつ進めるため、かなりテンポが遅く感じられる。

 特別編として前巻から収録されている、親友に憧れの女の子を横からかっさらわれた高校生、堂道隼人のアリスゲーム攻略の様子を描くエピソードも完結を迎えている。

今際の国のアリス (5)

迷いからの脱出
評価:☆☆☆☆★
 苣屋駿太郎にはめられ裏切られた有栖良平は、粟国杜園らにより拘束監禁され、いつ今際の国の「びざ」が切れる分からない恐怖と戦わされていた。一方、宇佐木柚葉はアグニ派の韮木傑たちに襲われていた。
 その間に「ビーチ」が保有する全てのカードを手に入れた苣屋駿太郎は、隙を突いて脱出を図ろうとするのだが、その寸前で「げぇむ」の開催が宣言されてしまう。

 「ビーチ」内を舞台として開催される「げぇむ」は、残るカードの「ハート10」の「げぇむ」だ。その内容は、「ビーチ」内にいる殺人犯を捜し出し火にくべるという魔女狩り。その名の通り、「ビーチ」は魔女狩りの雰囲気に包まれていく。

今際の国のアリス (4)

陰中の陽、陽中の陰
評価:☆☆☆☆★
 生き残れる者が一人だけの「げぇむ」で仲間を全て失った有栖良平は、死んだ苅部の遺言である「ビーチ」を探すため、女子高生クライマーの宇佐木柚葉と行動を共にしていた。
 「びざ」の期限が切れる十日足らずの時間を利用して、「げぇむ」の参加者から情報を得ようと会場を歩き回ったアリスは、その参加者の中に毛色の違うメンバーが混じっていることに気づく。

 ウサギと共に彼らを尾行し、その本拠地にたどり着いたアリスが発見した「ビーチ」とは、今際の国の現実を覆すものだった。

 「げぇむ」を作ったものの意図よりも、そこに放り込まれた人間の刹那性に着目した構成にチェンジしつつあり、若干、引き延ばし戦術的な思惑を感じずにはいられない。密度濃く短くまとめた方が、良い作品になっただろうに…。

今際の国のアリス (3)

広がっていく溝
評価:☆☆☆☆★
 アリスとカルベは、厳しいげぇむを生き残った。その甲斐あって滞在期間の余裕を得たものの、それは残ったチョータとシブキとの間に溝を作ることとなった。そして生き残ったカルベも軽くはない傷を負い、しかし溝を広げないためにそれを隠し通そうとする。
 だがそれは、破綻の先延ばしに過ぎなかった。次なるげぇむはおにごっこ。チョータとシブキはげぇむに参加せざるを得ず、それゆえに怪我をしたカルベも、アリスも参加しなければならない。仲間同士で参加したげぇむに課せられた悲劇のルールとは?

 荷物を背負っていた方が、物語として面白くなると思うけどね。だからこの展開は、あまり好みではない。

今際の国のアリス (2)

生き残るために必要な要素
評価:☆☆☆☆☆
 廃墟となった未来の日本で、「げぇむ」という命懸けのイベントに巻き込まれることになった有栖良平、張太、苅部の3人の少年は、紫吹小織という女性と仲間になり、彼女から色々と情報を貰うことで、最初の「げぇむ」を生き残った。これであと3日は、今際の国に滞在することが出来る。
 しかし苅部は、今この気の緩んだ瞬間を引き締めることで、今後の生き残りの確率を高めることを提案する。怪我をしている張太と、彼に付き添うためにあえて残る小織を置いて、アリスと苅部は新たな「げぇむ」に挑む。それはスペードの5という「げぇむ」だった。

 クライマーの女子高生・宇佐木柚葉と、なにやら今際の国について知っているような苣屋駿太郎が登場する。
 「げぇむ」の仕組みも徐々に明らかになってきた。肉体型のスペード、知能型のダイヤ、バランス型のクラブ、そして最悪のハート。今回はサブマシンガンを持った鬼を相手に、マンションの中のただ一室のゴールを探して鬼ごっこをする。

 既に何度も「げぇむ」に参加して、今際の国の意図が読めてきている苣屋駿太郎は、他の参加者を見下ろす位置で終盤までは観戦に徹し、体力に勝る宇佐木柚葉は、その技能を生かして立体的な機動をこなす。
 特に後者の柚葉がなかなかの味を出していて、異常な環境にありながら日常の感覚を体現できる精神力、それでいて冷静に自分が生き残ることを優先する線引きの明確さ、後は単純に魅力的なルックスと、ヒーローっぽいヒロインに仕上がっている。小織の女性を前面に出した演出とは対照的だ。

 1巻よりもかなり面白くなっている気がする。

今際の国のアリス (1)

最近流行の閉鎖系サバイバルもの
評価:☆☆☆☆★
 大学受験を控える有栖良平は、学校ではおちこぼれ、家では優秀な弟と比べられ、いまの社会に居場所がないと思っている。友人の苅部や張太とつるみながら、何となく毎日を過ごしていた。いっそ、この世界が滅びれば良いと思いながら。
 そんなある日、突然の爆発に気を失い、目を覚ました良平たちの目の前に広がっていた景色は、荒廃した街の姿だった。良平は自分の理想の街にはしゃぎだす。その後、どれほどの後悔を抱くかも知らず。

 人気のない街を歩きながらたどり着いた神社にあったのは、無人の夜店と「げぇむ」という文字、そしてひとりの女性、紫吹小織だった。
 そこから始まる、自分の命を的にしたイベントの数々を彼らは体験し、この世界、今際の国のルールを知らされる。

 最近流行の閉鎖系サバイバルものという感じ。

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呪法解禁!! ハイド&クローサー (7)

ハイドは代々受け継がれていくのかな
評価:☆☆☆☆★
 窓辺の男の犯行動機がかなり哀しかったです。たとえ善意に基づいていたとしても、それを善意と解釈できるかは受け取る側次第だからね。だからといって何もしなかったら、物事は悪くなる一方だから、そういう訳にもいかないし。
 相互理解というやつが進むまでには、いっぱい、いっぱい、犠牲者が出てしまうものなのかな。

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