東毅作品の書評/レビュー

電波教師 (13)

一気呵成
評価:☆☆☆☆★
 時坂朋也が興した黒軍は、瞬く間に白軍と青軍を飲み込み、銀軍に決戦を挑んできた。理事長の柊暦の同意のもと、時坂朋也と真剣勝負をすることに同意した鑑純一郎は、全員参加のバトルロイヤルを提案する。少数の銀軍に勝機はあるのか?

電波教師 (12)

お話を聞かせて!
評価:☆☆☆★★
 次なる戦いは、恋愛だ。メンバーは魔法少女となって、その思いをぶつけ合う。お話を聞かせて!

電波教師 (11)

兄にとって妹は何なのか
評価:☆☆☆☆☆
 鑑純一郎率いる銀軍は、赤軍率いる赤嶺誠、赤嶺環の兄妹と対決することになる。種目はシューティングゲーム、パートナーは妹の鑑純音と、いずれも兄妹プレイヤーによる対決だ。
 兄にとって妹は何なのかが描かれる。

電波教師 (10)

生活の第一歩は食糧から
評価:☆☆☆☆☆
 私立柊学園本校校長である柊有栖にひと泡吹かせるため、鑑純一郎は本校校長を目指し、理事長の柊暦の許可を得て、本校に生徒として入学した。銀杏学園から生徒たちを引き連れ、本校で行われているポイント争奪バトルの頂点に立つことを目指す。
 最底辺から出発することになった銀杏学園メンバーは、まずは日々の糧を得るための農作業に精を出すことになる。ところが、そこで助けてくれたチームが退学になりそうになったことで、鑑純一郎はそれを阻止するために勝負を挑むことになる。

電波教師 (9)

校長への道
評価:☆☆☆☆☆
 私立柊学園本校校長である柊有栖の管理主義的思想を粉砕するため、柊学園を追い出されかかっていた無響零子に味方して、校長お気に入りの白河ナミとバスケ勝負をすることにした鑑純一郎は、その勝負の結末から、自身が校長になって学園改革をすると宣言する。
 理事長の柊暦のお墨付きで、鑑純一郎が校長になるまでのロードマップは示された。本校の生徒たちの班を勝負で下し、自ら望んで配下にしなければならない。

 本校に赴任した時坂朋也が見守る中、鑑純一郎はその勝負に挑む生徒たちを銀杏学園から選抜にかかるのだが…。

電波教師 (8)

フリーマントルの生徒たち
評価:☆☆☆☆☆
 私立柊学園理事長の柊暦の企画で始まった私立銀杏学園特別臨海合宿は、どうやら彼女の満足のうちに終了した。残された日程は自由時間。式島切子や千波花音、鑑純音は、七海征十郎に恋する少女の告白を手伝ったり、鑑純一郎は荒木光太郎に女子水着を着せてコンテストに出場させ、桃園マキナが乱入したりする。
 そして夏と言えばコミケ。寸暇を惜しんで500ページの大作を販売する鑑純一郎は、別PNで参加する天上院騎咲と、同人作家魂の多寡を競い合う。

 そんなとき、私立柊学園本校に赴任する、鑑純一郎の旧友である時坂朋也が現れる。そして、本校に入学した無響零子が脱走してくる事件が起き、本校校長である柊有栖と、生徒の白河ナミが現れるのだった。

電波教師 (7)

それぞれの居場所
評価:☆☆☆☆☆
 アイドル「5th Queens」のセンターであるコミリューこと小宮流の妹である小宮滝は、かつて叶美奈子や七海征十郎が所属していたカラーギャング・ブラックオラクルの後継組織ブラックオラクルネオを率いていた。
 妹の居場所を取り戻すという依頼を受けた私立銀杏学園教師の鑑純一郎は、小宮流に仕事の後始末をつけさせ、ある場所へと連れて行く。そこは、鏡が彼女の勘違いを正すために連れて行った場所だった。

 ティム・バーナーズ・リン博士の貴重な休暇の一日を堪能した後は、私立柊学園理事長である柊暦がお気に入りの、私立銀杏学園の個性的な生徒ばかりを招集した海合宿イベントだ。柊学園本校情報部の貴澄みもりがきな臭さを感じる中、平和で楽しい海のイベントは、怪しい様相を呈してくる。
 突然発生したピンチに、鑑純一郎はどう対応するのか?

電波教師 (6)

ガチンコの殴り合い
評価:☆☆☆☆☆
 私立銀杏学園の教諭である鑑純一郎の前に現れた貴澄みもりは、柊学園本校からの刺客だった。彼の教師としての適性を見るため、わざとネット上での炎上状態を演出し、それに対する対処法を試そうというのだ。
 貴澄みもりの部屋に連れ込まれ、二人きりにされた鑑純一郎は、彼女からの提案にある決断を下す。

 生徒たちの進路指導で小ネタを挟みつつ、新シリーズに突入していく。

電波教師 (5)

パートナーへの信頼
評価:☆☆☆☆☆
 私立銀杏学園の教諭である鑑純一郎は、不登校児の荒木光太郎が、彼がザ・ファーストとしてMMORPG「ウロボロス」でパートナーを組むルーチェであることを知る。
 彼に仲間の意味を教えるためクラスメイトを巻き込んだ合戦イベントを企画し、仲間意識を育むことに成功する。だがそれは、彼が自分の姿を偽っているゆえでもあった。それを解消するため、純一郎は光太郎に試練の刺客を差し向ける。

 幽霊の生徒に対する指導や、柊学園本校からのアプローチなど、次の展開も待っている。

電波教師 (4)

自由を死守するために
評価:☆☆☆☆☆
 私立銀杏学園で生徒たちに奮起を促した鑑純一郎の前に現れた蔵持円は、どんなものでも金額的価値を鑑定できるという一年生の生徒会会計だった。
 鑑純一郎にプライスレスの価値を見いだした蔵持円は、鑑純一郎と結婚するため、あの手この手の方法を駆使して迫り、妹の鏡純音に折檻されることになる。
 その必死な様子に違和感を感じた純一郎は、彼女の焦燥に、ヘル・ゲイツという人物が関わっているのを突き止めるのだった。

 MMORPG「ウロボロス」において、ザ・ファーストこと鑑純一郎とルーチェという少女のコンビは、最強無比の存在だ。あらゆるイベントクエストを突破する彼らが未だ攻略できないのは、35人以上のパーティが必要なクエストのみ。
 それをコンプするため、クラスの生徒たちをゲームに参加させる鏡だが、そこで、もう一人の不登校児である荒木光太郎の存在を知るのだった。

 今回の鑑純一郎は、かなり意識的なヒーローだね。これまではやりたいことを自覚していない少年少女たちを導くという側面が強かったけれど、今回は自覚的な少女が相手なので、それをかなえるために一肌脱ぐという側面が強くなっている。どちらかというと正統派だけど、これも良いな。

電波教師 (3)

自分の人生の責任者
評価:☆☆☆☆☆
 私立銀杏学園の非常勤講師となった鑑純一郎は、愛好するマンガの作者である天上院騎咲と、桃園マキナが送りつけてきたリストにあった不登校児の田中さち子が同一人物であることに気づく…が、何もしないつもりだった。しかし、田中さち子を登校させた方が面白いと思い直した鑑純一郎は、その結果、学園の風紀的に問題な騒動を巻き起こす。
 その騒動の結果、彼が教師をやっていることを知った中学時代の仲間である刀祢大和は、彼女がそれまで根回ししてきた成果として、彼の遊び場としての研究施設を披露し、どこでもドアを実現しようと誘うのだった。

 自分が本当にやりたいことは何か?幾人もの生徒たちにそれを自覚させてきた鑑純一郎は、初めて戸惑いを感じる。それを見抜く私立柊学園理事長の女子高生の柊暦は、彼に無響零子という幼女をぶつけ、それを自覚させる機会を与えるのだった。

 最後に彼が言っていることは正しいとは思う。確かに学校は生徒の未来に対して責任は取らない。学校の言うとおりに生きたからといって、成功するわけではない。なぜなら教師自身が何かを成し遂げた人物というわけではないのだから、そのノウハウなど分かるはずがないのだ。せいぜい、教師の縮小再生産版を量産するのが関の山。
 だが、なぜ鑑純一郎の言うような行動が取れないかというと、生徒たち自身が自分の人生の責任を取ると言うことが何を意味するのか、それを理解するのを避け、責任を回避しようとするからだ。ゆえに周囲と同じルートを辿ることに安心し、幼い頃には彼らが本能的に嫌っていたであろう、平凡なルートに入っていく。

 平凡さの良いところは潰しが利くと言うことだ。だが、先鋭化・専門化すると言うことは潰しが利かないと思われがちではあるが、本当にその道で本質に到達したのならば、その方法論は全く別の分野でも利用できることは少なくない。もちろん、そこまで突き抜けるためには、相当に突っ込んで行かなければならず、それが出来るだけで一つの才能と呼んでも差し支えないとは思うのだが。

電波教師 (2)

人生を変える一言はある
評価:☆☆☆☆☆
 「YD(やりたいことしかできない病)」に罹っている鑑純一郎は、私立柊学園理事長の女子高生・柊暦に認められ、私立銀杏学園の非常勤講師になることになった。そこは妹の鏡純音が通う学校でもある。
 変則ツインテール・桃園マキナや、ポテト・式島切子を変え、変則的な教師の道を歩み始めた純一郎の前に、改造人間・七海征十郎が現れる。彼は元・野球エリートで、いまは暴力問題児の少年だった。

 純音のクラス担任となった純一郎は、一言もしゃべらないアニメ声・千波花音の噂を聞き、彼女の生声を聞いてみたいと思う。そしていつものように、本気のアタックを開始するのだった。

 教師が生徒の人生を容易に左右できるという側面を、非常にプラスの視点で描いている作品だと思う。現実には、マイナスに働くことも多いと思うけれど、やはり精神が成熟していない段階での大人による干渉の影響が大きいということは、真実だろう。

電波教師 (1)

元天才少年のニートが日本を変える!
評価:☆☆☆☆☆
 「YD(やりたいことしかできない病)」に罹っている鑑純一郎は、17歳で世界的な科学雑誌に論文を掲載された天才少年だったが、今ではアニメブログランキング一位を維持することに全エネルギーを注ぎ込むニートだ。妹で私立銀杏学園に通う鏡純音は、そんな純一郎を働かせるため、母校である東神鳴高校の非常勤講師の仕事を取ってくる。
 秘蔵のコレクションを純音のバットの錆にするのは嫌なので出勤することにした純一郎だが、YDである彼に普通の授業が出来るはずもない。携帯ゲームをやらせてクラスの力関係を把握した彼は、声優になるという叶美奈子が、鬼頭ミホたちにいじめられているという事実を認識する。

 その後、彼をスカウトに来るのは、私立柊学園理事長の女子高生・柊暦や、欧州の研究所所長であるティム・バーナーズ・リン博士など、彼の才能を高く評価する第一人者たちだ。そして純一郎は、変則ツインテール・桃園マキナや、ポテト・式島切子と出会うことになる。

 この作品は最初の数回だけのためにでも連載される価値はあるな。「ルールは作ったやつのためにある」とか「現実をねじ伏せろ」とか、本当に役にたつのは、現実にそういう側面があることを教えることだろう。もちろん、その本質を理解するためには、普通の勉強も重要なんだけど…その辺ははき違えちゃいけないな。
 “やりたいことしかできない”というのは、実は特別な人にしか許されないスキル。偉人を目指すよりも、彼の下で開花させられる数々の才能を参考にした方が適切なのかもしれない。

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