青木幸子作品の書評/レビュー

ぴりふわつーん (2) −ローズマリーと八角の香り

これもまた人生の切り口
評価:☆☆☆☆★


ぴりふわつーん (1) −柚子・黒胡椒・生姜のごちそう

これもまた人生の切り口
評価:☆☆☆☆★
 広大な敷地を持つ橘邸にある離れで営業する洋食屋「芳賀亭」を舞台に、猫と屋敷の管理人をする自称「スパイスの魔術師」柚子原香が出会う人々との物語。副題の通り、今回登場する香辛料は、柚子、黒胡椒、生姜である。
 主人公の柚子原香は帰国子女の新社会人。本人曰く香辛料を扱う会社に就職しているらしいのだが、物語で描かれるのは、園丁姿であったり、猫と戯れている姿であったり、ちっとも出社しているようには見えない。そんな暇人だから、大邸宅である橘邸や洋食屋「芳賀亭」に来るお客様の事情に首を突っ込んでいく。

 料理人でもない彼女の料理の引き出しの源泉は、世界中で触れた香りの経験。それがどこまで広く深く広げられるかで、この作品の広がりも決まりそう。
 またまた取材が大変そうなテーマを選んだようだが、それこそが楽しみでもある。

茶柱倶楽部 (8)

現実的な結末
評価:☆☆☆☆★
 旬茶祭に向けて活動を介した鈴に、スポンサーからあるお題が出される。それは、記憶喪失となった幼馴染が毎年持参していた玉露を探すというものだった。
 シリーズ最終巻。

ZOOKEEPER (8)

評価:☆☆☆☆★


ZOOKEEPER (7)

評価:☆☆☆☆★


ZOOKEEPER (6)

評価:☆☆☆☆★


ZOOKEEPER (5)

評価:☆☆☆☆★


ZOOKEEPER (4)

評価:☆☆☆☆★


ZOOKEEPER (3)

評価:☆☆☆☆★


ZOOKEEPER (2)

評価:☆☆☆☆★


ZOOKEEPER (1)

能力の活かし方
評価:☆☆☆☆★
 独楽動物園の新米飼育係である楠野香也は、温度が見えるという特殊能力を持っていた。そのことを名物園長の熊田大地に見抜かれ、動物絡みの様々な問題に放り込まれていくことになる。

茶柱倶楽部 (7)

出会いを契機に
評価:☆☆☆☆★
 祖父母の遍路を肩代わりする大室里乃との出会いが、茶まつりに新たな展開を導く。

茶柱倶楽部 (6)

評価:☆☆☆☆★


茶柱倶楽部 (5)

九州漫遊
評価:☆☆☆☆★
 全国のお茶を集めた一大イベントを開くという野望を持つ伊井田鈴は、今日も移動式茶屋トレーラーを相棒として全国を巡っていた。
 北海道を後にしてやってきたのは九州だ。ここで伊井田鈴は、温泉で、庭園で、くんちの舞台で、熱気球大会の会場で、様々な人に出会い、イベント成功のためのヒントを得ていく。

茶柱倶楽部 (4)

人の縁をたどる旅
評価:☆☆☆☆☆
 茶史研究者の桜井夕貴からの紹介を皮切りに、お茶以外の専門家とお知り合いになるために茶柱倶楽部を出動させることにしたお茶屋のむすめである伊井田鈴は、和歌山県相賀、桑の木の滝へとやって来ていた。観天望気の達人の話を収拾する高崎吾郎に会うためだ。
 そして今度は、新潟県小千谷市片貝町へ花火師の岡誠一郎に、続いては下北沢のバーテンダー三笠忍、陶芸家、鍼灸師、細工職人と、人の縁を頼る旅は続いていく。

 日本で初めて茶を輸出した女傑、大浦慶についてのエピソードも語られている。次巻からは、茶に造詣の深くない人が茶柱倶楽部のお客となるらしい。

モーニング食 No.2

料理を作る前に答えが分かる
評価:☆☆☆☆☆
 掲載作の中から一本を紹介。

 青木幸子「そういうものでできている」

 蔵前にあるビストロ「リビエラ」の子供の頃からの常連であり、料理人志望の飯山広夢は、師匠の紹介する研修先を何度もケンカして飛び出していた。最後の研修先として紹介されたのが、調理機器メーカーFoods/Whoだ。
 フーズ/フーには調理機器を実演する料理を開発するラボがあり、そこに所属する5人のシェフはペンタクルと呼ばれているスペシャリストだ。その一人であるリン・ホーから出題される面接試験は、同じくペンタクルの一人であるシノの料理の仕掛けを見切ることだった。

 嗅覚が特別に優れているのに自覚のない女性が、同じように特出する才能を持つ人たちの中でもまれていくという出だしの物語だ。

茶柱倶楽部 (3)

歴史の扉を開く
評価:☆☆☆☆☆
 佐山高子の生き別れの弟が台湾にいるかもしれない。桜井夕貴から聞かされた伊井田鈴は、何かをためらう高子を説得して、一緒に台湾へと向かう。高子と合流するまでの間、たっぷりと台湾の茶を楽しんだ鈴は、街を一人で歩いているときに知り合った桃花の誘いで、台湾の茶器の街、鶯歌を訪れることになる。
 高子と李が姉弟である証は、二人がそれぞれ持っている、対の茶壺で立てられるかもしれない。かつて高子が暮らしていた三峡で働いていたという桃花の祖母の協力を仰ぎ、調査を進めることになるのだが、それは高子の後悔と直面することを意味していた。

 台湾という地でかつて繰り広げられた、お茶に関わる人間模様を、時間軸を飛び越えて描いている。偶然の出会いを手繰り寄せ、もはや科学でも明らかにできなくなった真相を詳らかにする。味わい深いお話でした。

茶柱倶楽部 (2)

日本人の根っこ
評価:☆☆☆☆☆
 移動茶屋「茶柱倶楽部」を営業しながら西日本を中心に回り、探し人の佐山高子と巡り合った静岡の老舗茶屋の娘の伊井田鈴は、自宅でごろごろして過ごしていた。そんなとき、高子の紹介で、東京農生大学の桜井夕貴がやってくる。彼は鈴に高子の代理として、日本中の茶所を回って欲しいと要望してきた。
 父親の伊井田正幸から発破をかけられ、自分のやりたいことを見出した鈴は、再び「茶柱倶楽部」を繰り出し、茶栽培の北限である東北から北海道を目指す。

 日本人の根っこにあるものを日本茶と想定し、子供の頃のそれを見つけたり、子供にそれを与えたりすることで、他人の人生と関わっていくお話だ。本当にじっくりと読みたい。

茶柱倶楽部 (1)

染みていく読み味
評価:☆☆☆☆☆
 静岡の老舗茶屋の娘の伊井田鈴は、東京で偶然出会ったお婆さんからもらったお茶の正体を確かめるため、どこの誰だかわからないお婆さんを探して旅に出ることにした。相棒は、宝くじで買ったトラックを改造した移動茶屋「茶柱倶楽部」だ。
 父親の伊井田正幸を説得し、あてどなく日本中をさすらう鈴は、イベントで知り合った酒屋で雑魚寝したり危うい行動を取りながらも、お茶を通じてイラストレーターのマウロ・トスカニや奨励会三段の園川圭一らと知り合いながら、彼らの望むお茶を提供し、日本茶の魅力を伝えていく。そしてついに、その日に閉店した料理屋「壇弓」の主人から、彼女の探すお婆さんが高子という名であることを知るのだった。

 当然白黒なので、お茶の絵には色は付いていない。しかし、その濃淡の表現で、様々なお茶の違いを示して見せている。一話一話、お茶と同じように味わいながらゆっくりと読んで行くと、鮮烈だったり、さわやかだったり、味わい深かったり、様々なエピソードが染みていく。

王狩 (3)

自分に目を向けさせる一手
評価:☆☆☆☆☆
 新星戦決勝は、高辻図南初段と久世杏二級の同門対決となった。しかしその直前に、高辻図南の携帯に、彼を捨てた母親・高辻優香から電話がかかって来る。その事実に動揺して冷静さを欠いたまま対局に突入した図南は、全く力を出すことができない。
 その情けない様に、観戦している曰佐英次二段はもちろん、対局者である久世杏も悔しく悲しい気持ちに陥る。何とか彼の心を盤前の自分に向けさせるため、杏は渾身の一手を盤に叩きつけるのだった。

 勝つためならどんなことでも利用するけれど、心ここにあらずで指されると自分に真剣にさせたくなる。我がままで自分勝手で傲慢な棋士の卵たちが、全てを絞りつくして指す一手が繰り返される。

王狩 (2)

一日の死闘
評価:☆☆☆☆☆
 奨励会一日トーナメント「新星戦」、奨励会員全員参加の棋戦であり、優勝者には奨励会在籍中の奨学金が授与される。出資者であるトイ・ファーストの井村伸之は、奨励会員たちの全精力を注ぎ込み将棋に没入する生き方に、エンターテインメントとしての価値を見出したのだ。
 そんな思惑とは関係なく、ただ勝つために将棋を指す奨励会員たち。それは一握りの天才たちが、その中で互いの優劣を競い、それを相手に認めさせて心を折る戦いでもある。連盟会長からの特命を託された久世杏、曰佐英司、高辻図南は、それぞれに強敵たちと相まみえる。

 新星戦の準決勝までが描かれる。その戦いは、関西奨励会の園川圭一や石川広海だけでなく、弓削名人の姉にしてかつて奨励会一級だった西上京香の興味も惹きつけるのだった。

 難解な熱い戦いをビジュアル的に上手く表現し、読み手を強く引き込んでくれる。次の展開が楽しみになるだけでなく、キャラクター自身も魅力的だ。

王狩 (1)

盤上で勝つことがもたらすもの
評価:☆☆☆☆☆
 久世杏は、祖父の使いで向かったデパートで将棋に出会う。当時六歳。その時に会った少年、曰佐英司、園川圭一、高辻図南と再会したのは奨励会だった。現在十二歳、奨励会二級。女性としての最年少昇級記録を更新中だ。

 同じ清洲良家九段門下の高辻図南を年上の弟弟子扱いしつつ、泥沼の様な戦いの中をまっすぐに進もうとする久世杏だが、周囲はそれを放っておかない。将棋界には双天、白木三冠と弓削四冠が君臨し、新聞広告料の削減は将棋界を圧迫している。
 いま将棋界に必要なのは、世間の目を引き付ける広告塔だ。そう考える稲森恒三将棋連盟会長は、久世杏、石川広海、綿貫毬乃という三人の女性奨励会員に目をつけ、彼女たちを初の女性正会員にしようと目論む。

 そんな周囲の目とは関係なく、本人たちも勝利のために死闘を繰り広げていくことになる。

 女性奨励会員を主人公としたマンガは珍しいかもしれない。久世杏は完全記憶能力を持つ少女として描かれるが、単に記憶力が良いだけでは、鬼の棲み家とも言われる奨励会を勝ち抜くことは出来ない。将棋に関して覚えているのは当たり前のことなのだ。そして、勝つためには血の一滴まで絞りつくして一手を放つ。
 そんな強さがありながら、女性的な美しさも兼ね備えて描かれている。例えば、力強く駒を打ちつけた結果、割れてしまった細い指の爪から流れる血の描写などは、男性を描いたのではあまり絵にはならないだろう。そんな部分を指摘され、本人が喜ぶとも思えないけれど。

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